特集 大相撲朝稽古日誌 ~令和5年秋場所~

朝日がまぶしい早朝から、力士と力士が激しくぶつかる”ガツン”という音が響き渡る。大相撲取材の基本ともいっていい”朝稽古”、取材する記者からの報告をここにまとめます。題して「朝稽古日誌」、力士の仕上がり具合や意気込みを感じてください。(掲載は日付の新しいものが上に来ます)
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9/6 湘南乃海などを取材に高田川部屋へ
報告:髙木優吾アナウンサー
きょう向かったのは東京・江東区の高田川部屋です。
新入幕だった名古屋場所で10勝を挙げ、敢闘賞を獲得した湘南乃海をはじめ、竜電や輝、白鷹山といった4人の関取が所属しています。
西の前頭5枚目に番付を上げた湘南乃海
通常は部屋に1~2本しかない鉄砲柱がここには5本あります。
5本の鉄砲柱が並ぶ稽古場
鉄砲柱を打つことで全身が鍛えられると言われています。
高田川部屋の力士たちは準備運動も入念に行い、たっぷりと汗を流してから申し合いを行うほか、基礎となる四股やすり足に加え、鉄砲柱にも向かっていました。
師匠は元関脇・安芸乃島の高田川親方です。
現役時代に16個の金星を獲得するなど、上位を苦しめる存在だった親方は今も白まわし姿で指導しています。
この日を含めて秋場所まで残り5日。片男波部屋から玉鷲と玉正鳳が出稽古に来ていました。番付発表以降、連日訪れているということです。
出稽古に来ていた玉鷲
新型コロナの影響が広がる前までは行われていた合同での稽古がこのところようやく再開しています。
関取同士の申し合いは行われましたが、初日が近いということもあり、調整の段階に入っています。合同での稽古に手ごたえを感じながら、秋場所での好成績を目指しています。
湘南乃海
ここまでの内容は良い。玉鷲関にも稽古つけてもらってありがたい。玉鷲関や関取衆との申し合いでは、立ち合いで相手の下に入ることを考えてきた。10勝挙げて敢闘賞を獲得した先場所のことは忘れて、1からやることが大事だと思っている。巡業では霧島関や豊昇龍関にも指名していただき、うれしかった。集中して頑張りたい。
竜電
(きのうの稽古で右眉の上を切ったためテーピング)
先場所は最初が悪かったが、その後は気持ちの面を修正できたことが大きい。負けることを恐れずに挑んでいった。ここまでの稽古では相手より先に自分の形を作ることを意識してきた。2桁以上勝って三役に近づきたい。
輝
幕内に戻ったが、変に気負わず強い相撲をとりたい。玉鷲関や玉正鳳関はうちの部屋にはいない相撲をとるし、良い刺激になる。玉鷲関からは押し方、体の使い方を教わった。やっていることは難しいがいかに自分に落とし込めるかが大事になる。
玉鷲
出稽古に来られるのはありがたい。手の角度や体の感覚、足腰など基本を含めて出稽古で確認している。(通算連続出場記録があと6日土俵に上がれば単独2位になることについて)周りから言われて分かっているがあまり考えていない。それより横綱・大関と対戦できる番付にいるので、上位に勝ちたいという気持ちの方が強い。
報告:松井嚴一郎記者
横綱・照ノ富士をはじめ5人の幕内力士がいる伊勢ヶ濱部屋の取材へ。
8時半から稽古がはじましたが、翠富士、宝富士、錦富士、熱海富士の4人の関取はすでに稽古場にいました。
注目したのは今月21歳の誕生日を迎えたばかりの熱海富士です。
熱海富士 本場所用の締込で
去年の九州場所で新入幕も1場所で十両へ陥落。その後地力をつけて、名古屋場所で十両優勝し再入幕を果たしました。きょうも四股やすり足など、基本の動作から始めていました。
稽古が始まるとすぐに照ノ富士も稽古場にやってきました。
照ノ富士は相撲こそ取らなかったものの、ダンベルやチューブなどでトレーニング。熱海富士はじめ、部屋の力士に指導する場面もたびたび見られました。
申し合いでは熱海富士が積極的でした。
熱海富士は幕下の尊富士と連続13番とるなど、26番とって11勝15敗。本人は「まだ調子がいいとは言えない」と話していました。
熱海富士
―― 調子は?
まだ調子いいとは言えない。巡業はいろいろな人とやれてよかったけど、稽古以外のところで疲れた。
―― 再入幕だが?
新入幕のときぼろぼろで全然ダメだった。幕内はすげーと思った前回は自分で勝手に緊張したので、今回は慌てないようにしたい。
―― 横綱からアドバイスされていたが
鉄砲のやり方をみてもっとこうした方がいいと言われた。壁に向かって鉄砲をやるのも横綱の真似をしているので。まだできないことばかりなので勉強になる。
-- 誕生日は何かもらったか?
今まで使っていたのよりもっと重いウォーターバッグを兄弟子たちにもらった。
―― 秋場所に向けて
もっと調子を上げていければいい。自信はない。
9/5 豊昇龍にインタビュー 調整は順調
報告:松井嚴一郎記者
場所前のニュース企画の取材もかねて立浪部屋に。もちろんお目当ては新大関の豊昇龍です。
普段より少し早めの7時半ごろに部屋に到着しました。まだ稽古は始まっていませんでした。
8時すぎに天空海、20分ごろ明生が稽古場に。
8時30分ごろ 千代翔馬、欧勝馬が出稽古に来ました。
千代翔馬
8時50分ごろ 豊昇龍が稽古場に。
欧勝馬と豊昇龍
9時40分ごろ 関取衆の申し合い始まりました。
まずは明生から、その後十両の天空海、出稽古に来た千代翔馬、欧勝馬が入り、最後に豊昇龍が連続11番相撲を取りました。
豊昇龍は千代翔馬、欧勝馬とそれぞれ5番ずつ、明生と1番のあわせて11番とって7勝4敗でした。
ご参考までに...
