ストーリー野球

DeNA南場智子オーナーと語る プロ野球の未来 完全版

2020-10-07 午後 03:43

今も新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くプロ野球。その厳しい状況を乗り越えようと挑戦を続けているのが、DeNAのオーナー、南場智子さんです。プロ野球の最高意思決定機関・オーナー会議の議長も務め、開幕が遅れた今シーズン、一歩一歩できることを進めていこうと球界をまとめてきました。

実は大越健介キャスターとは県立新潟高校の同窓生。故郷の「懐かしトーク」も交えつつ、ウィズコロナの時代のプロ野球の未来を語り合いました。

大越キャスター、サンデースポーツ2020最後のインタビューです。

インタビュー!「智子の部屋」?

 

大越 本日はよろしくお願いします。直接こうやってお会いしてお話するのは初めてですね。

 

南場 こんにちは。よろしくお願いします。なんか初めまして、って感じでは全然ないんですけれどね。同郷というか同じ高校ですからね。

 

大越 でも本当にお会いしたかったです。僕のことは高校時代に知っていました?南場さんの1学年上で、野球部の一応エースだったんです。

 

南場 それは知ってますよ。有名ですから。野球部はすごい人気だったんですよ。

 

大越 本当ですか?全く女の子としゃべったことなかったんだけどな(笑)。

 

南場 でも私が大越さんに会ったことがないって言うと、周りの人間がみんな会いたいって言ってましたよ。

 

大越 いやいや、そんなに有名でもないので。

 

南場 有名ですよ、もちろん。しかも顔が「すぐ分かる顔」じゃないですか。特徴的っていうか“レコグナイザブル(recognizable=覚えやすい)”っていうか。

 

大越 なるほど。レコグナイザブル(笑)。

 

 

南場 でもやっぱり「大越さん、大越さん」って行く先々で言われて、ずっと「いい人」でいるのつらくないですか?

 

大越 そうですね。本当は僕ワルい人間で腹黒いんですけど(笑)。僕の「アバター」で勝負している感じです。どうしよう、僕が逆にインタビューされてるな…。

 

南場 そう私ね、人にインタビューするのが大好きなんです。実はね、「徹子の部屋」みたいに「智子の部屋」、やりたいんですよ、本当に。

 

大越 ということは、今日は第一回の「智子の部屋」ですね。ゲストに呼んでいただいてありがとうございます!

プロ野球は日本の財産

 

大越 いやいや、緊張感なくいきたいなと思っていましたが、ありがとうございます。あの、まず以前から野球には興味はあったんですか。

 

南場 野球はね、好きでしたよ。というのは、新潟だとテレビ番組が少なかったじゃないですか。夜テレビをつけると必ず野球中継で、枝豆の匂いをさせながらナイターを見るっていう日常でしたね。

 

大越 何というか僕らの世代って、男女の差やスポーツ経験の有無を問わず、野球がどこか染みついてるところがあるんですかね。

 

南場:ルールも全部染みついてるじゃないですか。この間ヨーロッパに行って、ビジネススクールの時のルームメートに「野球のルールを教えてくれ」って頼まれたんですけど、ルールを説明するのものすごく難しいですよね。日本人にとっては当たり前のことなんですけど、本当に高度なゲーム。

 

大越 確かにそうですね。グラウンドにしても、セーフかアウトか絶妙な距離に塁間が設定されてるんだろうとか。

 

南場 私、野球が好きなのはその「高度さ」でもあるんですよね。のめり込んだのは我が社が球団を取得させていただいてからなんですけど、それで気付いたの、野球の奥深さ。それこそ、チームと個人技。スキルと駆け引き。それから静と動。すごいですよね。全力プレーが生まれてファンが沸くようにうまく考えられてるゲームですよ。本当に面白いと思います。

 

 

大越 僕が一番疑問だったのが、IT起業家がどうしてプロ野球に参入したんだろうなということなんです。それで南場さんはどういう人なんだろうなと思って本など読ませていただいたんですが、外資系の大手コンサルティング会社に入って、36歳でDeNAを起業された。今ではゲーム事業など幅広い分野を手掛け、従業員2600人の企業に成長させました。僕のような「IT苦手おじさん」からすると、ITベンチャー企業からスタートアップした人って、ただでさえすごいなと、ものすごく頭が切れるんじゃないかと思ってしまうんですが、なぜその人がプロ野球?と思いまして。プロ野球は伝統がある分だけ、どうしても体質が古いと言われる業界ですよね。

 

