特集 ラグビー日本代表合宿の現場から! ~ワールドカップ9月開幕~

史上初のベストエイト!荒々しくも計算され尽くしたプレーの連続に日本中が熱狂し、数多くの”にわか”ファンが生まれたラグビーのワールドカップ日本大会から4年。再びあの興奮が帰ってきます。新たな舞台はフランス、前回大会を上回るベストフォー以上を目標に掲げる日本代表の戦いが本格的に始まりました。33人の代表を絞り込む代表合宿、取材にあたるアナウンサーや記者が現場の熱気を伝えます。国内最終の宮崎合宿スタートです。
8/3 宮崎合宿打ち上げ
報告:小林達記記者
7月3日から1か月にわたって行われた宮崎合宿もこのクールで終了です。公開された8月2日、3日の練習の様子をお伝えします。
この日は一般公開日ということで720人のファンが見守るなか、フォワードはラインアウト、バックスはキックの練習を入念に行っていました。
練習後には戦術面を担当するトニー・ブラウンコーチが取材対応。その主なやりとりです。
トニー・ブラウンコーチ
――合宿を重ねて数値やスタッツで自信のある部分はあるか。
ディフェンスはすごく成長しています。リーチ選手のレッドカード以外は。衝突の部分もパワフルになっています。ターンオーバーもたくさんできるようになっています。ただ、そこから自分たちの得点につなげることができていません。
――試合ではハンドリングエラーが多くなっているが。
気にはしています。すべてのボールをしっかりキャッチしてほしいと思っています。ミスを少なくしていかなければいけません。ただ、ボールを動かすことをやめてほしくないです。強いチームに勝つために自分たちはボールを動かさなければいけません。そこは継続してハードワークして、速いラグビーをして、パスもたくさんして、しっかりキャッチしてもらわなければいけません。
――ここ数試合での攻撃面での進歩はどうとらえているか。
遂行力はよくなってきていると思っています。すべてのチャンスを毎回ものにしていかなければいけないと思っています。試合でのスピードと勢いには満足していますが、遂行力はもっとよくしていかなければいけないと思っています。
――チームは1勝して変わったか?
ラグビーで勝つことは大事だと思っています。選手のプレッシャーは少しなくなったと思います。この前の試合後はビールがすごくおいしかったです。前回のワールドカップ前は釜石でフィジーと対戦し、そこで勝ったことでチームに自信がつきました。同じように今週も戦って自信を持ってワールドカップに行きたいと思っています。
トニー・ブラウンコーチの取材を終えて撤収しようとすると、ファンとふれあうリーチ マイケル選手の姿がありました。
ファンに話を聞くと、熊本や福岡など県外からも多くの人が訪れていることがわかりました。真摯に対応するリーチ選手のもとには列ができていました。サインをもらった人たちは大喜びの様子で帰っていきました。
練習は午前9時半ごろから15分ほど公開されました。選手たちは、ミニゲームを行ったあと、15対15の実戦練習で汗を流していました。けがで出遅れていたフランカーのピーター・ラブスカフニ選手が主力組に入って元気な姿を見せていました。
練習後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが宮崎合宿を振り返ったほか、国内最後のテストマッチとなるフィジー戦に向けて意気込みを語りました。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ
フィジカルの部分が仕上がってきているし、体力面もすごくよくなってきている。ワールドカップに向けて少しずつチームができあがっている感触がある。チームの中に経験を積んだ多くの選手がいる。前回のトンガ戦では自分たちのベストのラグビーができたと思うが、ところどころでメンタルのスイッチが切れてしまった部分があった。今週のフィジー戦ではその部分を改善していきたい。タフな試合になると思うが、いい結果が残せるよう頑張っていきたい。
一方、ジョセフヘッドコーチは取材の中でけが人の状況についても説明しました。
このうち2日の練習で足を引きずってグラウンドを離れたロックのワーナー・ディアンズ選手は足首をひねり復帰まで2週間から3週間の見込みだということです。また、ロックのヘル ウヴェ選手は肩を、フランカーのテビタ・タタフ選手は手をけがしているほか、フランカーの福井翔大選手は頬の骨にひびが入り休んでいるということです。
7/28 代表初先発 長田智希選手に注目!
報告:池野健アナウンサー
7/29(土)にトンガ代表と対戦するラグビー日本代表。きょうは試合会場の大阪・花園ラグビー場で、前日練習です。
日差しが強く照り付けるグラウンド。10分ほど外にいるだけで、体中を汗が流れます。
7月以降の強化試合やテストマッチで、まだ勝利がない日本代表。トンガ戦では、前週のサモア戦から先発メンバー6人を入れ替えました。
長田選手は中央
注目は、代表初先発の長田智希選手。サモア戦では、後半22分から途中出場し、初キャップを得ました。
東海大仰星高校時代、主将として花園優勝を経験している長田選手。慣れ親しんだグラウンドでの練習では、ボールを持つたびに、チームメイトから名前を呼ぶ声が聞かれました。
これまで、中野将伍選手や中村亮土選手が任されてきた「12」番のポジションですが、W杯メンバー入りに向けて猛アピールです。
練習後に行われた、長田選手の記者会見です。
長田智希選手
コンディションはベストだと思っていますし、試合に向けて良い準備ができています。トンガは、フィジカルのところで日本に対してプレッシャーかけてくるチーム、12番はセットプレーの最初のプレーなど、相手とぶつかるところで大事なポジションなので、しっかり役割を果たしたいです。
ーー これまでのリザーブからの出場とは違い、先発出場です
リザーブだと限られた時間なので、1つ1つのプレーを出し切れる。後のことを考えなくて良い。先発出場はそういうわけにはいかなくて、80分間の中で勝ち切るのというのが大事なので、リザーブとは変わってくると思います。リザーブでは、ボールキャリーのところでチームに勢いをもたらすところは通用したかなと思います。
ーー 花園に戻ってきてどう感じましたか?
高校時代を思うと特別な場所でもあります。前のイメージと違って、今日は芝の感覚は変わっていたなと思いました。
ーー 前の試合から改善したい点は?
