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特集 錦木 “焦らない相撲”で快進撃 ~推し相撲~

相撲 2023年7月16日(日) 午後11:00

名古屋場所の前半戦、主役の1人と言って間違いないだろう。32歳のベテラン、錦木が快進撃を続けている。

 

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横綱、三関脇を撃破!

 

横綱・照ノ富士を裏返す

横綱・照ノ富士に勝って4年ぶりとなる金星をあげた錦木。さらに大関昇進がかかる豊昇龍、大栄翔、若元春の関脇3人を次々に破った。

 

1敗で迎えた中日8日目は過去3戦3敗と苦手としていた翔猿から初勝利。

 

 

右を差されながらも持ち味の重い腰を生かしてじっくり攻めた。小手投げで体勢を崩して土俵際で倒れながらも押し出し。1敗を守ってトップに並んだまま後半戦に向かう。

錦木

焦って前に出ていたらこけていたので、無理に突っ込まないようにした。ここまでで4勝4敗だったらうれしいなと思っていた。十分すぎないですか?(笑)

”焦らなくても残れる”

錦木の好調を支えているのが「焦らない」という意識だ。

 

夏場所2日目 敗れておなかにも土俵に砂が

きっかけは先場所、前半戦で1勝6敗と苦しんだ時のこと。所属する伊勢ノ海部屋の親方である元関脇・土佐ノ海の立川親方からアドバイスを受けた。

錦木

先場所は前半戦バタバタしていたが、『そんなに焦らなくても残せる』と親方に言われた。それで一回落ち着いて考えてみて。焦って前に出てもはたかれるなら焦らないと。

重い腰を生かして

そのひと言で錦木は変わった。

 

夏場所中日 若元春を圧倒

無理に攻めずに持ち味の重い腰を生かす相撲を心がけると先場所は中日から千秋楽まで8連勝した。

 

自己最高位となる東の前頭筆頭に番付を上げて臨んだ今場所、その重い腰を生かした相撲の強さをいかんなく発揮している。2日目、横綱・照ノ富士との一番は両腕をきめられて押し込まれながらも、落ち着いてすくい投げ。

 

 

続く3日目は豊昇龍の引きをこらえて残し、逆にはたき込んで勝利をつかんだ。

 

 

元大関・魁皇の浅香山親方など、審判部の親方たちがこぞって「強いね」と賞賛を惜しまない相撲内容で先場所からの連勝を「14」(6日目まで)にまで伸ばした。本人もみずからの活躍に驚きを隠せない。

錦木

もともと負けてるほうが多いので連勝しているのが奇跡。困りますね、プレッシャーがかかって。でもいい感じに力んでいない。

適度なお酒で力を抜いて?!

錦木は、もともとはヤクルトで活躍した古田敦也さんに憧れる野球少年だったが、体験入門などを経て、中学卒業を機に角界入りした。いわゆる”たたき上げ”の力士だ。力士の中で屈指の酒好きとして知られていて、場所中も夜には焼酎を飲んで、気分をうまく変えているという。

 

今場所初黒星を喫し引き上げる錦木

初黒星を喫した7日目も、報道陣に対して「飲むしかないね」といつもどおり明るく、“焦り”は一切見られなかった。

 

記録更新に期待も

その32歳のベテランには優勝争いだけではなく、ある記録の更新にも期待が高まっている。

 

今場所も若元春を破る

今場所で初土俵から103場所となるが、まだ三賞を受賞したことはない。もし今場所で初受賞となれば、初土俵から数えて最も遅い記録となる。

また、今場所、東の前頭筆頭で勝ち越せば、憧れの新三役へ前進する。こちらも昇進が決まれば史上3番目に遅い記録となる。

 

名古屋場所2日目支度部屋で(代表撮影)

三賞受賞にも新三役にも意欲を見せる錦木は中日の勝利で7勝目。引き続き“焦らない相撲”を心がけ、まずは勝ち越しを目指して土俵に上がる。

錦木

勝ち越さないと三役も何もない。できたら一発で勝ち越しを決めたい。

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この記事を書いた人

足立 隆門 記者

足立 隆門 記者

平成25年NHK入局。甲府局、山形局から地元の大阪局を経て、スポーツニュース部。30代半ばにして初の東京暮らし。

 

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