南場 それはやはり、プロ野球は100年の歴史を持つ日本の財産なわけです。「公のもの」なんですよね。そのひとつを預からせていただいて、他の11球団と一緒にプロ野球というステージを盛り上げていくことで、社会に対する貢献をさせていただく会社にステップアップをしたかったということがあります。それに社員の士気を考えると、我々にとってベイスターズが心をひとつにするシンボルのような存在になっています。そういう意味では、すごくよかったですね。

「デライト」を間近に感じて

大越 DeNAの「本業」も人々を楽しませるエンターテインメントが大きな柱ですよね。ITの世界ですからそこはバーチャルが中心だったと思いますが、プロ野球はリアルに汗が飛び散り声が出る。そこの違いやギャップはあったりするんでしょうか。

 

 

南場 私たちはユーザーさんの喜び、“デライト(Delight)”と呼んでいますけど、そのためにいいサービスを作ろうとしています。ただ正直言うと、その喜んだ姿がインターネットの向こう側で目に見えないんです。もちろんその反応はデータとして現れますし、インターネット越しにたくさんの「声」をいただきますが、喜んでいる姿を目の当たりにするというチャンスにそんなに恵まれている会社ではありませんでした。ですからベイスターズという球団を取得して、満員のスタジアム…まあ最初は満員ではなかったかもしれないですけど、そこで我が球団の選手がホームランを打って、みんなが立ち上がってハイタッチをして、声を上げて喜んでいる姿を見た時にですね、「ああ、いいな」って。「人を喜ばせるってこんなにすばらしいことなんだ」と実感した、すごく新鮮な経験でしたね。もちろんインターネットの向こう側にも実際にそれはあって目に見えないだけなんですが、目に見える事業をやらせていただけるようになったことで、我々にとって人を喜ばせることの幸せを再認識できた。そういう経験でしたね。

 

大越 球場にもよく足を運ばれて、球場内のショップも覗かれたりしていると聞きました。やはり実際のお客さんの生の喜びを目の当たりにすることは、オーナーとしてもすごく楽しいことなんですか。

 

 

南場 そうなんですよ。もうね、あの熱気を感じるのがたまらなくて。今はいろいろ観客数なども制限されてますけれども、やっぱりどうしてもあの熱気を取り戻したい。あの満員の熱気を取り戻したいです。スタジアムでリアルの歓声に触れていると、ユーザーの方がインターネット越しでどんな顔をしてらっしゃるのかな、どんな風に喜んでいらっしゃるのかなと、もっともっと想像ができるようになってきますよね。ですから、球団経営とインターネットの事業はお互い資するものがすごく大きいと思います。

 

大越 数字を見ると、昨シーズンは観客動員数が創設以来最多の228万人。4年前からチームは黒字経営です。確かにDeNAがオーナーになってから横浜スタジアムの空気が明らかに変わってきている気もします。別に前が悪いということではなく、新しい要素がどんどんプラスされてる感じで。僕ら古い野球ファンも十分楽しめるし、新しく引き寄せる要素もすごくあるなと。

 

 

南場 ありがとうございます。まあ当初とても戦力的に弱かったということもありますけれども、「負けても喜んでいただくために何ができるか」を考えて、イニング間のイベントとかいろいろなことをしましたね。あと私たちはインターネットカンパニーですから、いわゆる“レッドオーシャン”、非常に競争の激しい業界なんですよね。ですからお客様を捉えて、1回使っていただいたら離脱しないでリピートしていただくためのマーケティングを、データに基づいて相当科学的にやっているわけです。で、それはあまり球界ではやられていないこともあった。ですからしっかりとしたマーケティングを導入して、ターゲットとする顧客像をしっかりと描き切る。その方々が何をしに球場に来て、どう楽しんで下さっているのかを定義した上で、それに合うような飲食やイベント、それから観戦環境ですね。そういったものをしっかり整えていく。当たり前のことなんですけれどもそれをやりまして、観客数は伸ばしてきたというところなんです。

コロナ禍で球界が動いた

大越 他のスポーツを見ると、JリーグやBリーグでは地域に根ざしたチーム運営であったり、リーグ全体で一緒に盛り上がったりという新しいスタイルが、平成の時代にできました。対してプロ野球は、球団の地方移転などはありましたが、伝統がある分だけ体質にちょっと古い所もあるのかなと思ったりもします。プロ野球関係者が心を共にしてひとつになることって、実は難しかったのかなと思うんですがどうですか?