前の試合では、ラックの寝方が悪くて、一瞬で絡まれてペナルティをとられてしまった。12番で、ボールキャリーが多いと思うので、寝方1つ、リリースの仕方1つをこだわりたいです。
7/26 週末のトンガ戦へ Our Teamで勝利を!
報告:小林達記記者
今週末7月29日に行われるトンガ戦に向けて日本代表の宮崎合宿が公開されました。この日は、室内練習場に掲げてあるスローガンの撮影が許可されました。
Our Team、勇気、挑戦、絆、導くなど、チームが大切にしているキーワードがずらりと並んでいました。
そのなかの「磁石」について、練習後、稲垣啓太選手が教えてくれました。
稲垣啓太選手
たくさんの文字を見て思い出すことで、自分たちが何をしなくてはいけないか立ち戻ることができます。『磁石』というのは横とのつながりをとり続けるという意味が込められています。
選手たちはこのように練習中から常にスローガンを頭に入れながら厳しい練習に取り組んでいるのです。
一方、今週末はトンガとのテストマッチということで、名付けられたのが「トンガウイーク」。選手たちはトンガの伝統料理である豚の丸焼きを食べたそうです。また、トンガ語の伝言ゲームも行ったようです。日本ラグビー協会の公式インスタグラムにその様子がアップされていました。みんな楽しそうです。
日本ラグビー協会公式インスタグラムより
さらに結束が強まったチームは今シーズン初勝利をかけてトンガ戦に臨みます。NHKでは29日の試合の模様を中継でお伝えします。
7/21 日本代表が“札幌”に!
報告:筒井亮太郎アナウンサー
日本代表は、7月22日(土)にサモア代表と対戦します。ワールドカップ本番まで2カ月を切って、これが今シーズン初のテストマッチです。サモアと言えば、今年のワールドカップ1次リーグの対戦相手。これが3大会連続の対戦で、ここ2大会連続で日本が勝利しています。
そのサモア戦が、北の大地にある”札幌ドーム”で行われます!
札幌放送局で勤務する私にとっては、日本代表の試合が札幌で行われるなんて!嬉しくてたまりません。
試合の前日練習取材のため、私も札幌ドームを訪れました。Jリーグ「コンサドーレ札幌」のホームスタジアムとしてもお馴染みですよね。
ラグビーの試合は、2019年のワールドカップ日本大会で、オーストラリアやイングランドの試合が行われたことがありましたが、日本代表の試合が札幌ドームで行われるのは初めてです。
札幌ドームの中は少しひんやりとしています。
ヘル・ウヴェ選手は「涼しくて、グラウンドも素晴らしかった。毎年ここで試合を行いたいくらい」と好印象。
プレーの影響について、山中亮平選手は「(ハイボールのキャッチは)風もないのでキャッチしやすい。天井の形がいつもと違いますが、前日練習をしてみて、(見え方などは)違和感なくできました」と話していました。
そして、札幌ゆかりの選手と言えば、この人!
札幌山の手高校出身のリーチ・マイケル選手です。ニュージーランドから15歳で来日し、高校3年間を札幌で過ごしました。
前日練習後、リーチ選手の記者会見が行われました。
リーチ・マイケル選手
ずっと札幌での試合を楽しみにしていました。北海道で日本代表の試合を見られる機会を作ってくれた協会には感謝しています。個人的には、札幌は思い出の場所、僕の土台を作ってくれました。色んな人に支えてもらった場所なので、この場所で恩返しがしたいです。
ーー 明日の試合について
All Blacks XV との2試合で出た反省を修正したいです。修正点は2つあります。
1つ目は、個人のミスをなくすこと。個人のミスによって、トランジション(攻守の切り替え)の回数が多くなってしまっているからです。
2つ目は、トランジション(攻守の切り替え)のディフェンス。札幌ドームは涼しいし、ボールも(汗で)滑ることもないので、勝つことで自信を付けることが大事だと思います。
7/19 ハイブリッドの芝生でスクラム強化
報告:小林達記記者
日本代表の宮崎合宿は3週目に入っています。
きょうは、以前サンデースポーツでもお伝えした宮崎の合宿地の芝生についてです。日本は、ワールドカップが開催されるフランスの芝生を想定し、ハイブリットの芝生でスクラム練習を重ねています。練習後、許可をとって撮影させてもらいました。
写真ではなかなか伝わりにくいですが、天然芝と違って少し柔らかい感じがしました。「ふかふか」といった感じでしょうか。
長谷川慎スクラムコーチ
フランスでの試合はすべてハイブリッドになる。日本は、体の大きさや重さで組むスクラムではなく、地面にしっかりスパイクのポイントをかけて、そこから上半身の力をどうやってばらさないか。特に芝生が重要になる組み方をしているので、こうした環境で練習できることはありがたい。いい練習ができている。
7/14 スクラムの要 主力選手が勢ぞろい
報告:高木修平アナウンサー
日本代表は5週連続の強化試合とテストマッチにのぞんでいます。2週目の舞台は熊本です。
前日練習の取材で、試合会場のえがお健康スタジアムを訪れました。合宿先の宮崎から朝に移動してきた日本代表。約15分間、練習が公開されました。
先週(7月8日)の試合ではノートライで敗れた日本代表。あす(7月15日)もニュージーランド代表のセカンドチーム「All Blacks XV」と対戦します。日本も先週の試合は経験の浅い選手を多く起用したいわゆるセカンドチームとしてのぞみましたが、今回は主力選手が名を連ねます。
前回の試合から先発7人を入れ替える中で、特に大きく変わるのがスクラムの最前線。フロントローと呼ばれるFW第1列の3人です。
1番に稲垣啓太選手。2番に堀江翔太選手。3番に具智元選手。
この名前の並びを見て思い出すのが前回のワールドカップ日本大会。5試合中3試合で、この3選手が先発しました。
特に一次リーグのアイルランド戦ではスクラムから相手の反則を誘って、具選手が絶叫。
2019年ワールドカップ日本大会 アイルランド戦
勝利への揺るぎない自信をつかんだシーンとして深く刻まれることになりました。
日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、先週の試合での手応えについて問われると、スクラムをはじめフィジカルの部分をあげていました。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ
相手にプレッシャーをかけられた。これからワールドカップで戦うイングランドやアルゼンチン、サモアといった体の大きいチームとの試合に向けてこの部分は今後も最優先に強化していきたい。
きょうの練習後には、FW第1列を代表して具智元選手の会見も行われ、随所に自信ものぞかせました。
具智元選手
ーー 稲垣選手、堀江選手との第1列は、前回のワールドカップ以来
練習ではずっと堀江さんと組んでいて、いつもサポートしてくれる。稲垣さんもいつも近くに来てくれて、練習から助けてもらっています。1人になることがなく8人で組んでいて、今まで一番いい感覚で組めています。
ーー 前の試合ではスクラムが全体的に安定していた。何かを変える必要がある?