明生は9番とって5勝4敗
千代翔馬は9番とって3勝6敗
欧勝馬は11番とって6勝5敗でした。
申し合いのあとは明生が天空海に、千代翔馬が幕下の木竜皇に、豊昇龍が欧勝馬に胸を出しました。
最後は豊昇龍に言われて千代翔馬、欧勝馬もまじって土俵周りをすり足。豊昇龍が絡みにいくシーンも見られ、調整が順調に進んでいることをうかがわせました。
豊昇龍
―― 新大関には慣れましたか?
少し慣れてきましたね。
―― 夏巡業は大関としての参加となりました
うれしかったです。ファンの皆さんが大関って大きな声でたくさん言ってくれて、私はもう大関なんだって思いになりました。
―― 心の持ちように変化が?
大関って絶対勝たなくちゃいけないって大変なことがあるので、一生懸命頑張っていきたい。
―― きのうきょうとほかの部屋の関取衆が稽古にきている
稽古は十分なので、感覚、体の動きに注意しながらいきたいと思います。(稽古の手応えは?)いい稽古できたと思いますよ。
―― 秋場所に向けて
残り何日間かしっかり体を休ませて、あまり多くの数は取れないかもしれないけど、しっかり相撲もとっていきたい。
豊昇龍のインタビューを含めた場所前企画は9月7日のニュースウォッチ9で放送する予定です。ぜひご覧ください。
報告:太田雅英アナウンサー
新十両が2人同時に誕生した二所ノ関部屋に取材に行きました。
東京駅から湘南新宿ラインで1時間あまり。ひたち野うしく駅に到着すると「二所ノ関部屋の玄関口」のポスターに迎えられました。
駅から徒歩10分に位置する二所ノ関部屋は、まず、その広大な敷地と建物に驚かされます。
国技館を模した緑青の屋根。建物の中は映像で見た以上に大きく感じられます。
入口には、師匠の現役時代の化粧まわしや優勝額が飾られています。
土俵が二面ある稽古場。基礎運動には、親方が考案した独特の動きも取り入れ、力士たちは黙々と稽古に取り組みます。
片方の土俵で申し合いを行い、もう片方の土俵では力士が組み合って四つの形を確認するなど、効率よく稽古が進んでいました。
申し合いは、映像で撮影しながら進めます。こうすることで、力士たちは自分で映像を確認して次の稽古に臨むことができます。
膝の大けがから関取復帰を果たした友風は、締め込み姿で体を動かし、この日は関取衆や若い衆に胸を出していました。
師匠によれば「やはり足の具合と付き合いながらになるが、(新十両の)高橋や大の里と申し合いをする日もある。体も張っている」と評価していました。
新十両の高橋は、青系の新しい締め込みを慣らしていました。
関取の象徴でもある白まわしに変えての稽古では、得意の四つ身の形を確認したあと、幕下以下と大の里相手に激しい稽古を展開しました。
師匠は「大の里とは毎日、激しく稽古している。右四つの型が良い。馬力が出てくるとなお良い」と期待を寄せていました。
幕下10枚目格付け出しでデビューし、所要2場所で新十両の大の里も、青系の締め込みを慣らしてから、白まわしに変えて三段目の申し合いに割って入り、20番弱やってから、関取、幕下との申し合いに入りました。
大きな体を生かして攻める相撲は迫力がありました。師匠は「身体能力が高い。徹底して基礎を身につけさせたい。2人ともここがスタートライン。ここからが勝負だ」と話していました。
高橋と大の里は、新潟の能生中学から海洋高校、日本体育大学と同じ道を歩み、ともに二所ノ関部屋に入門しました。高橋が1歳上の24歳、大の里は23歳です。共に成長してきた2人は、普段は、兄弟のように仲が良いそうです。
二所ノ関親方は「新十両が2人誕生し、幕下以下の力士からは、『次は自分だ』という気持ちが出てきている。2人を追いかけて力をつけていってほしい」と若い力士たちの飛躍も心待ちにしているようでした。
なお、大相撲秋場所の中継では、今場所も、中入の時間を利用して3日目から4人の新十両を番付順位紹介します。高橋は3日目、大の里は5日目です。ぜひご覧ください。
9/4 新三役 小結・錦木にインタビュー
報告:舟木卓也記者
先場所大活躍した新小結・錦木を取材に伊勢ノ海部屋に向かいました。
8時すぎに部屋につくと、若い衆が四股などの準備運動中。錦木は8時半ごろに、まわしを締めて稽古場に入りましたが、右のふくらはぎにはがっちりとテーピングをしています。「2日の稽古総見で肉離れした」と本人は話していたこともあり、腰を割って、じっくりと体の感覚を確かめていました。
その後、ダンベルを使ったトレーニングや腕立て伏せなど上半身を中心に鍛え、軽くすり足も行いました。
10時半ごろからは若い衆のぶつかり稽古で胸を出していました。錦木としては「ぶつかりは大丈夫だった」とのことです。
その後、テレビニュース用のインタビューにこやかに対応いただきました。詳しい内容は9月5日放送予定のニュースウオッチ9でご覧下さい。インタビューの一部を掲載いたします。
新小結・錦木
―― 足は大丈夫ですか?
今のところだいぶ、やった当初よりは楽にはなってくるので。どうにかなるんじゃないかなと思ってます。(総見のぶつかり稽古の時ですか?)ぶつかりの時ですね、ふだんやらないことをやって。よくないですね笑。諦めずにっていってたのに。
―― 病院は行った?
病院には行ってないですけども、治療の先生が来てくれてアイシングとか、いろいろ教えてもらって、マッサージとか、ほぐしてくれてすごい楽になりました。
―― 三役に昇進してどんなお気持ちですか?
昇進自体はうれしいですね。やっぱり番付でもね、前頭じゃなくて小結の下に名前があるっていうのは、気持ちが変わりますね。三役として、しっかりといい相撲を取らないといけないという気持ちはあります。
―― 秋場所での目標は?