 

南場 ベイスターズに関して言えば、地域とすごく一体化させていただいていますね。横浜という街、2軍は横須賀ですし神奈川全体もホームと捉えています。地元の方々のサポートによって成り立っていますから、地域との一体感を我々はとても感じています。そして「12球団の一体感」というところ。これはやっぱり今回のコロナ禍もあって、かなりしっかりしてきたのかなという感じはありますね。歴史・伝統は誇りですが、移り変わっていく時代にしっかりついていき、時に先んじていく必要性はみんな認識しています。やっぱり歴史・伝統があるがゆえに古く感じるところは、むしろ大越さんのような周りの方々から「ここは古いぞ」と言っていただいて、それを受け止めて我々も発信していきたいなと思います。変わっていかなきゃいけない部分があれば、むしろご指摘いただきたいなという気持ちですね。

 

大越 でもやっぱり僕がプロ野球はさすがだなと思ったのは、コロナ禍で日本中がどん底のような中で「無観客でもいいからやっぱりやろうよ」という声をいち早く上げましたよね。そして実際にプロ野球が無観客で始まってみると、他のスポーツシーンも復活していきました。南場さんはオーナー会議の議長という立場で決定に関わられましたが、やはりあの時の判断は僕すばらしいなと思ったんです。

 

 

南場 我々にとってもプロ野球って、「不要不急」の最たるものじゃないですか。ですからお休みだとなった時に、まあ仕方ないよなと思いつつ準備をしてきました。でも試合の運営のために現場で汗をかいている、全く表に出てこないメンバーたちもたくさんいるわけで、彼らが本当にかわいそうでね。同時に不要不急であると言われてしまうと確かにそうだよねとしか言えないし。しかし、大越さんがおっしゃったように野球が始まってみたら、多くの人に元気を与えたということがやっぱりあるんですよね。「不要不急」ではあるけれども、いかに人々の心の「元気玉」になり得るのか。その可能性の大きさをすごく痛感したし、文化の一部として力強く根づいてるものなんだなと、そう感じましたね。

 

大越 本当なら、今はもうオリンピックもパラリンピックも終わっているはずですが、来年どうなるだろうという状況になっています。不安ももちろんありますけれど、実際にスポーツシーンが野球に始まり様々なスポーツで、制限はあるけれども開かれるようになってくると、「工夫次第でできるよね、火を絶やすことなくできるよね」と、景色が変わってきたことを僕は実感しています。だからその先鞭をプロ野球がつけてくれたことが僕はとても嬉しいんですよね。

 

南場 そうですね。まあ本当にいろいろ議論しました。必ずしも12球団が細かい所まで一致したわけではないです。それでも本当に議論を尽くして、12球団が心の底から一致じゃなくても「でもやるんだ、やりたい」という方向性に関しては、勇気を持って挑戦しようという点で一致した。そこはよかったなと思いました。12球団の代表者のみなさんに本当に感謝しています。すばらしいことでしたね。

厳しい経営状況 オーナーとしてどう乗り切る

 

大越 ただ一方で球団経営の面を見ると、無観客、あるいは観客数の制限というのはどちらにしても決して明るい材料ではないと思います。球団の主な収入源である入場料が期待できないことで、プロ野球界全体の損失が1400億円にのぼるという試算もあります。そこは、どう乗り切ろうと思っていますか。

 

南場 今回、何年に1回かはこういう「不可抗力」というか、想像もしていなかったようなことが起こって、普通に興行ができないことがあり得るんだということを学びました。でもね、うちの社員はアイディアマンですごいですよ、本当に。うちの会社はゲームやライブストリーミング、ヘルスケアとかをやっていますけれど、その事業部がまたがって議論をしています。今まで我々の野球事業は伸びてきましたが、今年はガンと下がってしまっているじゃないですか。そしたら他の事業部が自分たちの知恵とかスキルも入れて何とか支えたい、協力したいとディスカッションがどんどん行われています。実際に出てくるアイデアはゲームの発想とかライブストリームの発想とか、すごい面白いですよ。それがきっと野球事業に活きると思っています。

 

大越 コロナ禍でもITを駆使して、アイデアを駆使してファンをつなぎとめていくと。

 

 

南場 そもそもですが、プロ野球界はあまり経営状況について発信してこなかったんですね。今回オーナー会議で、今は経営的に非常に厳しいということを初めてオーナーさんにしっかりと、2回ほど打ち出しています、オーナー会議の総括としてね。とにかく経営基盤をしっかりとさせることがとても大事なんですよ。そのためにも、何もないときにしっかりと経営体力を蓄積しておかなければいけない。それからもうひとつ、やっぱりタニマチ的に親会社が「赤字でも補填しますよ」という形でやっていると、親会社の経営の浮沈に大きく左右されてしまう。親会社に何があろうと「スポーツ」で収支を黒字にして、10年に1回ぐらい今回みたいな危機があっても、しっかりとした内部留保で持ちこたえる。そして絶対にスポーツの文化、野球文化を絶やさないだけの体力をつけておく。歯を食いしばって、ちゃんとしたマーケティングを導入し収支の勘定をしっかりして利益を上げていく。そしてもっともっとお客様にいいプレーを見せて価値の高いものにする。収益も上がるようにしていく。そういったことを私たちはやらないといけないですね。