やることは変わらない。ただ、先週の試合では反則をしてしまったり、押されたりするところがあったので、自分たちが80分間、常に同じスクラムを組めるようにしたい。意識としては、スクラムを組む前から、自分と一緒に動く堀江さんや後ろの選手ともしっかりコミュニケーションとっていきたい。練習では一つもミスがないようにできたのでいい感じだった。
ーー スクラム担当の長谷川コーチから言われていることは?
自分については、去年のイングランド戦のあとから「強気で組め」といつも言われている。ただ、先週の試合、自分の1本目のスクラムでは強気でいこうと思いすぎて、右側に流れてしまった。自分ではいけると思っても、まっすぐに8人で組んだらもっといいスクラムができたと思う。強気でいく心はずっと持ちながら、8人でしっかり組んでいきたいと思う
ーー 前回大会の4年前からの進歩や違いは?
4年前よりも、スクラムで後ろにいる選手から力をもらっていてすごくいい感じです。スクラムの形を作るのも早くなった。いい姿勢でしっかり組めていて、いい姿勢になれば押されても痛くない。
ーー スクラムで後ろにいるアマト・ファカタバ選手の動きは
前の試合で初めて一緒に組んだ。練習からいつもスクラムで「アマトいくよ!」と言ったら、すごく頑張って押してくれる。3番のポジションはみんなに助けてもらわないといけない。1人になるとやられてしまうので。アマトが頑張ってくれて助かっています。重たいですけどね(笑)。
ーー 前回の課題だった試合中の選手同士での話し合い。この1週間の変化は?
練習からいい雰囲気で、練習の質もよくなったように見えた。プレーの中でも隣の選手とのコミュニケーションがとれていて、個人としてもセットプレーの出来がよくなった。あすの試合が楽しみです!
マスコットキャラクターもOur Team
報告:小林達記記者
日本代表の前日練習を終えてNHK熊本放送局に立ち寄ると、見慣れないトラックが駐車場に...
ちなみにトラックの後ろはこんな感じです。
そう、きょうは日本ラグビー協会の公式マスコット「レンジー」が熊本放送局の夕方のニュースに出演する日でした。
歌舞伎の演目、連獅子をモチーフに誕生したレン(白い方)とジー(赤い方)。スタジオでの立ち姿もバッチリ決まっていました。
レンジーの予想は「あすの日本の勝率は100パーセント」だそうです。そして最後に見せてくれたのが豪快な毛振り!!
先週の日本代表は攻撃時の連係ミスが目立ちましたが、レンジーがそれを打ち消すかのように息の合った動きを見せてくれました。あすの試合はきっと選手たちがすばらしい連係を見せてくれるはずです。
マスコットキャラクターからもOur Teamの精神を感じ取ることができました。
7/12 存在感放つ新星・福井翔大選手に注目
報告:森脇貴大記者
日本代表の宮崎合宿は2週目。午後に行われたおよそ2時間の全体練習のうち15分のみが報道陣に公開されました。
選手たちはラインアウトから攻撃を組み立てるための動きを確認する練習を繰り返し行っていました。
きょう注目は上の写真の右端にいるフランカーの福井翔大選手(23)。先週のニュージーランド代表のセカンドチーム「All Blacks XV」との試合では、チームが苦戦を強いられるなか、激しくボールを奪いにいく「ジャッカル」を成功させるなど存在感を示しました。
福井翔大選手
ーー 前回の試合について
前半を通して勝てるビジョンがあったが、結果として点差もひらいてしまい、反省点が残る試合だった。(個人的には)体を当て合っても飛ばされることもなく、そこに差があるとも感じず、自分自身がやってきたことができた。
ーー 代表のメンバー争いがさらに加熱することについて
メンバーに選ばれても選ばれなくても悔いが残らないようにプレーを続けていく。
ーー 特徴的な髪型につい
この髪型はドレッドヘアもどきで、パーマなので、とれてしまうことがあるので、自分でお風呂上がりに巻いたりしてケアしています。
日本代表の期待の新戦力、話題も豊富な福井選手の今後に注目です。
7/5 第2弾、宮崎合宿スタート!
報告:酒井良彦アナウンサー
ラグビーワールドカップフランス大会の開幕までおよそ2か月。日本代表は国内最後の合宿を宮崎でスタートさせました。
ここで気になるのが…
「なぜ、まだ主将を決めていないのか!?」
今週末からは強化試合も始まります。そんな中、週末に行われるオールブラックスⅩⅤ戦の主将が、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチから発表されました。
「リーチ マイケル選手と、流大選手の共同主将で戦います!」
日本代表は先月の浦安合宿から主将を決めずにチーム強化を図っています。あまり見ない状況について、ジェイミーヘッドコーチは...
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ
仮に主将が決まっていたとして、その選手が80分フルにプレーできるとは限らない。もし60分で交代になった場合、残りの20分はリーダー不在で戦わなければならない。でも、実はその最後の20分が一番大事。試合の行方を決める最終盤のプレッシャー下において、主将無しでも戦えるチームにするため、今回は主将をすぐには決めていない。
今、チームには、代表での主将経験者だけでなく、リーグワンで主将を務めた経験がある選手も含め、多数、リーダーとなり得る選手が存在すると言います。
ジェイミーヘッドコーチは「これだけリーダーシップをとれる選手を育てることができた。選手たちは非常に頼もしい」と手ごたえを口にします。
きょう、チームは練習を30分間公開。週末の試合に向けて、フォワードはラインアウト、バックスはキックや個人の練習をしていました。
全体として、さらに精度を高めようという狙いもうかがえました。
リーチ マイケル選手
坂手淳史選手
取材対応したリーチ選手、坂手選手とも、試合はすべて勝ちたいと言っています。これまでの合宿の成果がどう出るのか!?注目です!!
