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特集 新小結 錦木 決意を語る「また優勝争いに加わりたい」

相撲 2023年9月6日(水) 午前10:00

錦木は自己最高位の前頭筆頭で臨んだ名古屋場所で、横綱照ノ富士をはじめ大関昇進を目指した3関脇をすべて倒す目覚ましい活躍で、初の三賞・殊勲賞と新小結の座を獲得しました。刈屋富士雄元NHKアナウンサーが秋場所への決意を聞きました。

 

錦木(右)と刈屋元アナウンサー

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11勝で優勝考えるつもりが勝てなくなってしまった

殊勲賞のトロフィーを手に笑顔(名古屋場所千秋楽)

ーー名古屋場所、優勝するかもと思いましたか。

 

10勝では、まずできないと思っていたので、とりあえず11勝したら優勝を考えるつもりでした。そうしたら勝てなくなりました(笑)。意識していたのでしょうね。

 

ーー9日目の勝ち越しは初めてですね。思ったとおりに相撲が取れたのですか。

 

思ったとおりではないですが、体は動いていました。横綱戦も三役以上の人との対戦でも体が動いていました。

 

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目覚めた東北のブルドーザー

ーー初日が新大関霧島戦でした。どう思いましたか。

 

何回も稽古をしていたので、強いのは分かっていました。大関が休場して対戦しなくて良かったです(笑)。

 

照ノ富士をすくい投げで破り金星(名古屋場所2日目)

ーー初日不戦勝で2日目が横綱戦でした。

 

勝つなら両差しで勝つしかないと思っていました。がっぷり組んだら勝てないです。両差しが入るまでは予定どおりです。寄っていこうと思ったのですがタイミングがうまく合わなかったです。

 

ーーそれでもすくい投げで勝って2連勝。さらに続く関脇戦は3連勝です。何が良かったのですか。

 

よく体が動いて、土俵際でも残れていました。先手を取られないようにやっていました。

 

関脇若元春を寄り切りで破り5連勝(名古屋場所5日目)

ーー大関昇進を懸ける注目の3関脇は意識しましたか。

 

そうですね。3関脇の大関昇進を食い止めてやろうと思いました(笑)。

 

ーーこの3人を倒せば三役が見えてくるということですね。

 

中日まで4勝4敗ならどうにかなると思いました。

 

ーー相撲内容が良かったです。ダンプカーみたいとか、ブルドーザーや熊みたいとか言われましたね。

 

そういうふうに言われるのはうれしいですね。何かに例えられるくらい前に出ていたのです。これからは東北のブルドーザーと言いましょうか(笑)。

 

笑いが絶えない楽しい雰囲気のインタビュー

ーーそれくらいの圧力がありました。自分でも感じていたでしょう。八角理事長(元横綱北勝海)も「大化けした」と表現していました。何かをつかみましたか。

 

よく分からないですね。自分ではいつもと同じように取っているイメージです。あとは少し角度を変えたりしたくらいです。周りから大きくなったとも言われます。

 

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重心の移動が好調の原因かと思う

ーーコロナ禍が明けて、一度は落ちた体重を再び増やしていったのですね。

 

そうです。普通に稽古していて部屋付きの立川親方(元関脇土佐ノ海)から、「こう残った方がいい。いつもの残り方と違うから」と言われて、そのことをずっと考えながらやっていたら、前にも出られるようになりました。

 

ーー立川親方にはどんなことを言われたのですか。

 

足の体重移動です。説明が難しいです。足の体重の掛け方で、半円を描くように足をつけるとかかとに体重が掛かって自然に前傾姿勢になるのです。それを意識して、普通に立っているときにも重心の移動をやっていました。

 

押し出しで阿炎を破る(名古屋場所6日目)

ーー名古屋場所のブルドーザーのような圧力と、残るときの重心ですね。

 

意識をせずに重心の移動ができるようになりました。

 

ーーそうすると大きな力がちゃんと相手に伝わるようになったのですね。

 