 

大越 実は僕が冒頭ちょっと申し上げた「プロ野球は少し古い業態ですよね」というのは、親会社に頼りきりだったりして現状で発想が終わっている点でした。ただ経営の面で言うと、先ほどの話にあったようにDeNAがやった「当たり前」のマーケティングをして経営を発展させていこう、広げていこうという発想が色々な球団に最近は出てきた。そこはやっぱり南場さんの登場も、その刺激になったんじゃないかなと僕は思うんですよね。

 

 

南場 そうだといいですけれども、実は各球団のみなさんすごく危機感は持ってらっしゃいます。あと今回のコロナ禍でまた更にですね、各球団が信じられないくらい新しいことにいろいろ挑戦して、実務レベルで情報交換をしっかりするようになったんです。この取り組みはうまくいった、うまくいかない、その理由はなんだ、という具合でもうすごい情報交換が始まっています。ですから、コロナ禍はもちろんない方がよかったですけれど、あったからには我々はそれをプラスにしていかなきゃいけない。私はそこに前向きな一体感があると思いますね。

インターネットは温かいもの

 

大越 少し話が戻りますが、DeNAではITを駆使してファンをつなぎとめていくとお聞きしました。ファンがいわゆる「アバター」となってバーチャルの空間で観戦を楽しむスタイルも始めましたね。半面、インターネットが広がるにつれてちょっと心配なところは、一人一人の世界が小さなバブルの中に収まるように、社会性が失われて自分の好きな世界だけに入っていくんではないかと。よくインターネットの弊害として言われたりしますよね。対してベイスターズは地域に根差したチームを目指していますし、南場さんは今まさに社会性の広い仕事をされているわけですが、そういう指摘に対してどう思っていらっしゃるのかなと。

 

南場 インターネットが個々人を孤独にするという、私はあまりそういう議論には与していなくて、物理的な制約に関わらずつながる、大変に温かいメディアでもあるんですね。温かいメディアというか温かい道具です。私たちの世界で「ウイルス」というとインターネット上のウイルスですごく警戒するわけですけど、今回はリアルの世界でのウイルスの問題。そのリアルの世界を補完するように、インターネットが頑張ったわけなんですよ。試合ができない期間、選手たちはインターネットを使って発信しファンとつながりました。試合が始まってからもオンライン観戦でバーチャルにハイタッチをしたり、イニング間はファン同士で話をしたり、そんな新しい観戦スタイルにトライできている。それもやっぱりインターネットがあるからなんですね。ですから「インターネットvs.リアル」とか両者のバランスとかではなく、インターネットとリアル、バーチャルとリアルは必ず融合して、新しい価値や新しい遊び方、新しい仕事を生み出していくものであると考えています。

 

大越 確かにこのコロナ禍の間、僕らはインターネットという温かい道具にどれほどお世話になったんだろうと思いますよね。

 

 

南場 それを痛感しましたね。本当にインターネットがない世界はちょっと、厳しいですね。私にとっては。

 

大越 選手たちのマインドも変わったように思いますよね。先ほどご紹介があったようにインターネットを使って、ファンの人たちと直接つながったりトレーニング動画を発信したり、エンターテイメントをやってみたり。自分たちは誰に支えられてるんだろう、という問いに応えるかのようで面白いなと思いました。

 

南場 ベイスターズは結構ね、セカンドキャリアのことを考えて選手に英語やビジネスを教えているんです。システムとしてどこからお金が流れてきて、どう使われているのか選手にレクチャーをする。そういったことをすると選手も視野が広くなって、随分と「支えられている」意識にはなっていると思いますね。今回のコロナ禍でまず野球ができることのありがたさ、それからファンが見てくれることのありがたさ、ファンへの思いや感謝。それは今まで以上にすごく高まったと思います。今までよりうんと、ファンとプロ野球選手たちが近づいた。それもインターネットがあったからだと思うんです。

 

 

大越 これまではプロ野球選手はちょっと遠い存在で、「グラウンドにゼニが落ちている」って考え方で、ファンに対しては「塩対応」みたいなね。プロ野球の選手はそれでいいんだと思わされてきたところもあるんですけれど、今の野球選手たちは南場さんがおっしゃったようなマインドをちゃんと持っていて、ファンサービスも心から自然にできている選手が増えたなと感じます。野球界自体が生まれ変わる、その途中にこのコロナ禍というのがあって、更に自覚が深まる流れになるといいなと僕は思っているんですけどね。