ジェイミー退任表明も選手たちは冷静!
報告:森脇貴大記者
今週から始まった宮崎合宿。公開初日となった5日は、500人を超える観客が訪れ、選手たちに声援を送りました。
グラウンドには、チームのスローガン「Our Team」と書かれた巨大な幕。
チーム一丸となって戦う姿勢を見せる中、練習後には、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが、フランス大会後に退任することを自ら明言しました。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ
チームを離れるにはいいタイミングだ。家族もいますしね。
2016年から長きにわたり指揮をとる監督の退任もチームの中心を担う2人の選手は冷静に受け止めていました。
リーチ マイケル選手(前回大会主将)
僕たちにはコントロールできないことだし、ジェイミーとの最後のワールドカップ、勝って送りたいという気持ちもあります。
坂手淳史選手(去年の主将)
ジェイミーの人生なので。まずはこのワールドカップフランス大会というところに自分たちがフォーカスして、それをエベレストにたとえて、そこに向かって今頑張っている段階なので、そこまでみんなで突っ走りたい。
フランス大会に全集中し日本代表は「Our Team」で走り抜けます。
6/29 浦安合宿を打ち上げ!
報告:伊藤慶太アナウンサー
12日から始まった浦安での合宿は、予定より1日早く今日の午後の練習で打ち上げました。
選手たちに1日早くリフレッシュする時間を与えようというのが理由です。
最終日の練習公開はわずか10分ほど、キックカウンターに対する守備やフェーズを重ねてのアタックを繰り返していました。
強い日差しが照り付けるグラウンドには、選手たちのコミュニケーションをとる大きな声が響いていました。
厳しい合宿の成果は選手たちの背中からしっかりと伝わってきました。
藤井ディレクターが合宿を総括
藤井雄一郎ナショナルチームディレクターが、この合宿の総括として取材に対応しました。
手応えを感じているのは注力してきたディフェンス面です。
藤井ナショナルチームディレクター
フィジカル面の強化で、ディフェンス面に、成果がでている場面が多くみられた。疲れがとれてきたら、いい試合するだろう。全ての練習をこなせた選手と、そうでない選手とでは、パフォーマンスも違ってきている。乗り越えた選手は、成長できている。しっかり、スクエアに立てていたり、相手を押し込んでいたり、タックルミスも減っている。
7/3から始まる宮崎合宿では、今の人数から5~6人絞ってチームを小さくしていくということです。
この合宿で土台はしっかりできたので、あとはグラウンドで体現できるようにコーチングしていく。宮崎からは試合が始まっていくが、1戦目(8日)までは、あまり質は落とさず、2戦目(15日)以降は、本大会を意識しながらやっていく。
気になる、誰がキャプテンを務めるかについては・・・
チーム内では固まっているが、試合を重ねて、正式発表できるようになったら、その時に。共同キャプテンということになると思う。今日、この場で言ったら、ジェイミーに怒られます(笑)。
ということで、発表の日は近いと思われますが、いったい、誰がなるのでしょうか?!
日本代表への注目度高まっています!
報告:小林達記記者
浦安合宿の最終日も多くの報道陣が取材に訪れました。
最終日の報道陣
日本ラグビー協会によりますと、浦安合宿期間中の報道陣は延べ600人を超えました。
また、期間中に2日間設けられた一般公開では、あわせて1206人のファンが選手たちの練習を見守りました。
今月16日の一般公開日
ワールドカップに向けて注目度が高まっていると感じました。
NHKでは、本番に向けてさらに力を入れて日本代表の情報をお届けする予定です。
6/27 日本がめざすアタックは!Part.2
報告:小野卓哉アナウンサー
浦安での合宿も、残りわずかの日々となってきました。連日の激しいトレーニングで、選手たちの疲労も色濃いものになってきています。
選手からも「リーグワンの公式戦でも、こんなに高い強度の”当たり”はありませんでした」という話が聞こえてくるくらい、依然として激しいコンタクトプレーが行われているようです。
今日報道陣に公開された練習では、ラインアウトの確認などが行われていました。マイボールをキープして、そこからのアタックの形の確認。スピーディーにボールを展開させる場面も時には確認できました。
知っ得ルール!「ラインアウト」
タッチラインの外にボールが出た後、試合を再開させるプレー。両チームの選手数人が2列に並び、その間にボールを投げ入れてボールを奪い合う。
担当コーチに聞く!
アタック担当のトニー・ブラウンアシスタントコーチへの取材がこの日は行われましたが、アタックの考え方について、「ジャパンラグビーは速いラグビー」というワードが何度も出てきたのが印象に残りました。
トニー・ブラウンアシスタントコーチ
相手のディフェンスより自分たちは速くアタックして動かなければならない。ゲームがスローダウンして、自分達としてのフィジカルゲームが始まってしまうと、なかなか難しい試合になってしまう。速いラグビーをしていくことが重要。
(キックの使い方について)
ハイボールキックをすることで、自分たちがそこでプレッシャーをかけることができる。そこで何をするかと言ったら、ターンオーバーをしてトライする。そこで自分たちの速いラグビーをする。
速い展開を行っていきたいという思いが、今日の取材では印象に残りました。ここまでは、フィジカルを鍛える部分などの話が多くでていますが、アタックも重要!
ジャパンがどんなアタックに仕上げていくのか、注目していきたいと思います。
全体の取材の中では、気になるメンバーの絞り込みに関する話も出ました。大会が近づくにつれ、現在の代表36人、代表候補10人から最終的に33人のメンバーへと絞られることになります。トニー・ブラウンアシスタントコーチによると「練習が選手にとってチャンス。すごく競争が激しい。どのポジションも空いています」とのこと。誰が最終的にメンバー入りするのか、目が離せません!