まずは勝ち越しを目指して。しっかりと相撲をとっていきたいかなと思ってます。(新三役ということで)変な気負いをしたら(自分の)相撲が取れないので。今回しかない新三役を楽しんでいこうかなと、勝手に思っています。
報告:松井嚴一郎記者
所要3場所で新入幕を果たし、名古屋場所では優勝争いを演じた伯桜鵬を取材しに宮城野部屋へ。
7時50分に到着すると幕下以下の力士がすり足などの稽古。その後、申し合いに入るも伯桜鵬は姿見えませんでした。
8時40分ごろに伯桜鵬が登場しましたが、左肩をつった状態でダンベルやボールを使ってのトレーニングにとどまりました。
この日は稽古場におりることなく終了です。稽古後、元横綱・白鵬の宮城野親方が取材に応じ、伯桜鵬の休場を明らかにしました。
宮城野親方
―― 伯桜鵬の状態は?
秋場所は休場。若いからどこまで回復するか。(手術は?)手術は成功した。31日の木曜日です。
―― 先を見て決めたのか?
リハビリはしていたがなかなかよくならず、先生と相談して決めた。先場所活躍していただけに残念ですけど万全に戻ったら応援してほしい。
―― もともと肩が緩い?
もともと右が悪かったけど、治したところでことし5月に左を痛めてしまった。緩いというより私の考えでは筋肉つけすぎたのかな。そうすると力を抜くことを知らないというか、幕内は力強い人多いから抜くっていうことが分からず、無理になったのかな。
伯桜鵬
―― 親方が休場と話したが
手術したのでしっかり治そうという気持ち。それ以外はない。
―― 肩の状態は?
正直肩の状態はものすごい限界だった。相撲を取るってのがすごく好きだし、期待してくれている後援会の人たちとか、大相撲のファンとかに相撲でみせたい気持ちは強かったんですけど、どうしても肩の回復ができなくて手術しかないなと。それで師匠に手術しか方法がないってことを伝え、手術するってなったときに、師匠はじめ、部屋の方々が手術することの背中を押してくれた。
―― めどは?
めどはいつになるか分からないです。早かったら早く。1日でも早く復活したいし、でも焦って早く復活してまたけがしたらだめなので、しっかり治すって事を最優先していく。
―― 目先より将来を見据えて?
そうですね。あまりにも早く十両に上がって、入幕して、いろんな方から注目されて、メディアにも取り上げてもらって、正直な自分の当時の心境で言えば、左肩は限界だったんだけど、注目されてるところから落ちるのが怖かったし、手術っていう決断に至るまでにすごく時間がかかった。
鳥取でリハビリしながら家族や恩師、後援会の方々とも会ったとき、改めて自分の目標や夢っていうのを想像したときに幕内にいることが僕の目標ではないので、自分の夢を叶えるための最善の選択をしようと思って、手術っていうことを(決断した)。活躍してる姿を楽しみにしてるって皆さんに言ってもらえたので、復活して上がっていくしかないと思っている。
9/2 横綱審議委員会による稽古総見
横綱審議委員会の稽古総見が一般の観客を入れて国技館で行われました。前回は、新型コロナの感染拡大前の令和元年秋場所前で、実に4年ぶりの一般公開です。きょうは記者もアナウンサーも総出で取材です。
まず目立ったのは新大関の豊昇龍です。同じく大関の霧島や貴景勝などとあわせて14番相撲を取りました。
新大関・豊昇龍
なかでも霧島とは4番連続で相撲を取り、豊昇龍が力強く一気に寄り切る相撲を見せると、霧島も土俵際で残して逆転するなど熱のこもった稽古となりました。訪れたファンからは大きな声援や拍手が送られていました。
新大関の豊昇龍
新大関として(稽古総見に)出ることができてすごくうれしい。相手の圧力を感じながら稽古ができてよかった。状態はいい感じだ。
ーー 秋場所に向けては
番付が変わったが、対戦する人は変わらないので、いつも通りでいきたい。できるだけ大勝ちしたい。お客さんが盛り上がるように頑張りたい。
大関・霧島
大関・霧島は幕内の稽古では最も多い17番をとり、先輩大関として存在感を見せました。
大関・霧島
大関3人で稽古をして、お客さんに喜んでもらおうと思っていた。みんなが見ているし、負けない気持ちでいい稽古をしたかった。
ーー 横綱に胸を出してもらったことについて
きつかったが、自分のためと思ってやりきれたのでよかった。
ーー 角番で迎える秋場所に向けて
状態は悪くない。角番とか考えずに自分のことを信じてやっていこうと思う。
先場所休場の大関・貴景勝も12番相撲を取って順調な調整ぶりを見せていました。
大関・貴景勝
気合いを入れて集中してやろうと思った。上どうしでやれることはあまりないので、いい日になった。
ーー けがの状態について
全然大丈夫だ。実力があれば勝つと思うし、負けたら弱いだけだ。全力でいけるし、100パーセント戦いに集中できる。今までやってきたことを集中して出し切れれば問題ない。
また、先場所、腰のけがで途中休場した横綱・照ノ富士は相撲は取りませんでしたが、ぶつかり稽古で霧島に胸を出していました。
横綱・照ノ富士
ーー きょうの稽古で相撲を取らなかった
見ての通り、稽古までできない状態だが、できたら間に合わせたい。治療がゆっくりできる時間もなかったし、ここから調整したい。
ーー 去年手術をした両ひざの状態は
だいぶよくなっている。
大相撲秋場所は東京・両国の国技館で今月10日に初日を迎えます。
9/1 朝乃山を取材に高砂部屋へ
報告:足立隆門記者
午前7時半過ぎに東京・墨田区の高砂部屋に到着しました。気になる朝乃山の現状を確認するためです。部屋についた時には、朝乃山をはじめ新十両の朝紅龍などほぼ全員が稽古場に。
活気のある稽古場
若い衆の稽古を見る朝乃山
すり足を繰り返す朝紅龍
8時40分ごろ、序二段から申し合いが始まりました。師匠は締め込み姿で熱心に指導している姿が印象的です。
9時50分ごろから朝紅龍が土俵に入って申し合いに加わり、朝乃山も続きました。
朝乃山は巡業最終日の27日に右足の親指を痛めたことから、この日が初めて相撲を取る稽古となりました。朝紅龍と10番、幕下の長内と1番、あわせて11番相撲を取って7勝4敗でした。
朝紅龍を押し出す
得意の右四つで一気に寄り切ったり、立ち合いから一気に攻めていったりとさすがの強さです。
しかし、朝紅龍を相手にした相撲では、相手にうまく巻き替えられて右を差させなかったり、素早く動かれてまわしを取れなかったりする場面もあり、まだ本調子ではないことがうかがえました。
黙々とてっぽうを繰り返す朝乃山
朝乃山
―― 巡業後は初めての稽古
巡業の最終日に右の親指をけがして少し空きましたけど、だいぶ腫れも引いたので。
―― 11番取ったが
足の感覚を確かめようと思って。(痛みはどうだった?)ちょっとあったが、大丈夫だった。
―― 先場所痛めたひじの痛みはどうか
ちょっとあるが、最初のころに比べれば大丈夫。
―― なかなか稽古できていない中、焦りもある
全然あります。
―― これから番数も増やしていきたい?
