ストーリー野球

阪神藤川投手 引退会見の真意

2020-09-02 午後 03:02

「いつ、つぶれてもいいという粉骨砕身の覚悟でやってきた」。

9月1日、引退会見に臨んだ藤川球児投手は、ときおり涙をこらえながらみずからの引き際について語りました。

あまりにも早い、シーズン中盤での異例とも言える引退表明。その直後、単独インタビューを許された私たちに、藤川投手がその真意を語ってくれました。

シーズン中盤 異例の引退発表

 

引退会見を終えておよそ15分後、ホテルの控え室に現れた藤川投手はほっとした様子でNHKのインタビューに応じました。

 

「シーズンの後半戦が始まる早い時期にどうして引退会見を開いたのか」。そうたずねる私に対し、藤川投手は静かに語りました。

 

「ぼくが会見を開くことでチームを鼓舞したかったんです。まだ優勝をあきらめていません」。

 

 

40歳のベテランは記者会見の場で22年間、どんな思いで戦ってきたのかを語ることで、チームメートを奮い立たせようとしたのです。

 

そのことば通り、この日の会見では「やめていく選手に負けるなと言いたいです。そんなことでは首位の巨人に勝てない」と訴えました。

 

その一方で、日米通算250セーブについては「記録のことは考えていません。もっと大きな財産をいただいたので。タイガースの優勝というもっと重要なことがある」と言い切りました。

自分自身に勝った藤川投手

 

実は昨シーズン終了時点で、藤川投手にはやりきった気持ちがあったといいます。

 

去年の春、一度は引退を申し入れましたがその後、1軍にはい上がって見事に抑えとして復活し、チームをクライマックスシリーズに導く大活躍をみせました。引退を覚悟しながら、あきらめなかったことに対し、藤川投手は「過去の自分を超えることができた。自分自身に勝ったと思う」と感じていました。

最後まで戦い抜く美学

 

そして、今シーズン、右肩などの状態は手術が必要なほど悪化し、ついに引退を決断しました。引退にあたって藤川投手がこだわったのは、応援してくれる人たちのために、シーズンの最後まで戦い抜く姿を見せることでした。

 

「ぱっとやめようかと思っていたけど、最後までやり通すという日本の美徳がありますよね。シーズン終了までの2か月半、それを全うできなければ今後の人生で投げ出してしまうことがあるかもしれない。自分を見てくれる人たちに勇気を与えるために頑張らなくてはいけない」。

新型コロナウイルスで厳しい状況に置かれている今こそ、日本中を勇気づけたい。藤川投手は残されたシーズンで復活のマウンドを目指します。

 

 
 

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小林 達記 記者

平成26年NHK入局。神戸局、大阪局を経て、スポーツニュース部。陸上担当。大学では野球部に所属。中学時代は陸上も経験。

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