ストーリー野球

楽天 涌井秀章投手 新天地での出会い

2020-08-20 午後 0:01

プロ野球の6月と7月の月間MVP=最優秀選手に輝いた楽天の涌井秀章投手。開幕から負けなしの8勝を挙げ、首位を争うチームを支えています。活躍の裏には、新天地で出会った新球種とチームメートの存在がありました。

復活をかけた16年目

これまで西武とロッテで最多勝3回、沢村賞1回を獲得するなど先発ピッチャーとして輝かしい実績を残してきた涌井投手。しかし、昨シーズンは、所属していたロッテで、若手の台頭によって先発登板の機会が減り、3勝にとどまりました。

金銭トレードで移籍した楽天で復活をかけて臨んだプロ16年目の今シーズン、開幕から自身初の8連勝。8月5日のソフトバンク戦では、ノーヒットノーランまであと2人と迫るピッチングを見せるなど防御率でもリーグトップに立ち、新たな環境で充実のシーズンを過ごしています。

 

涌井投手

チームやファンに必要とされていて、やりがいを感じながら楽しく野球をやれている。マウンド上で余計なことを考えずにバッターに集中して投げることができている。

活躍の秘密は“こやシン”

活躍を支えているのが、プロ16年目で覚えた新しい変化球、その名も“こやシン”です。不思議な名前ですが、その正体は、小山伸一郎投手コーチから教えてもらったシンカー。涌井投手自身が“こやシン”と名づけています。

 

 

2月の久米島キャンプで小山投手コーチから、現役時代に決め球にしていたシンカーの握りや投げ方を教わりました。右バッターのひざ元に鋭く曲がりながら落ちる新球種。130キロ台とストレートとの球速差も小さく、バットの芯を外すことができます。持ち味である多彩な変化球を生かした巧みな投球術に、さらに磨きがかかりました。

 

涌井投手

バッターがストレートを待っていそうなボールカウントで投げて、ストライクを取ることも1球で打ち取ることもできる。この球種が加わったことでバッターは狙いを絞りづらくなったと思う。

“先輩”の背中追いかけて

6月に34歳を迎えた今も進化を追い求める理由は、少しでも長いイニングを投げたい、という思いからだといいます。確かに、投球数が130を超えても黙々と投げ続け、交代を命じられると、マウンドで悔しそうな表情を浮かべる場面が今シーズンもありました。こうした完投へのこだわりは、横浜高校の先輩でもある、西武の松坂大輔投手から受け継いだと明かしてくれました。

涌井投手

松坂さんの姿から、勝っても負けても1試合を最後まで投げ切るのが先発ピッチャーだと学んだ。ただのわがままかもしれないが『まだ投げたい、まだ投げたい』という欲が今も出てきているのだと思う。

後輩と切磋琢磨で高みへ

さらに、涌井投手が新天地で刺激を受けているのが、4歳年下の後輩、則本投手です。

 

 

昨シーズンまで“敵”だった則本投手に対して、特別な感情を抱いていました。

 

「投げ合っていて『こいつには負けたくない』と久しぶりに思わされるピッチャー」。

 

チームメートとなったことしは、2人が一緒にいるところをよく見かけます。練習中はもちろん、その前後にもボールを片手に会話する姿が印象的で、シーズンに入ってからは、お互いがキャッチボールの相手になっています。

 

 

涌井投手は則本投手に対して、「俺の方が今、勝ち星が多いから」などとあえてプレッシャーもかけているそうです。

涌井投手

今まで則本投手にそういうことを言う先輩はいなかったと思う。同じチームになって、お互いに心の中では自分の方がいい成績を残したいはずなので、自分にハッパをかける意味でもそう接している。

 

則本投手

涌井さんは、どんな状況でも自分のベストパフォーマンスを出して、たくさんの修羅場をくぐって勝ちを積み重ねてきたピッチャーだと思う。投球術やメンタルのコントロールなど学ぶことがたくさんある」と大きな影響を受けています。

12年ぶりの優勝へ

ここまでリーグトップの8勝を挙げ、史上初となる「3球団での最多勝」への期待が高まりますが、涌井投手は個人タイトルよりも、自身として12年ぶりとなるリーグ優勝と日本一のために腕を振り続ける覚悟です。

 

涌井投手

自分の成績やタイトルは後回し。これからも体調をしっかり管理し、先発の役割を果たしてとにかく優勝したいですね。

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