増やしていければいいですけど。取っていけば感覚も戻ってくると思う。
高砂親方
―― 朝乃山の状態についてどう見ている
足がまだちょっと腫れがあるから本調子じゃないと思うんだけど。まあ、大きなけがじゃないので。親指の突き指だから。まあ徐々によくなっていると思います。
―― きょうも久々に相撲を取ったが
あまり動きはよくないけど。徐々に相撲を取れるようになってきているから心配はないと思う。
朝紅龍は21番相撲を取って12勝9敗、朝乃山には4勝6敗でした。関取の仲間入りをした心境など、少し長めに話を聞きました。
朝紅龍
―― 関取と呼ばれることはなれてきた?
そうですね、でもまだ恥ずかしいところもあります。自覚もして今まで以上に頑張らないと。(幕下以下の)黒まわしで稽古するのと(関取の)白まわしで稽古するのは気持ちが違う。負けたらあかんなという気持ちが強いですね。
―― 白まわしは?
汗かいて固くなって。またずれが半端ないです。痛いです。固さが違うんですよね。柔軟剤2回つけてやったけど、全然だめです。
―― 場所前は出稽古も行っている
大島部屋に行きました。宮城野部屋はタイミングが合わなくて行けなかったんですけど。(今後も行く?)行くと思います。行けるのであれば。近くなので宮城野部屋に行きたいですね。
―― 稽古で意識しているのは
特別なことを意識しないでおこうというのは考えていますね。いつも通りいつも通り。特別なことしてけがしたら怖いので。いつも通り場所を目指して万全な状態で場所を迎えたいですね。
―― 強化しているのは
立ち合いは当たれるようにしていますね。先場所いろいろ気づいたことがあったので。(例えば?)それはちょっと秘密です(笑)。
―― 新十両の場所、目標は?
10勝以上はしたいですね。まず勝ち越ししたいですけど。
―― できるだけ早く幕内に行きたい?
早く行けるのにこしたことはないですけど、そこはマイペースで一番一番。先のことを考えるとろくなことないので。先場所も本当に一番一番でできて、盛り返してきたので。そこを意識しながら一番一番。
―― 師匠から場所に臨むにあたってアドバイスは?
いつも通りと。正直実力は幕下上位も十両も変わらないから。本当にいつも通りやれば勝てるからと言われた。
―― きょうの稽古で朝乃山にあまり右を差させなかったが?
そこはあまり気にしていなくて、勝手に体が動く。立ち合いだけですね。見て相撲を取ったらだめです。
8/31 新関脇・琴ノ若を取材に佐渡ヶ嶽部屋に
報告:足立隆門記者
午前8時ごろ部屋に到着すると、すでに幕下以下の申し合いが熱を帯びていました。琴恵光の姿が稽古場にあり、佐渡ヶ嶽親方ほか、粂川親方、白玉親方、秀ノ山親方が力士たちに鋭い視線を送ります。
琴勝峰
その後、琴勝峰、琴ノ若の順に稽古場におりてきました。
関脇・琴ノ若
3人の関取とも、しこ、すり足、筋トレの基礎運動で汗を流し、申し合いに加わりました。
新関脇の琴ノ若は、関取と幕下を相手に15番相撲を取って12勝3敗と、さすがの強さでした。
琴ノ若が琴勝峰を寄り切る
左ひざにテーピングをしていましたが、四つにしっかり組み止めて、右四つでも左四つでも寄り切る相撲が光ります。
琴恵光(右)を寄り切る
琴恵光に振り回される場面もありましたが、落ち着いて足を運んで寄り切るなど、対応力も見せました。
関脇・琴ノ若
―― 関脇昇進の実感はわいてきた?
番付表見て、多少はわきましたね。そこまで地位が変わるわけではないので。まあ、師匠に追いついたという感じですかね。
―― 目標だった?