タックル練習に手応え
報告:小林達記記者
きのう伊藤慶太アナウンサーがご紹介した長田智希選手、齋藤直人選手に続いて、きょうは中野将伍選手です。
お気づきの方も多いと思いますが、この3人は早稲田大学で2020年に全国大学選手権を制しています。順調に成長し日本を背負う選手になっています。
練習後、中野選手に話を聞くと、ここ2週間のタックル練習に手応えを感じていました。
中野将伍選手
体重は大きく変わっていませんが2週間体を当てた分、体がでかくなっているというか、当たったときの強さを感じています。
もともとフィジカルの強さが持ち味の中野選手。さらにパワーアップした姿でどんな活躍を見せてくれるか楽しみです。
7月から始まる試合に向けては「まず試合のメンバーに選ばれるように毎日の練習で100パーセント出しきってアピールしていきたい」と意気込んでいました。
6/26 浦安合宿も最終クール突入
報告:伊藤慶太アナウンサー
浦安での合宿も最終クールに入り、実戦形式のメニューも入ってきました。
厳しいタックル練習の証か?!
選手たちの中には、パッドで頬まで傷を覆っている選手や、顔に生傷が目立つ選手も見られました。
そしてこの日は…
かつて日本代表のキャプテンを務めた廣瀬俊朗さんが代表チームの合宿を訪れました。
廣瀬さんが熱い視線を送っていたのは、この合宿で初めて代表に選ばれた長田智希選手です。廣瀬さんの長田選手評は…
長田智希選手
「ボール持ったときの思い切りのよさがいいですね。縦に切り裂くのもそうだし、スピードもあるのでアタックのランナーとしての魅力があると思います」
とても高く評価されています。
廣瀬さんが行った長田選手へのインタビュー当日のニュースウオッチ9で放送したものをダイジェストで掲載します。
廣瀬さん)
「いまいろいろなことをインストールしていると思いますが、自分のよさを出しながら、どういうふうにアピールしていこうと考えていますか?」
長田選手)
「1日1日の練習の中でハードワークして自分がこのチームで貢献できるというところをコーチたちに見せたいなと考えています」
廣瀬さん)
「フレッシュな選手が来ることは、日本代表にとってもうれしいことだと思うので、慣れるのも大事だけどいろんなことをガンガン(やってほしい)」
長田選手)
「若さを出していこうと思います」
廣瀬さん)
「チームも活性化されて自身の成長にも代表にもいい流れができるのでは。わくわくしています」
長田選手)
「そうですね、頑張ります」
ちなみに、早稲田で長田選手と一緒にやっていた斎藤直人選手は、この日の取材で…
「学生時代から、全てにおいて優れていると思っていたが、今回久々に同じチームでやってみて、フィジカルの強さやメンタルのタフさが一段と上がった」と話していました。
長田選手が、これからのテストマッチでどんなアピールを見せてくれるのか、楽しみです。
6/23 新ジャージ発表会 ONE TEAMの願い
報告:小林達記記者、坂梨宏和記者
ラグビー日本代表の新ジャージ発表会が東京・千代田区で行われました。
会場内はもちろん、会場の外にも多くの人が集まって注目度の高さを感じました。
新ジャージは、全国のファンから回収したウエアがリサイクルされ、素材の一部となっています。
前回大会のように「選手とファンがONE TEAMになってほしい」という願いが込められているそうです。
また、胸から腹部にかけてのラインは「かぶと」をコンセプトに、武士道の精神でチームをひとつにして世界に挑む姿をイメージしているということです。
このジャージで選手たちが躍動する姿が待ち遠しいです。
6/22 ファンも大満足の公開練習
報告:小林達記記者
きょうの練習は一般公開日でした。弱い雨が降っていましたが訪れたファンはおよそ500人。
グラウンドを囲んだファンが見守る中、選手たちは15対15の実戦を想定した練習のほか、タックルやキックの練習などで汗を流しました。
そして練習後のファンサービスでは、選手たちがファンのところにやってきて、サインボールを配ったり、記念撮影に応じたりしていました。
ファンに話を聞くと「さらに応援したくなった」「感動した」と大満足の様子でした。
以前の取材で坂手淳史選手は、「ファンの人たちにも『Our Team』を感じてもらいたい」と話していました。きょう、笑顔で交流する選手とファンの姿を見て、きっと思いはつながっていると感じました。
6/20 選手が恐れる"ヤバい"トレーニング
報告:筒井亮太郎アナウンサー
「率直に"ヤバい"っす。"えぐい"っす。強度が凄まじいですし、運動量が凄まじいですし、明日からそのトレーニングに参加するので、今日は寝られないと思います」
そう話したのは、日本代表の姫野和樹選手です。
合宿も2クール目に入り、選手たちが恐れる"ある激しいトレーニング"が行われています。
行われている場所は、トレーニング施設のグラウンド横。写真に写る私の後ろに、白いテントが見えるでしょうか?
このテントの中で、そのトレーニングが行われています。われわれ報道陣にも公開されていないため、全貌は明らかになっていません。
選手の言葉から読み解く
そのトレーニングの様子を、選手たちの言葉から読み取っていきます。
福井翔大選手)
本当に痛い。試合よりも痛い。トレーニングをした日の夜は、次の日の朝は絶対にできないと思うのですが、次の日の朝にトレーニングができちゃうので人間って凄いなって思います。
姫野和樹選手)
タックルのディテールって細かいところまであるので、あのトレーニングは良いと思う。強度を上げるだけではなくて、ディテールにもこだわっています。早くやりたい気持ちもあるし、怖さもある。
李承信選手)
毎朝、憂鬱になるくらいきついですね。これを乗り越えると2倍3倍タックルの意識も変わり、自分の体の変化も感じます。レスリングだったり、相撲だったり、色々な競技のスキルを身に付けて、タックルのテクニックに結び付けたい。
選手たちの言葉から伝わってきたキーワードは、"朝に行う" "とにかくきつい" "タックルの細部にこだわった練習" "レスリングや相撲も取り入れている"ということ。
先日の豊原アナウンサーの報告にもあった通り、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、これまでワールドカップに向けて「タックル強化」の重要性を再三語っています。その達成に向けて、この合宿で、かなりハードな、タックル技術の細部にまでこだわったトレーニングが行われていることが伺えます。
また、スクラムハーフの流大選手は、このハードな練習は、チームワークを養うことにもつながると話します。
皆で乗り越える意味
流大選手
いざ朝になると、トレーニングに向かうバスの中で、『しっかりみんなで乗り越えよう』とお互いに声掛けもします。個人個人、好んでできる練習ではありません。ただ、やらないといけない使命感があります。本当に大変ですけど、自分を追い込むことと同時に、仲間をどうやって助けるかというのも重きに置いているので、どんなにきつくてもお互いの目を見て、声を掛け合いながら行っています。試合できつい時が来た時、お互いの目を見て、本当にきつい選手へサポートできるか。そういう所につながると思います。
いま行われている"ヤバい"トレーニングは、必ずやワールドカップの舞台の厳しい場面で、日本代表の支えになってくれるはずです。
発見! なんで"○○○○ボール"?!
