ストーリー野球

広島 鈴木誠也選手 精神面でもチームを

2020-09-16 午後 05:09

プロ野球は新型コロナウイルスの影響で開幕延期、観客数の制限など異例づくしで始まったシーズンを折り返しました。


12球団の担当記者がチームを引っ張る役割を担う選手の思いに迫るシリーズ。3回目は広島の鈴木誠也選手です。

4番としてバットで広島をけん引してきた鈴木選手。今年は精神面でチームを引っ張っていく自覚十分です。

“チームが変わらないといけない”

今年の鈴木誠也選手は、開幕の前から例年とは少し違っていました。

それは「自分がチームを引っ張る」という強い意識を隠すことなく出していたことです。

シーズンオフの自主トレーニング、これまではソフトバンクの内川聖一選手など他球団の選手と行っていましたが、今年は広島のチームメートと練習を行いました。

参加したのは高校卒業3年目の後輩から、プロ11年目の先輩 堂林翔太選手まで5人。その思いの裏には昨シーズン4位に終わったチームが「変わらないといけない」という強い思いがありました。

 

鈴木選手

新井(貴浩)さん、丸(佳浩)さんが抜けた穴が大きくて、みんなが同じ方向を向いてやれていないなと感じていた。プレーや練習態度、高いところを目指してやっているというところを他の選手に見てもらえたら、それだけでもチームが変わってくると思った。

五輪への強い思いも

そして東京オリンピックへの思い。

日本の4番候補は「日本が1番強いということを見せたい」と強い意気込みを示していました。

大事な1年間をケガなく戦う体作りを行うため、自主トレーニングでは腹筋や背筋など体幹のトレーニングに重点的に取り組み、2月のキャンプでは連日ランチ特打に取り組むなど、徹底して打ち込みを重ねました。

そしてキャンプの視察に訪れた日本代表の稲葉監督の前で豪快な当たりを連発。4番と期待する稲葉監督を「他の選手とは違う」とうならせました。

オリンピックの金メダルに加え「チームが優勝して、全部の打撃部門で1番になってたら最高」と明確な目標と自覚を持って臨んだシーズンでした。

 

一変させた新型コロナ

しかし、待ち受けていたのは新型コロナウイルスの感染拡大でした。シーズン開幕の見通しは立たなくなり、東京オリンピックの延期も決定。苦しい思いを吐露することもありました。

鈴木選手

2月からずっとやってきて、正直しんどい部分がある。モチベーションが上がったり下がったりの繰り返しなので、そういう疲れはある。

気分転換のため自転車で球場入りも

感染拡大防止のため、これまで通りに練習ができない期間を鈴木選手は「自分のやりたいことをやれる時間」と切り替え、焦らずペースを落とし、いったん体をリセットさせる選択肢を選びました。

気分転換のために、自転車に乗って球場入りしたこともありました。置かれた環境をいかに前向きに捉えられるか。この切り替えの早さが鈴木選手の強みの1つでもありました。

注目のルーキーに目配り

そして迎えたシーズン。

 

いざ真剣勝負が始まるとすっかり集中力を取り戻し、4番としてここまでリーグ2位タイ18本のホームランを打つなど(9月15日現在)打線を引っ張っています。

 

同時に、ポジションに関わらず多くの選手に話かけ、チーム全体に目を配る姿が印象的です。

 

特に気にかけているのがドラフト1位ルーキーの森下暢仁投手。注目を浴びるルーキーが本来の実力を発揮できるよう野手と投手の垣根を越え、気持ちの面で支えたいと考えています。


森下投手

鈴木選手

1年目で先発ローテーションを回っているので、難しい部分もあると思う。寂しさや孤独さ、1人で投げないといけない部分があるので、なるべく声をかけてあげた方が、気持ち的には楽になるんじゃないかなと思っている。かわいい後輩なんで。

あの選手の復活の裏にも

アドバイスを送るのは後輩だけではありません。

開幕から打撃好調でレギュラーの座を再びつかんだプロ11年目の堂林翔太選手。不振に陥った8月には3歳年下の鈴木選手から、ある助言を受けたと言います。

堂林選手

『いい時の自分というのはあまり振り返らない方がいいですよ』と言われた。それを意識して、いい時のことを思い浮かべすぎずに、新しいことにチャレンジできている。

精神面でもチームを引っ張る

今シーズン、チームは下位に低迷しています。不動の4番として首脳陣から大きな信頼を受ける鈴木選手。苦しい状況が続く中でも強い気持ちを持ち続けています。

鈴木選手

4番を任されている以上、結果を出さないといけない。どういう展開でも、野手もピッチャーも粘り強く最後までやらないといけない。

 

 

精神面でもチームを引っ張る存在となった鈴木選手。下位に苦しむチームを浮上させられるか。そのプレーと強いリーダーシップに注目したいと思います。

この記事を書いた人

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松山 翔平 記者

スポーツ新聞社での営業職を経て平成22年にNHK入局。
大分局、千葉局を経て平成30年から広島局でスポーツ担当。最近の休日はもっぱら1歳になった息子と家族でお出かけ。

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