そうですね、先代(元横綱・琴櫻 琴ノ若の祖父)の地位に追いつくためにも、まず師匠に追いつかないと。そういう上ではまた1つ目標として。特別な思いもあったのでうれしいです。
―― 先場所は前に攻める相撲が光った
終盤につれてそういう相撲が取れていたと思います。ああいう相撲を忘れずにいけば次の場所、その次の場所とつながってくると思うので、そういう意味ではきっかけというか、流れよくいい相撲が取れたかなと思います。初日から出せればもっと成績も伸ばせると思いますし、結果もついてくると思うので、そこをもっと自分のものにして極めて、今場所もそれを出せるようにやっていかないといけないなと思います。
―― 次の番付は大関、そこへの思いは
常に目標として置いてきましたし、まだ上があるので、そこで満足せずにしっかり。なかなか挑戦できることでもないですので。自信を持って、思い切ってやれば結果としてついてくると思うし、見てくれると思うので。自分の相撲を取りきって結果としてつなげられるように精進していきたいと思います。
―― 秋場所での目標は
先場所しっかりふた桁勝ったので、今場所もふた桁、最低でも勝ち越しを目指して、そこからまた優勝だったり、上もあるので、そこを目指して常にやっているので。今場所もしっかりそこに行けるように稽古を積んで精進したいと思います。
琴恵光は19番相撲を取って、6勝13敗の内容でした。
琴恵光はボールを足に挟んでトレーニング
柔らかいボールを足に挟んで筋力トレーニングを行っていました。ことしの1月ごろからやっているようで、5月に取材したときには「閉める動作というか。相撲は足開く動作が多いが、そっちばっかりではなくバランスですかね。内も外も鍛える」と話していました。
申し合いでは琴手計など若い衆と最初に8番やったあと、関取衆も含めての申し合いに。
前に攻め込む場面は少なかったですが、巡業であまり稽古ができず、きのうから相撲を取り始めたということで、本人は「まだ始まったばかり」とこれから調子を上げていくと強調していました。
琴恵光
ーー 先場所は3場所連続の勝ち越し
先場所は15日間を通して自分の形、自分らしい相撲が取れた。負けた相撲も何番かは次につながる相撲で、落ち込む内容ではなかった。
ーー 前に前に攻められていた?
それがつながっていると思う。(手応えを感じるか?)8勝で満足してはだめだが、しっかり勝ち越せているのは、去年と比べて成長している。自分の形で相撲を取れることが増えてきた。
ーー 場所前の稽古ではどんなことを意識するか?
いかに速く自分の形を作れるかですね。
ーー ボールを足に挟んでのトレーニングは?
地道な作業だが、相撲のパフォーマンスにつながる。そこをおろそかにしてはいけない。相撲を取っていると意識はできないが、まわりでどれだけ意識できるか。踏み込みもそうだし、足がついていかないと相手に伝わらない。その意識でやっている。
ーー 自己最高位に近づいて来た
上を目指す、自己最高位を更新するのは当たり前で、そこを意識するのではなく、自分がやるべきことに集中している。番付はあとからの話。しっかりと自分と向き合うことが大事。
ーー 秋場所の目標は?
8勝では物足りない。1つでも積み上げていけるように。あとは自分の相撲を取り切りたい。
琴勝峰は16番取って11勝5敗でした。初場所で優勝争いを演じたときの鋭い立ち合いが戻ってきているように感じます。
琴勝峰が琴恵光(右)を寄り切る
琴恵光を相手に立ち合いで当たってそのまま土俵際に攻め込む場面も見られ、琴ノ若相手には巻きかえて左四つに持ち込んだり、左の相四つに組んだりして寄り切る相撲もありました。師匠からは「左四つの方から安心してみていられる」と声をかけられていました。
琴手計(右)を突き出す
また、弟の琴手計とも相撲を取り、最初の一番は敗れましたが、このあとの2番で勝って勝ち越し、兄として関取として強さを見せていました。
琴勝峰
ーー 先場所を振り返って
最後盛り返して来ていたので。最初からそれができるようにしたい。(終盤何がよくなった?)ひざが悪いなりに動かせた。左足を持っていけるように。ああいう動きをしていきたい。
ーー立ち合いは戻って来ているように見えた
立ち合いはいいが、足が流れることが多いので。つなげられるようにしたい。
ーー場所前の稽古で意識すること
感覚の話で難しいんですけど、この感覚があればいけるというのをつかみたい。ひざもそうですし、全身を使ってのびのびと相撲を取れるようにしていきたい。
ーーきょうは弟の琴手計とも稽古
久々でした。強かった。柔らかさもあって素早さもあってやりにくかった。(弟は幕下9枚目で新十両を目指すが?)気負わないように。でも同級生からいっぱい刺激をもらっていると思うので、自分の芯を持ってやってほしい。
ーー 新婚生活はどうか?
あまり浮かれすぎないように。ご飯を作ってくれるし、治療にも連れて行ってくれるのでありがたい。
ーー 秋場所の目標は?
初日から自分らしい相撲を取って勝ち星を積み重ねて、まずは勝ち越しを目指したい。
報告:佐藤洋之アナウンサー
夏巡業で精力的に稽古した王鵬の様子を取材するため、東京・江東区の大嶽部屋を訪問しました。
この日は、山響部屋の力士が、幕下の大和湖含め5人、師匠とともに訪れていました。両部屋は、かつて北の湖部屋が清澄白河界隈にあった頃から稽古で行き来していて、山響親方が継承し、江東区東砂へ部屋が移った後も、定期的に合同で稽古しています。
大嶽部屋では、普段から準備運動に時間をかけていて、朝7時から8時40分ごろまで、基礎の動きやすり足などが続きました。
すり足を繰り返す王鵬
王鵬も、しこやすり足でたっぷりと汗をかき、9時40分ごろ、幕下以下の申し合いに割って入りました。
夢道鵬(左)を相手に相撲を取る王鵬
幕下の大和湖、夢道鵬、三段目の納谷、大場、序二段の播磨皇相手に11番。主に立合いで押し込んで圧力をかける相撲を確認し、流れで左四つになる相撲が数番。