報告:中川安奈アナウンサー
2019年のワールドカップのときにスタジオは担当したことがあったのですが、実際に日本代表合宿を取材するのは初めて。
ワクワクしながら浦安のグラウンドに到着すると、まずは"Our Team"と大きく書かれたバスが出迎えてくれました。
ビブス受け取って、いざ練習が公開されると、あれおかしいな?
選手たちが使っていたのは...
わかりますか?
ラグビーのボールではなく、サッカーボールだったんです!!!
選手たちの輪の真ん中には小さなテーブルのようなものも…
とにかくみなさん、わきあいあいと盛り上がっていて、遠くから見ていてもその明るい雰囲気が伝わってきました。
いったいなにをしていたのか?
練習後に松田力也選手に聞いてみました!
中川:さっきみんなで集まってサッカーボールを使ったりボードを使ったりしていたと思うんですが、どんなことを目的にしているんですか?
松田選手:4チームに分かれて、チームソーシャル的な感じでより一体感を出すために、ファンゲームのような感じで、楽しみながらチームの絆をどんどん強くしていこうという形で。これまでもあったんですけどよりいい形で、毎日やるので。そこでポイントを競ってどこが強いかっていうのをやっている感じです。
中川:その中でなにか新たな気づきなどありましたか?
松田選手:ベテランと若手が一番交わりやすい機会なので、いいバランスでできればいいと思いますし、各々のチームで本当にいい時間になっていると思います。
報道陣に公開された練習時間は短くあっという間でしたが、終始選手たちの笑顔や明るい掛け声が飛び交っていて、チームのいい雰囲気を感じることができました。
6/19 ベールを脱いだスクラムマシーン
報告:筒井亮太郎アナウンサー
今月12日から本格的に始まった合宿は、2週目に入っています。先週の小林達記記者の報告にあったスクラムマシーンが、ついにベールを脱ぎました。
それが、こちらです!
青いクッション部分に肩を入れて選手たちは押しますが、マシーンの下にコンクリートを付けて、また、上には水が入った巨大なタンクを載せることで、選手が押しても動かないように重さを出しています。
さらに、エアコンプレッサーと繋がっていて、選手たちのスクラムに対してマシーンが押し返す仕組みになっています。
実際に、選手たちがマシーンを使って練習する様子は本日公開されませんでしたが、スクラムマシーン導入の経緯をこの方に伺いました!
仕掛け人に聞く!
現役時代、日本代表のFW第一列で活躍し、その後、日本代表のスクラムコーチとして、前回のワールドカップでは世界に通用する日本のスクラムを作り上げた、長谷川慎アシスタントコーチ(スクラム担当)です。
長谷川慎コーチ
Q.取り入れた意図は何ですか?
A.まずは、スクラムのバックファイブ(スクラムの2列目・3列目の5人)を強くしたかったのです。特に、ロック(スクラムの2列目)の選手。今の日本代表のロックは、所属先では別のポジションを行っている選手が多くて、“本当のロックの選手”が少ないのです。そうした選手の足腰を鍛えるために、マシーンの方から押してくるスクラムマシーンを探していました。また、フロントロー(スクラムの1列目)の選手に怪我人を出したくないという思いもあり、マシーンを取り入れました。
Q.どこの国のマシーンなんですか?
A.ニュージーランド製です。本来は、そのマシーンを地面のコンクリートに打ち込んで使うのですが、この施設に打ち込むわけにはいかないので、日本のコンクリート会社に頼んで、重りに使うコンクリートを作ってもらいました。水が入ったタンクとエアコンプレッサーは通販サイトで購入しました(笑)最初はコンクリートの重さだけで大丈夫と周りに言われたのですが、『ジャパンを舐めるなよ』ということで、タンクも載せました(笑)
Q.練習では、どのように取り入れているのですか?
A.マシーンは、2日に一回の頻度で使っています。足腰などフィジカルを鍛える日はマシーンを使い、テクニックを身に付ける日は、実際に人間同士で組み合って。フィジカルとテクニックを順番に行っていく感じですね。ワールドカップの対戦チームはどこもスクラムは強い。必要性を感じて、取り入れました。
選手たちの感想は!?
実際にマシーンを使う選手たちは、どう感じているのか?
ワーナー・ディアンズ選手
「ロックの足腰を鍛えたい」と狙いを話した長谷川コーチの言葉を聞き、そのロックの1人、身長2m1cmのワーナー・ディアンズ選手に聞きました。
ちなみに、ディアンズ選手は、所属先の東芝ブレイブルーパス東京でもロックをしています。
Q.スクラムマシーンはロックの足腰に効くそうですが、いかがですか?
A.普通のスクラム練習と全然違います。重いっす。動かないっす。人と組むと、相手のバランスが崩れたりして、そこから前に出られます。しかし、マシーンですと、エアコンプレッサーで押し返してきますから、ずっと動かない状態が続いて、バックファイブはきついです。特に足腰や下半身が鍛えられます。
果たして、このマシーンが日本のスクラムにどんな効果をもたらすのか!?
ちなみに、長谷川コーチ曰く「スクラムマシーンは、この後の宮崎合宿にも持っていく」そうです。
代表選手たちの髪型に注目!
