ストーリー卓球

“卓球ニッポン”オリンピック代表6選手の実力と課題は?

2020-01-17 午前 09:00

“卓球ニッポン”の東京オリンピックの代表に内定した6人の選手。シングルスに出場するエースは、水谷選手から張本選手へ、石川選手から伊藤選手へと男女ともに若返りました。ベテランの水谷選手と石川選手には、若手をサポートし、チーム全体を支える役割が期待されています。それぞれの選手の実力と課題を日本卓球協会・強化本部長の宮﨑義仁さんに聞きました。

 

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

 

Q:東京オリンピックの代表に内定した6人の選手の顔ぶれ、いかがでしょうか?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

両監督の強い推薦を受けて、結果的に男子も女子も世界ランキングの上位3名ずつが選ばれた形になりましたので、実力を反映した順当な選出だと思います。オリンピックのトーナメントでは世界ランキングの順位によってシードが決まります。早い段階での中国選手との対戦を避けるためにも、ランキングの高い選手が出場することは重要です。男子の国別のランキングで日本は中国、ドイツに次ぐ3位で、2位との差はわずかです。ランキング上位の水谷なら、ドイツ選手のポイントを上回り、2位に浮上することも可能です。第2シードを確保できれば、中国と逆の山に入ることができ、目標にしている2位以上が見えてきます。

 

水谷隼・伊藤美誠ペア(2019年 ワールドツアーグランドファイナル)

 

Q:オリンピックの新種目となるミックスダブルスでは水谷選手と伊藤選手が組みますね。この組み合わせはどう見ていますか?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

水谷と伊藤のコンビは、金メダルに非常に近い位置にいます。2019年12月に行われたワールドツアーグランドファイナルでは中国ペアに惜敗しましたが、決勝までコマを進めました。台のすぐそばに立ち、攻撃的な卓球をする前陣速攻型の伊藤と、一歩下がって中陣、あるいは後陣でもプレーできる水谷の相性は抜群です。ミックスダブルスでは女子がボールをつないで、パワーのある男子が決めるのが一般的ですが、伊藤は男子の速いボールも苦にせず、前でさばける力があるので、水谷がつないで伊藤が決めることもできます。伊藤の変幻自在なプレーと水谷の安定力がかみ合ったときは、世界最強のペアといっても過言ではありません。

 

Q:“卓球ニッポン”には、若い張本選手と伊藤選手にエースをバトンタッチしたベテラン2人がいます。経験豊富な水谷選手と石川選手にどんな役割を期待していますか?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

水谷は北京、ロンドン、リオと3大会の経験があり、しかもここ2大会は団体戦で無敗を誇っています。精神的な支柱になりながら、ときにはエースとして活躍してほしいですね。また、オリンピックでは、水谷が出場するミックスダブルスから試合がはじまりますので、金メダルを獲得すれば、その勢いのまま団体戦にのぞむことができます。

 

石川佳純選手

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

石川にも水谷同様、精神的な支柱になってほしいと思っています。ロンドンとリオの2大会を経験していますから、ダブルスでコンビを組む初出場の平野をリードしながら、チームを決勝まで導いてほしいですね。そして決勝では逆に伊藤と平野の若さに期待します。攻撃的で勢いのある2人の卓球が爆発すれば、中国を破っての金メダルも夢ではありません。

 

伊藤美誠選手

 

Q:日本女子のエースの伊藤選手は、世界ランキングでも上位に食い込んでいます。伊藤選手の強さをどう見ていますか?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

オリンピックの女子団体で金メダルを獲得するには、エースの伊藤がシングルスで中国選手を2人倒して、2点獲得することが欠かせません。ただそのためには卓球の技術をすべて2段階くらいあげないと難しいでしょう。フットワーク、ボールのスピード、スマッシュの確率、そしてバックハンドの安定力など、いまは10球で5回の確率で成功するものを、6回、7回と入るように磨いていかねばなりません。ただ、伊藤は変幻自在。普通はスマッシュを打つラバーなのにドライブ回転をかける技術があります。反対にドライブをかける裏ソフトラバーでスマッシュも決めます。フットワークも女子選手のなかで異常なほど速いので、見ているだけで引き込まれていくでしょう。

 

張本智和選手

 

Q:張本選手は、男子の若きエースです。東京オリンピックでの活躍が期待されていますが、張本選手の強さをどう見ていますか?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

オリンピックでは張本の活躍が鍵を握ります。現場で見ると、彼のすごさは一目瞭然です。男子のなかでも特に攻撃的な前陣速攻型で、広角的にボールを打ち返します。通常は、バックあるいはフォア、同じ方向に続けて球を打つことが多いのですが、彼はバック、フォア、バックと、とてもコートを広く使います。また“チョレイ!”という声に象徴されるように、気持ちのこもった卓球をします。しかも1回戦の1本目から決勝戦かと思うくらいの勢いで試合をします。それが張本です。

 

平野美宇選手

 

Q:女子の石川選手と平野選手、男子の丹羽選手もそれぞれ、自分の戦い方を持っている選手です。楽しみですね?

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

石川はとにかくミスをしない不動の技が特徴です。攻めても守っても、とにかくラリーを続ける技術は圧巻です。対する平野は全球で勝負するような超攻撃的な卓球です、ミスしてもどんどん打っていく。球の速さはピカイチです。男子の丹羽は相手のスマッシュを高速で打ち返すカウンターなど、圧倒的なテクニックを披露してくれます。そんな彼らの特徴を把握した上で、オリンピックを観戦すればより楽しめると思います。

 

丹羽孝希選手

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

卓球は技術だけではなく、心でも勝負するスポーツです。あれだけ近距離で打ち合う競技は他にないでしょう。相手の手の震えまで見える至近距離で対峙し、視線の動きでサーブの種類を読み合います。目をそらしたり、挙動不審になると、ロングサーブを打ってくると感じることもあります。選手たちはそんなレベルの勝負をしています。慣れてくると選手の心の動きが分かるようになってきますので、注目してみてください。

 

 

日本卓球協会・強化本部長 宮﨑義仁さん

 

東京オリンピックに向けて調整を続ける6人の代表選手。東京の舞台で繰り広げられる繊細でパワフルなプレーに期待が高まります。

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