特集 豊昇龍 ~憧れの大関として挑む秋場所~|番記者の推し相撲

秋場所最大の注目力士は、もちろん新大関・豊昇龍。名古屋場所では千秋楽の優勝決定戦まで、攻めの相撲を貫いて大関の座をつかみ取った。新大関の初日はもちろん特別な日、その日をどう乗り越えたのか、今場所の推し相撲は「豊昇龍の新大関初日」からスタートする。
横綱不在 大関の責任
横綱・照ノ富士の休場が決まり秋場所はいつも以上に大関に注目が集まることになった。
初日恒例の協会ご挨拶 豊昇龍は前列向かって右
先場所初優勝した新大関・豊昇龍にも初日から熱い視線が注がれた。
大関昇進が決まった日、「どんなことがあっても力強く立ち向かうという気持ちを込めた」と、口上で「気魄一閃」と述べた24歳は一体どんな相撲を見せてくれるのか…
大関憧れから責任感に
多彩な技を持ち味に台頭してきた豊昇龍。三役になってから9場所連続で勝ち越すなど安定した成績を収めてきた実力は折り紙付きだ。
名古屋場所で伯桜鵬を下す
その豊昇龍にとっても大関は「憧れの地位」だった。入門した頃には自分がたどりつけるか、悩んだこともあったという。
大関・豊昇龍
大関ってすごくでかいし力強いし、体のオーラがすごかった。絶対負けないってオーラがすごかった。こんな人間になれるのか悩んだこともあった。
夏巡業で大関・貴景勝と
夏の巡業も経てファンから「大関」と声をかけられるのにも徐々に慣れてきた。だが、責任の重さをひしひしと感じているという。
豊昇龍
大関という名を背負っていかないといけないし大関は絶対勝たないといけない。
そのことばを裏付けるように秋場所に向けても愚直に稽古を重ねてきた。
5日には「稽古は今十分なので、感覚、体の動き、注意しながらちゃんとしっかり見ながらいきたい」と静かに自信を示していた。
新大関の初日は…
そして、新大関として迎えた秋場所初日。
土俵入りのあとには先場所の優勝額の除幕式が行われたが喜びに浸る間もなく取組を見据えていた。相手は関脇経験者の阿炎。
これまで7勝2敗と相性のいい相手だったが、新大関としての初戦に「正直ちょっと緊張していた」と独特の難しさを感じながら臨んだ。
立ち合い阿炎の得意の突き押しを受ける展開に。顔面に何度も食らいのけぞらされた。
土俵近くまで押し込まれた。それでも下半身を巧みに使いしっかりと耐えた。
突きをいなすようにしてかわし、最後は土俵際まで引き寄せたところでそのまま腕をひねり、「とったり」で競り勝った。
多彩な技を持つ豊昇龍らしさが光るまさに「気魄一閃」の取組で新大関としての初日を勝利で飾った。
実はこの日は立浪親方の55歳の誕生日。狙いどおり師匠の記念日にも花を添えて「帰ったらいい報告ができると思う」と胸を張った。
もう大丈夫…
2日目の相手は名古屋場所で優勝を争った前頭筆頭の北勝富士。
初日に貴景勝を破り、今場所も強さを見せている。
注目の場所は続くが「緊張はもう大丈夫。1日1番しっかり頑張りたい」と淡々としかし、力強く話した。
この記事を書いた人

松井 嚴一郎 記者
平成29年入局
6年間の宮崎生活を経て令和5年夏からスポーツニュース部で大相撲など格闘技を担当。
新弟子として頑張ります。