はまったのです。夏場所で後半に8連勝してから、名古屋場所も初日から6連勝できました。よく分かっていないのですが、好調の原因はそれかと思っています。

 

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11勝で決定戦か、心の中に変な欲が出た

ーー10勝して、もう1勝したら優勝を考えようと思ったのですね。

 

11勝だったら、みんなが負ければ決定戦があるではないですか。それで心の中に変な欲が出たのです。

 

湘南乃海に小手投げで敗れる(名古屋場所12日目)

ーーあと1つでしたね。湘南乃海戦は勝ちたい思いが強かったですね。

 

そうですね。立ち合いよく分からなかったです。左が入って無理に取ってもだめだと思って巻き替えて右を入れて持っていこうと思ったら、右が入らなくて投げられてしまいました。

 

ーー負けたときはどう思いましたか。

 

やはり悔しいですね。湘南乃海は幕内に上がったばかりの力士ですが、やはり若手には負けたくないです。次の日、13日目の伯桜鵬は大変強かったです。下半身がすごいです。残りますね。鍛えていると思いました。普通の柔道みたいです。内掛けをやられました。

 

ーーこれで2つ負けて優勝は難しいと思ったわけですね。そして14日目が竜電戦です。

 

同期生だなと思いましたが、ずっと竜電戦は連勝していました。彼にアドバイスしたのです。「もっと前に重心をかけて前に出てやれ」と言ったのです。対戦するのならば言うのではなかったと後悔しました(笑)。

 

 

北勝富士との対戦(名古屋場所千秋楽)

ーー千秋楽は調子に乗って勝っていた北勝富士でしたね。

 

硬くなってしまいました。いつもと違う立ち合いで、持っていかれてしまいました。なぜか引いてしまって体勢を悪くしてしまったのです。

 

ーー千秋楽は、いちばん硬くなりましたか。

 

そうですね。いちばん硬かったです。負けたくないという気持ちが強かったのです。いちばん勝ちたいという思いだったのです。

 

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がっちり引き付けどんどん前に出る

小結にしこ名が載った秋場所の番付を手に(8月28日)

ーーこのあとはどうしますか。三役で2桁勝ったら。

 

どうしたらいいですかね。もし優勝するとしたら、それは気持ちの問題です。

 

ーー安定して2桁勝つには、どうしますか。右か左の前まわしを引く。自分の形を作ろうという考えはないですか。

 

ないですね。良くないことですが。ただなまくら四つ(編集部注:右四つでも左四つでも取れること)なので、なまくら相撲と言われています。

 

ーー究極のなまくら相撲を作りますか。

 

そうですね。でも突き押しができないです。突き押しだけで相撲を取れと言われたら、たぶん序二段くらいの実力です。

 

ーー踏み込んで右か左の前まわしを引くことですね。

 

がっちり引き付けてどんどん前に出るのです。

 

ーーじゃあ千代の富士みたいな相撲だ。

 

あの人にはなれないです。あの人は投げが強いです。私は投げられないです。

 

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関脇に上がって大関昇進に挑戦と言われたい

優勝争いに加わりたいと決意

ーー優勝していたら、岩手県で95年ぶりの優勝力士でした。

 

横綱宮城山でしたね。大関、横綱になったらしこ名を変えるかですね。うちの部屋には大横綱がいたではないですか。

 

ーーいましたね、柏戸が。その可能性はありますか。大関になったら変える可能性はあります。大関になったら柏戸ですか。

 

そうですか。大関になったら変えますか。

 

ーーこれまで大関に上がるということはイメージとしてありましたか。

 

ないです。優勝もイメージはなかったです。

 

ーー名古屋場所を境に考えが変わるでしょう。

 

変わるというか、また優勝争いに加わりたいと思います。

 

ーー優勝争いに加わりたい。大関昇進レースにも名乗りを上げたいということですね。


そうですね。関脇に上がってから考えます。大関昇進に挑戦と言われたいです。まだまだ頑張らないといけないです。

 

〔雑誌「NHKG-Media大相撲中継」秋場所号より〕

 

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