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特集 大関 朝乃山 「秋場所は賜杯を取り返します」

相撲 2020年9月7日(月) 午後4:20

新大関として迎えた7月場所で、朝乃山は12勝3敗と最後まで優勝を争いました。去年の夏場所に平幕で優勝を果たしている朝乃山ですが、13日に初日を迎える秋場所では、大関として初の優勝を目指します。7月場所の反省と秋場所への意気込みを聞きました。

7月場所は「悔しかった」 連敗は自分の弱かったところ

部屋での稽古で胸を出す朝乃山(8月15日 東京墨田区 高砂部屋)

 

――新大関として迎えた7月場所を振り返っていかがでしたか。

 

1番は、やっぱり悔しかったです。収穫より反省の方が多いです。

 

――大関として優勝争いに加わりましたが。

 

大関という地位は責任もあるし、下の番付には負けられない立場でもあるし、常に優勝争いに加わらないといけないという立場です。そういうプレッシャーはあるけど、7月場所では1日1番ずつしっかり自分の相撲は取れたと思います。しかし、13日目(照ノ富士戦)14日目(照強戦)と連敗したのは、自分の弱かったところです。

 

――大関になって変わったことは何ですか。

 

自分のことだけでなく、部屋を活気づけたい、若い人を強くしたいという気持ちも強くなりました。下の力士から尊敬され目標とされる大関になりたい。ふだんから行動を見られますので、そういうところをしっかりしていきたいです。

照ノ富士は精神面も経験もひと回り上 照強の足取りは頭には入っていたが対応できなかった

1敗同士の対戦で照ノ富士に寄り切りで敗れる(7月場所13日目)

 

――優勝した照ノ富士関に、13日目に敗れた一番はどうでしたか。

 

以前の出稽古先で、照ノ富士関とは一緒に稽古をしたことがあるので、やりづらいことはないですが、自分より一回り大きいですし、まあがっぷり四つになったらつらいということは分かります。精神面も経験も一回りあっちの方が上だったと思います。私はまだまだ勉強不足だと思いました。

 

――14日目に照ノ富士関が正代関に負けて、その時点で2敗に並んだときは土俵下にいて思っていましたか。

 

内心では正代関を応援していましたし、目の前で正代関が勝ったことで自分にもう一度チャンスが巡ってきたので、「俺も頑張ろう」という気持ちになりました。

 

――照強関が14日目の相手というのはどう考えていましたか。

 

(伊勢ヶ濱部屋の兄弟子の)照ノ富士関の援護射撃に来たんだなと思いました(笑)。それでも、連敗はしたくないという気持ちの方が強かったです。

 

ーー照強関の足取りというのは想定していましたか。

 

頭には入っていたんですけれど、いざ手をついてはっきよいとなったときは、頭には入ってはいましたが体が反応できなかった。気がついたら上を向いていましたね。対応できなかった自分が悔しかったです。

コロナ禍がおさまったら故郷富山に帰りたい

照強に足取りで敗れ終盤2連敗(7月場所14日目)

 

――少し話の方向を変えて、ふだん験をかついだりはしますか。

 

十両や幕内の下の方ではやっていましたが、ここまで来たら関係ないです。

 

――取りにくい相手や苦手な相手はいますか。

 

そういう人は多いのですが、そう思っていると本当に苦手になってしまうので、やっぱり誰も挙げないようにしています。

 

――新型コロナウイルスの感染拡大が収まったら、したいことは何ですか。

 

自粛慣れして外に出なくても平気になりましたよね。休みがあればゆっくり大きいお風呂に入れるところにいきたいですね。温泉でもいいですし、気分転換に旅行に行きたいですね。いちばんには故郷の富山に帰りたいですね。

秋場所の目標は優勝 師匠の定年までに横綱に

秋場所で大関になって初の賜杯を手にできるか(去年夏場所千秋楽)

 

――さて、秋場所の目標は何でしょうか。

 

優勝です。

 

――師匠の高砂親方(元大関朝潮)の定年まであと2場所です。連続優勝したら11月場所後には横綱になれますが。

 

そんなの無理ですよ・・。でもそう思って自分に厳しくいこうと思います。大関という一つの目標を達成できたことは、自分でもすごくうれしいです。でもこれで終わりじゃないですし、12月で親方が定年ですので、少しでも期待に応えたいです。

 

――もう一度。秋場所に向けての決意を力強くお願いします。

 

……勝ち越し!(笑)ではなくて賜杯を取り返します‼

この記事を書いた人

古橋 明尊

古橋 明尊

元NHK記者。大阪放送局スポーツ専任部長、報道局スポーツニュース部長等を務める。現在は相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」の編集担当。曙、若貴の横綱時代に大相撲取材。

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