大和湖と小兵の播磨皇相手に立合いすぐ左四つに組みにいった相撲もあり、このうち、大和湖相手のときは、組めずに後手を踏み、押し出される相撲がありました。敗れたのはこの1番のみです。最後は「これで終わります」と自分で稽古を切り上げました。
王鵬
8月後半体調を崩し、北陸の3日間の巡業を休場し静養に努めました。夏巡業の疲れがたまったのかもしれません。稽古を再開したばかりなので今日は無理しませんでした。
ーー 巡業では豊昇龍から指名されることが多かったが
高校時代のライバルとはいえ、大関に指名していただき有難かったです。豊昇龍関は、2月に立浪部屋で稽古したときと比べ、さらに力や圧力が増していてびっくりしました。自分も変われると思い、一生懸命稽古します。
ーー 北海道での巡業は初めての経験でしたが
札幌巡業のとき、(祖父の故郷の)弟子屈から応援にきたというファンに声を掛けられ、有難かったです。何より、大関はじめ多くの上位力士と稽古できる貴重な機会だったのでしっかりやりました。
ーー 多くの力士に優勝のチャンスがある場所が続いている
自分も去年の九州場所では途中まで優勝争いに加わったので、次は最後まで食らいついていきたいです。その為には、場所の中での好不調の波を小さくし、悪い時のレベルを引き上げねばなりません。楽に勝とうとしないことが大事です。(あさっての)総見でもしっかり上位陣に買ってもらえるようにアピールしたいです。
また、稽古では幕下以下の力士たちも精力的に相撲を取っていました。王鵬が入る前は、序二段4人(新屋敷、須崎、備巌山、播磨皇)の申し合いが始まり、すぐに三段目の6人(納谷、白旺灘、虎徹、家島、大場、竜輝)が加わり、ほどなくして、幕下の東14枚目大和湖、西15枚目夢道鵬も入り12人の申し合いとなりました。
大和湖(左)と夢道鵬(右)
大和湖は、山響親方から「優勝すれば関取に上がれるんだ。どんどんいけ(稽古しろ)」、大嶽親方から「王鵬の圧力に比べたら、本場所の幕下力士は大したことないと感じるはず」と、ことばをかけられ期待の高さが表れていました。
大和湖と夢道鵬の申し合い
両部屋は普段から交流があるだけに、山響親方が納谷のぶつかり稽古の際、「瞬発力や押す力はある。それを生かすためにも、股関節を柔らかくし、しっかり腰を割りなさい」と親身なアドバイスを送っていました。
大和湖
王鵬関は本当に重いけど、今日のように攻め続けて勝てたことは自信になります。幕下上位では四つに組んだら何もできないので、相手のはたきを恐れず、前に出る相撲に徹し、勝ち越しを目指します。
夢道鵬
優勝したら十両に上がれる番付は励みになります。王鵬関にはまだ歯が立ちません。地力が違います。今は、基本的な力強さを備えるため、ジムも利用し、全身の筋力アップにも取り組んでいます。
山響親方は「また来ても良いですか?」と大嶽親方へ声をかけて帰路についていました。活気ある稽古場は、ともに強くなろうという雰囲気に包まれていました。
稽古後は、今年度始まった大相撲中継の中入企画「師の教え」のため、大嶽親方にインタビューしました。
大鵬道場の看板、横綱大鵬の肖像画、大鵬部屋時代から稽古の最後に力士が唱える「日常の五心」の額など、いたるところで横綱大鵬を感じさせる稽古場。
壁には、大鵬さんの17歳の時と、大関の頃の写真と並び、大鵬さん直筆の「夢」の一文字も。
大嶽親方が部屋を継承するとき、「大鵬さんのように細くても努力すれば夢をかなえられる」というメッセージを弟子に伝えたいと、大鵬親方に揮ごうをお願いしたとのことです。その大嶽親方(元大竜)が師匠大鵬親方から受け継ぎ、大切にしている教えとは・・。「師の教え」は、秋場所八日目の9月17日(日)の中入の時間に放送する予定です。放送後は、NHK取組動画のサイトでもアップします。是非、ご覧ください。
報告:松井嚴一郎記者
私は8月に東京に転勤してきたばかりで、この日が2回目の朝稽古取材です。
伝統ある春日野部屋に到着したのは午前7時45分。部屋付きの親方に案内されて緊張しながら取材をはじめました。
部屋付き親方も多く、ひっきりなしに力士に声がかかります。力士たちからも気合いの入った声がもれ、活気ある雰囲気のなか幕下以下の力士の申し合いが続いていました。
午前8時すぎに碧山が稽古場に。しばらく首のトレーニングをこなし、その後はすり足などで汗をかきます。
午前8時40分には、出羽海部屋の御嶽海が出稽古に来ました。親方にあいさつして、鉄砲などで体を動かします。
そして午前9時20分ごろ、 碧山と御嶽海の相撲が始まりました。
碧山と御嶽海(手前)
碧山と御嶽海の申し合い。ほかの力士が入り込む余地はなく、2人で繰り返し相撲を取ります。9番とったところで師匠の春日野親方から「15番とれ」と声が飛びました。
その声に押されるように、熱のこもった三番稽古となりました。碧山の12勝3敗、当たりが強く、一気に攻めきる相撲が多く見られました。
一方の御嶽海は、稽古前や途中で元大関の栃ノ心さんと会話するシーンがたびたび見られました。栃ノ心さんからは「まだまだ前の攻めが足りない」と言われたそうです。
ぶつかり稽古では、栃ノ心さんが御嶽海に胸を出していました。
稽古の締めは 幕下以下の力士が土俵周りですり足、力士を抱えて1周。最後は全員で四股を踏んで五訓を読み上げて終わりました。
碧山
―― きょうの稽古の感覚は?
いつもどおり。久しぶりだったからね稽古が。胸とかは出してたけど申し合いは久しぶり。
―― いつ以来。
名古屋場所終わって以来かな。
―― 御嶽海との15番は?
いつもどおりかな。
―― 週末には総見がありますが
いきますよ。けがしないように気をつけたいね。若いやつがガンガンやる場だから。もう37歳だからね。
―― 体の状態は?
きょうもトレーナーに来てもらって、腰とかひざとか見てもらった。とにかく体調だけ崩さないようにしていくよ。
御嶽海
―― 出稽古はきょうから?