報告:小林達記記者
今月12日から本格的に始まった合宿は、2週目に入っています。きょうは、練習後の囲み取材で選手の髪型に話題が及んだのでご紹介します。
【シオネ・ハラシリ選手】
まずは、プロップとして初キャップ獲得を目指すシオネ・ハラシリ選手。
横を刈りあげ後ろを伸ばしたスタイルですが、なんと自分で切っているそうです。
シオネ・ハラシリ選手
自分で切っているので、後ろは見えないです。
見える範囲しか切っていないので、このスタイルになっているそうです。
【ワーナー・ディアンズ選手】
続いて2メートルを超える長身のロック、ワーナー・ディアンズ選手。シーズン中に伸ばしていた髪ですが、暑さも考慮して坊主にしようとしました。
しかし「ママと彼女にそれはだめ」と言われたため、現在の髪型に落ち着いたそうです。
6/16 ディフェンスのカギは ”ラインスピード” にあり!
報告:豊原謙二郎アナウンサー
まずは、豊原アナウンサーの独り言からお楽しみください…
JR新浦安の駅前で日本代表がキャンプを行っているグラウンドまで行くバスを待っていると、女性のグループに声を掛けられました。安心してください。逆ナンパじゃありませんよ笑。
「ラグビーの練習見学に行かれる方ですか?このバスでいいですか?」と尋ねられました。バスが来るまで10分少々、こっそりファンの方にインタビュー。横浜から来た。宮崎には行けないので浦安に、というグループでした。「ラグビーが好きになったのは4年前の”にわか”なんです。あのアイルランド戦で号泣しました。ルールはまだよく分からないんですけど。それからハマって、今ではリーグワンの複数のチームのファンクラブに入って楽しんでます」とのこと。
「その試合、実況してたの私なんですが…」と喉元まで出てきましたが、それを自分で言っちゃあなんとも無粋、ということで黙ってましたが、そういうファンの方々が増えたんだな、4年前、日本でワールドカップを開催できて本当に良かったな、と心から思った一コマでした。
合宿開始後初めての一般公開となったこの日、グランドには長蛇の列が。なんと700人を超える人々が日本代表に声援を送ろうと駆けつけていました。
この日公開されたのは主にバイクトレーニングでしたが、赤、青、黄、緑の4チームに分かれて数値を競う姿に、ファンからも大きな拍手や声援が送られて、熱気と温かさを感じる練習公開でした。
練習後のいわゆる“囲み取材”にはディフェンス担当のジョン・ミッチェルアシスタントコーチが来てくれました。
まず、ディフェンスの重要性については…
「自分たちのアイデンティティでもあるアタッキングラグビーをするためにはボールを持たないといけない。自分たちのアイデンティティを活かすためには非常に重要だと思います」と。
そして強豪相手のディフェンスでは何がカギになるのか、その一端を明かしてくれました。
「コリジョン(衝突)をしてから、そこからどれだけ早く緊急性をもって(防御ラインを)セットできるかどうか。それをすることによって、前の相手のアタックが(描いている)絵を早く見ることができます。そうすることによって(ディフェンスの)ラインスピードを速くすることができます。その考え方は変わっていません。そこは継続性をもってずっとフォーカスしています。それをどんどん広げて、成長させていっています。そして、ディフェンスを楽しむことも大事です。それでボールがたくさん(奪い)取れれば、たくさんボールを(味方に)渡すことができるのでアタックする時間が長くなるからです」
物腰柔らかな語り口で我々に語ってくれたミッチェルコーチ。カギはディフェンスラインのセットの「早さ」と、ラインスピードの「速さ」。7月のテストマッチシリーズでどんなディフェンスを見せてくれるのか、早くも楽しみになってきましたね!
ベールに包まれるスクラムマシーン
報告:小林達記記者
合宿5日目となったきょう、グラウンドの片隅にあるものを見つけました。ブルーシートで覆われていますが、どうやらスクラムマシーンのようです。
報道陣は、これを使った練習をまだ見ていませんが、本日(16日)、ラグビー協会のYouTubeで公開されるそうです。
そのスクラムマシーンについて、"笑わない男"稲垣啓太選手が、練習後の取材で教えてくれました。
稲垣啓太選手
こんなマシーン初めてです。すごい圧で押されます。しかも方向を変えて押してくるので、自分たちがどちらの方向に圧をかけるべきか、どの方向に進むべきかがすぐにわかります。ちょっとでも進むべき方向に押せてないと組めないです。
稲垣選手によると、重さは合計で7,8トンで、マシーン側の動きは長谷川スクラムコーチがおもちゃをいじるように操作するそうです。
日本がワールドカップの1次リーグで対戦するイングランドやアルゼンチンはスクラムも強力です。そこに向けた対策は浦安から始まっています。
6/13 日本がめざすアタックは! ~トニー・ブラウン コーチ~
報告:高木修平アナウンサー
ラグビー日本代表の合宿は2日目を迎えました。
初日はくもり空で小雨もぱらつく中での練習でしたが、2日目は午前中から青空が広がり、暑さの体感としては前日の倍以上。
初日に続き、昼前の20分あまりの練習が報道陣に公開されましたが、すでに選手たちは朝から激しいトレーニングをしていました。
きょうの練習ではアタックの際の動きを確認する姿が見られました。
公開練習の終了後には、選手やコーチが取材に応じてくれます。
山中亮平選手は「ハードなタックル練習を1時間くらい休むことなく続けました。かなりきつかった」と話していました。
カギを握るコーチに聞く!
攻撃のカギを握るトニー・ブラウン アシスタントコーチ(アタック担当)に日本代表がめざす方向性について聞きました。
Q.リーグワンのシーズン中も選手たちに伝えてきたことは?
A.スキルをもっと向上させること。簡単なミスやエラーを少なくしていくこと。そして、もっとゲームの先の展開を早く読んで予測することを選手に伝えている。世界のベストプレーヤーはそういうことができる。前回のワールドカップの時と比べても、ゲームの展開がすごく速くなってきている。ディフェンスもどんどんよくなってきていて、コンタクトがさらにハードに。ブレイクダウン(タックル後のボールの争奪)もタフになってきている。そのためにも自分たちは、常に試合を先読みして対応していかないといけない。
Q.ゲームを先読みするために必要なことは?