 

南場 おっしゃるとおりですね、さすがです!もう完璧なまとめ。その通りなんですよ、本当に。

大越 すみません。本当ははそれ、南場さんに言っていただかなきゃいけないのに…。

プロ野球の持つポテンシャルと未来

大越 南場さんはご自身で起業をされて、人に喜びを持ってもらうツールとしてインターネット事業をやって来られた。そして今スポーツを事業として取り組まれていますよね。事業家という立場でスポーツに出会った南場さんにとって、スポーツの価値、意味とはどういうものだと思いますか。

 

 

南場 「人や空間を元気にする文化」ですよね。私も観戦が大好きなんですが、これほどまでにパワーを持つものだということは、ベイスターズに関わらせていただいてから本当に実感しています。そして、産業としてのポテンシャルもとても大きい。私は経営者であり事業家なんで、すぐそういうところに考えが行くんですけど、もっともっと大きくできるなと思います。歴史と伝統を持つものであるにも関わらず、まだまだ「原石」という感じもするんですよね。

 

大越 磨けばもっと輝きを放つ世界であると。まだその輝きの片鱗しか見せていないということなんでしょうかね。

南場 はい。ポテンシャルが大きいですよね。観戦の仕方が今まではテレビ、あと今は少しインターネット配信、そして球場に行く。それが楽しみ方の99%でしたけど、もっともっと違う観戦の仕方や楽しみ方があると思うんですよ。バーチャルな環境、テクノロジーを用いてもっともっと新しい楽しみ方がある、すごい可能性を秘めている。これから、ひとつひとつ実現していきたいですね。

ベイスターズを笑顔で鼓舞!

大越 南場さんはそういう笑顔と語り口で、社員を今まで鼓舞してきたんですね。

 

南場 そうですね。いろんな比喩が野球になっちゃうんですけど、優秀な人材を育てるには「本番」の打席に何回も立たせることが、その人の成長に一番だと、いつもそんなことを言っていますね。徒弟制度で教えられることは限られていると思いますし、世の中の進歩が早過ぎて3年前に経験したことを教えていたら、もう時代遅れなんですよね。

 

大越 野球の比喩が出たところで、ぜひリアルのチームについてもお聞きしたいんですが。その「本番」の打席に若い選手を立たせて、育成にも熱心だと言われているジャイアンツが、ペナントレースを独走していますね。ベイスターズは順位で大きく水をあけられている状況です。

 

 

南場 そうなんですよ。どう思います?あんなに差がついたらね、今年はクライマックスシリーズがないので面白くないじゃないですか!と思うんですけど。

 

大越 でも(ジャイアンツに)勝つな、ってわけにはいきませんからね。

 

南場 うーん、もう何かね、情けない。もうちょっと勝ちたいですね。本当に球団を持たせていただいて思うのが、チームが大好きになって幸せなんだけど、同時にシーズン半分近く負けるわけじゃないですか。試合に負けると次の日の試合が始まるまでの間、めちゃくちゃ苦しいんですよ。それで機嫌も悪くなりがちじゃない?それにね、日曜日に負けると月曜日はほとんど試合がないじゃないですか。だから48時間機嫌が悪い(笑)。だから日曜日だけは勝ってくれ!っていうのが私のお願いです、本当に。

 

 

大越 きっと選手に伝わってると思いますよ、その気持ち(笑)。

 

南場 でも選手自身が一番感じているでしょうね。あの人たちはすごい。本当にすごいですよ。ピッチャーの、マウンドで孤独に凛として立つあの姿を見ると、調子の悪い時もよく泣き出さないなと思ってね。すごいですよね、大越さんもピッチャーだったから分かるでしょ。

 

大越 いやぁ僕のことはともかく、南場さんは選手をちゃんと尊敬してらっしゃいますね!

 

南場 それはそうですよ。私、ボール投げても「18.44m」届きませんでしたから(笑)。

 

大越 バーチャルであれリアルであれ、人に喜びを届けることに生きがいと使命感を感じる南場さんのお気持ち、とてもよく伝わってきました。ではここまでとしたいと思います。

 

南場 ありがとうございます。

 

大越 ありがとうございました!

 

 

サタデースポーツ/サンデースポーツ

 

この記事を書いた人

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大越 健介 キャスター

昭和60年NHK入局、初任地は岡山局。政治部の記者、NW9キャスターなどを経てサンデースポーツ2020キャスター。
"スポーツをこよなく愛する親父"の代表として自ら楽しみながら伝える。

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