きょうから。きのうから行こうと思ったけどちょっと早いかなと思ってきょうから。
―― 碧山と15番とったが
碧山関とは5月の場所前にやって以来で久しぶりだった。きょうはまだまだ自分が当たれていない感じだった。
―― 碧山の当たりが強そうに見えた。
つえーっす。もげるかと思った。
―― 栃ノ心さんと話していたが
出足が全然踏み込んでない。もう気持ち踏み込んだ方がいいんじゃないかとか。そのとおりだなと。
―― 週末には総見
まだまだこれからなので、総見でしっかり関取衆とやっていけたらいい。
8/30 常盤山部屋 大関・貴景勝を取材に
報告:太田雅英アナウンサー
常盤山部屋の稽古は、基礎運動をたっぷり行います。
すり足を繰り返す大関・貴景勝
大関・貴景勝をはじめ、隆の勝、貴健斗と3人の関取を含む10人の力士たちが、四股、すり足、一丁押しなどで黙々と汗を流しました。
師匠の常盤山親方は、現役時代、初代若乃花の二子山部屋で鍛えられました。当時、教わった勝負への厳しさが指導の原点です。
稽古場には横綱・初代 若乃花の写真が(写真左上)
この日も、番付順に本場所さながらの激しい申し合いが行われ、貴健斗が幕下以下を相手に得意の突き放しだけでなくまわしをとる動きも見せていました。一方、番付発表後最初の稽古ということもあってか、貴景勝、隆の勝は申し合いをせず、基礎運動で体を鍛えていました。
低い姿勢からぶつかっていく貴景勝
ゴムを使ったトレーニング
貴景勝は膝のケガで先場所休場したため、今場所はカド番です。夏巡業は途中から参加しました。この日の稽古場では、名古屋場所前のように両ひざの感触を確かめるような動きはなく、稽古後、報道陣の囲み取材に応じました。
大関・貴景勝
膝の状態は良い。根本的なところをやって、もう少し体の張りが欲しい。体ができないと次の段階に進めない。
相撲は小学校3年からやっているので、基礎で体を作っていけばやれる自信はある。明日くらいから実戦に入りたい。
(ひざの状態)しっかり治した分、相撲をとる稽古は遅れているが、初日に合わせることがすべて。
ーー 休場あけで角番の場所
先場所前は万全ではなかった。100%出せない状態を繰り返すのは良くないし、しっかり治したほうが良いと考えて休場した。無理して出て得るものもあるが、秋場所で勝負しようと決断した。休場明けは関係ない。あまり考えすぎず、勝負できる状態に持っていく。
報告:足立隆門記者
ろっ骨の骨折から復帰を目指す関脇の大栄翔をはじめ、小結の翔猿、そして遠藤など6人の関取を擁する埼玉県草加市の追手風部屋に取材に向かいました。
午前8時半に部屋に到着したときには、すでに大栄翔と大奄美の姿が稽古場に。序二段の力士が申し合いを続けています。
関脇・大栄翔
その後、翔猿や遠藤も稽古場に姿を見せました。
小結・翔猿
遠藤
10時前から三段目、幕下が申し合いを始め、関取も加わっていきます。
名古屋場所で右の肋骨を骨折した大栄翔は、この日が先場所千秋楽以来の相撲です。それでも土俵に入ると存在感が違います。
幕下、三段目の申し合いに加わったあと、翔猿、大奄美とも相撲を取りました。
翔猿をついて出る大栄翔(右)
関取衆では最も多い15番をとって14勝1敗。突き押しも腕がよく伸びていて、一気に攻めきる相撲が多かったです。
稽古の後、大関昇進がかかった名古屋場所の13日目に右のろっ骨(軟骨)を骨折していたことを明かし、当時を語ってくれました。
関脇・大栄翔
ーー 相撲はいつから再開した?
きょうからです。怖さもあるし不安もありましたけど。日数少ないので。やるしかないので。
ーー 右ろっ骨を骨折していた?
そうです。ろっ骨の軟骨。(13日目の若元春戦で倒れた時か?)そうです。
ーー その時の痛みは
あの日は負け残りだったんですけど、とても痛くて。帰ったら動けなくなっちゃって。病院行って。
ーー 14日目、千秋楽は気力で
とりあえず痛み止め、夜から飲んで。でも多少は麻痺していたんですけど、それでも痛さはあったので。残りの2日はどうしようもないですね。
ーー 大関昇進かかる場所、振り返ってどう受け止めている?
根本的な地力と実力とかがまだまだないのかなというような成績だと思う。9番なのでしっかり一から。
ーー 勝負のかかった場所で大事なのは何だと感じた?
気持ちの問題じゃないですかね。気持ちが少しでもぶれたりしたら。不動心じゃないけど、ぶれない心が大事だと思います。
ーー 秋場所、目標は?
けがをしてしまったので、けがをしないことが一番なんですけど。できるだけ勝つことですね。もちろん全勝をねらって。勝ち越しとか言っても仕方がない。1日一番を大事にいい相撲をとっていきたい。
ーー 豊昇龍が昇進して悔しい部分も?
悔しいですし、いい刺激になりますし、頑張りたいですね。
翔猿も番付発表後はきょうから相撲を取り始めました。7番取って2勝5敗。
勝ったのは大奄美と三段目の大雄翔だけで、立ち合いで組み止められて動きを生かせずに敗れるパターンが多かったです。稽古の後、本人も「全然だめ」と硬い表情で取材に応じました。
小結復帰の翔猿
ーー 再小結、心境は?
まあ、上の番付目指してやっていきたいですね。
ーー 相撲を取り始めたのはきょうから?
そうです。(相撲の感覚は?)全然だめですね。
ーー これから番数増やしていく?
そうですね、調子上げていければいいですね。
ーー 幕内上位に定着しているが自信になる?
そうですね。自分の相撲を取りきればいけるなと。
ーー やってきていることを継続していくか、付け加えたいか?
もちろん付け加えたいですけど、体の調子が。(付け加えるとしたら?)基礎稽古とぶつかり稽古ですね。
ーー 痛いところがある?
痛いことはないことはないですけど。
遠藤は大栄翔とは相撲をとりませんでしたが、翔猿、大奄美、そして大翔丸ら幕下以下とあわせて10番を9勝1敗でした。
遠藤(左)が翔猿を寄って出る
最初の一番で大奄美に寄り切られたものの、その後は立ち合いから右、左の前みつを取って寄り切る相撲が光って9連勝。稽古後はすぐに引き上げたため、きょうは話を聞けませんでした。
8/29 伊勢ヶ濱部屋 横綱の状態を確認に
報告:舟木卓也記者
午前8時40分ごろ、部屋の力士が勢揃いするなか、照ノ富士が稽古場に姿を見せました。
若い衆の基礎運動をしばらく座って眺めたあと、四股を踏んでじんわりと汗をかきます。
9時10分頃から三段目以下の申し合い稽古。照ノ富士は、時折、声をかけながら、四股を踏んだり、ダンベルを使った筋トレを行います。
若い衆にはみずから実演して指導をする場面も。幸乃富士の動きがよかった印象です。
10時40分ごろ幕下以上の申し合いが開始。
三段目までの力士とは格段に違う迫力たっぷりの音。ここに熱海富士、錦富士、翠富士が加わって、熱のこもった相撲を見せました。
申し合い終了後、照ノ富士が土俵に入り、相手を立ち合いから一気に押し切る稽古を10本。
腰を気にする様子も見せながら、少し休憩をはさんでさらに5本行い、この日は稽古を終えました。
稽古の後には、ひざや腰の状況について淡々と語りました。
横綱・照ノ富士
―― きのうは治療行くという話だったが
「まだね、なんともいえないね。ちょっとずつ治していかないと」
―― そろそろ相撲をとると言うことも?
「わかんない」
―― そこは状況を見ながら。
(うなずく)
―― 治療してみて状況は
「まあ、きのうのきょうだから。もう少し。痛み止めでね、治ったわけじゃないから」
―― 稽古総見も控えているが?
「徐々にという感じで、いまはああだこうだではなくて、その日その日で」
―― 番付発表され、1横綱3大関。そこについては?
「いいことだしね、盛り上がっていきますよね」
―― 楽しみな秋場所。
「そうですね、その場所その場所が違った味があって、いい場所にね」
―― 横綱の元気な姿をファンも期待していると思う。
(うなずく)
―― ひざは以前よりもいい?
「うん、ひざはね。手術しているから、痛みはあるけど、ちょっとよくはなったのかな」
―― あとは腰さえよくなれば?
「そうですね」
8/28 番付発表 新大関が意気込み
報告:松井嚴一郎記者
大相撲秋場所の番付が発表されました。注目は先場所初優勝し新大関(西大関)となった豊昇龍、東京・台東区の立浪部屋で会見に臨みました。
新大関・豊昇龍
「大関の番付はうれしいがこれからが大変で、勝たないといけない責任もある。絶対に頑張らないといけない」
力強い言葉で意気込みを語った豊昇龍。夏の巡業中には、八角理事長から「しっかり稽古して、横綱まで頑張れ」と激励を受けたことを明かしました。励みになったと言います。
「理事長に初めて声をかけられて、そういうことを言ってもらえたのがうれしかった。もっと稽古を増やして頑張らないといけない」
新大関として臨む秋場所について、明確な目標を口にしました。
新大関・豊昇龍
「自分の中ではできるだけ多く勝ちたい。とりあえず勝ち越し、そのあとに2桁、そして優勝を狙う」
報告:足立隆門記者
新関脇の琴ノ若は、父親で師匠、そして関脇の大先輩でもある佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)とともに会見に臨みました。
25歳の琴ノ若は身長1メートル89センチ、体重176キロの体格を生かした四つ相撲が持ち味で、小結で臨んだ名古屋場所で11勝4敗の成績を残し、関脇に昇進しました。父で師匠でもある元関脇・琴ノ若の佐渡ヶ嶽親方の最高位に並んだことになり、満面の笑顔で喜びを語りました。
新関脇・琴ノ若
「師匠の番付に並ぶことができたのはすごく光栄です。20数年ぶりに『関脇・琴ノ若』を復活させられてうれしいし、自信になる」
ーー 小結昇進後、4場所連続で勝ち越しについて
「悪いときもあったが、辛抱して相撲を取り続けられてしっかり結果につながってきた」
琴ノ若の祖父は元横綱・琴櫻。生前「大関、横綱になったらしこ名を継いでいい」と話してもらっていたということで、琴ノ若は「約束を守れるように頑張りたい」と貪欲に上への意欲も示しました。
会見に同席した佐渡ヶ嶽親方
「やっと並んでくれた。ここで終わりではなく、まだ上の番付が2つある。1場所でも早く琴櫻に並んでほしい」
報告:舟木卓也記者
「努力の積み重ねをしていけばいずれは上の番付になれることを見せられた」
史上3番目のスロー出世で新三役(東の小結)に昇進した錦木も東京・文京区の伊勢ノ海部屋で会見に臨みました。
名古屋場所2日目 照ノ富士を破っての金星
錦木は名古屋場所で横綱・照ノ富士や大関昇進がかかった3人の関脇を次々と破り、終盤戦まで優勝争いに絡みました。10勝5敗の好成績で殊勲賞を受賞し、秋場所で初の三役となる東の小結に番付を上げました。初土俵から103場所での新三役は史上3番目に遅い出世でした。
新小結・錦木
「小結に自分の名前があるのはうれしい。遅かったなというよりは頑張ったなと思う。努力の積み重ねをしていけばいずれは上の番付に上がれるというのを見せられたのかな」
ーー 今月25日に33歳の誕生日を迎えたことについて
「まだまだ元気でいる限りは上を目指してやっていきたい。精いっぱい相撲をとって関脇やそれ以上を目指したい」
同席した師匠の伊勢ノ海親方
「うれしいかぎりだ。本人の努力、稽古の成果がやっと出てきて最近、のびのびと相撲が取れるようになってきた。33歳とベテランの域だが、若い気持ちを忘れずに頑張ってほしい」
この記事を書いた人

舟木 卓也 記者
平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。
プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。

足立 隆門 記者
平成25年NHK入局。甲府局、山形局から地元の大阪局を経て、スポーツニュース部。30代半ばにして初の東京暮らし。

松井 嚴一郎 記者
平成29年入局
6年間の宮崎生活を経て令和5年夏からスポーツニュース部で大相撲など格闘技を担当。
新弟子として頑張ります。

太田 雅英 アナウンサー
平成10年入局 東京アナウンス室
大相撲をはじめ数多くのスポーツ中継で実況を担当