A.まずはフィットネスがないといけない。その上で、スペースを見る能力が必要。それを毎週毎週、リーグワンのシーズン中は自分のメッセージとして選手に伝えていた。前回のワールドカップでは、選手たちはそれまでに達したことのないフィットネスの状態でプレーをすることができて勝利につながった。そのレベルに今度のワールドカップでももう一回達しないとといけない。国際レベルでプレーするには、フィジカルの部分ではリーグワンでの試合とは倍くらい違いがある。スクラムやモールなどのセットプレーではフィジカルがさらに要求される。選手のディフェンスラインの動きも速い。すべてが全く違う世界です。
Q.アタック担当だが、代表選手に求めることは?
A.選手に必ず伝えるのは“絶対にベストディフェンダーにならないといけない”。アタッキング能力の高い選手は日本にはたくさんいる。でも、中にはディフェンスができない選手もいる。日本代表に入るには、ディフェンスが絶対によくないといけない。ディフェンスができて、相手にプレッシャーをかけることで、いいアタックにつながると考えている。
Q.コーチとして目指すものは?
A.1次リーグで対戦する4チームの試合はすべて見ています。そのチームに勝つための選手一人一人のプランも作っています。ワールドカップで勝つための準備をしていくのが自分のモチベーション。すごく大きなチャレンジですし大好きなところです。日本代表でたくさんの選手のコーチをしてきた。長い間一緒にいるので、選手たちは自分がどういうコーチングをするのか、自分がどのようにゲームを見ているのかを理解してくれている。自分が選手に期待すること。しっかりとコミュニケーションを取って伝えていきたい。
選手の受け止めは…
選手の目線でブラウンコーチについても聞いてみました。試合運びを決めるポジションの一つ、スタンドオフの松田力也選手です。
Q.ブラウンコーチが強調するフィットネス重要性については?
A.フィットネスがあるほうが余裕をもってゲームに入れるし、ゲームの中でもプレーを判断する時間ができると思う。日本は世界的にはサイズとして大きいチームではないので、どれだけ強くコンタクトできるかが大事。相手はどんどんフィジカルを生かしてくると思うので、そこでしっかり挑戦したい。
Q.ブラウンコーチのアドバイスは?
A.キックの蹴り方や足の着き方など細かいところを見てくれていて、自分では気づかないところも意識させてくれる。要求は高いが、そこにチャレンジして超えていきたい。
6/12 ディフェンスからのスタートはジェイミーからのメッセージ⁉
報告:豊原謙二郎アナウンサー
小雨が降るお昼前、広報スタッフの先導の下、グラウンドに我々取材陣が移動すると…
一足に先にグラウンドに出ていたラグビー日本代表合宿の参加メンバーが画面か何かに食い入るように眼差しを送っていました。
きょうからラグビーワールドカップフランス大会に向けた日本代表の合宿が始まりました。
千葉県浦安市で3週間、その後7月からは宮崎市に拠点を移して大会に備えます。まさにワールドカップに向け、日本代表の本格始動です。代表合宿の練習は通例だと日によって30分程度公開されます。場合によってはウォーミングアップ程度の動きしか公開されないこともあります。
ラグビーワールドカップの取材に携わるのは2015年大会から3大会目。私の興味は、今回の合宿初日どんな練習からスタートするのか、公開するのか、その点にありました。
コーチのレクチャーが終わり、練習はビブスを付けていない組と青いビブスを付けている組に分かれて始まりました。
練習を仕切っていたのは…ディフェンス担当のジョン・ミッチェルアシスタントコーチ。
「やはり」と私ならずとも取材陣の多くが思ったはず。ジェイミー・ジョセフHCはこれまでのNHKのインタビューや記者会見で、「タックル」の重要性を再三語っていたからです。
選手たちは攻撃と防御に分かれて6割くらいのスピード、コンタクトの強度でプレーしていきます。攻撃側が密集からボールを展開する直前、防御側の選手たちが手を挙げながら何か大きな声を掛けて意思疎通を図ります。
これは通称「ノミネート」という動き。防御側の誰が攻撃側の誰をマークするのかを確認して、タックルに行く的を決めていく作業です。これをしっかりと行うことで、一人の相手を二人がかりで倒しに行く「ダブルタックル」の精度が上がっていきます。
体格に劣る日本代表はこの「ダブルタックル」の数と精度を高めていくことが勝利への必要条件になってきます。
その後もジョン・ミッチェルコーチが所々でプレーを止め、シチュエーションを変えて、また6割くらいでのプレー、という練習が繰り返されました。ジェイミー・ジョセフHCはこの合宿の序盤ではまず、コンディションをあげていくこと、そして日本代表がどういうプレーをやっていくのか「確認」作業に取り組む、と話していました。
公開されたのはほんの30分程度ですのであまり多くを語ることはできませんが、激しい「タックル」で相手にプレッシャーをかけ続け、そして勝利する。それは相手がラグビーの母国イングランドでも、強豪のアルゼンチンであっても。そんなジョセフHCの強い思いが合宿の最初の30分に現れていたように私には感じられました。
大会まであと3か月、日本代表がどのように練られていくのか、見つめていきたいと思います。
この記事を書いた人

豊原 謙二郎 キャスター
実況アナウンサーとして、野球、ラグビー、アメフト、柔道、アルペンスキー、モータースポーツなどを担当。サンデースポーツではキャスターとして、豊富な実況経験をフルに活かしてお届けする。

高木 修平 アナウンサー
2019年のワールドカップでは日本各地のスタジアムに取材で訪問。中でも、震災からの復興のシンボルとなった鵜住居スタジアム(岩手県釜石市)を目の当たりにした時には、かつて東北で勤務して震災直後の被災した釜石で取材した際の光景がよみがえり、しばらく声にならなかったことが思い出されます。

小林 達記 記者
平成26年NHK入局。神戸局、大阪局を経て、スポーツニュース部。

筒井 亮太郎 アナウンサー
平成15年入局 札幌放送局
実況歴:野球、ラグビー、柔道、バスケットボール、ウィンタースポーツなど
子供のころから父親の影響で、ラグビー観戦をしていた私。仕事で最初にラグビーに深く関わったのは、秋田です。秋田放送局に赴任した際、秋田ノーザンブレッツや秋田工業の取材を通して、ラグビーを学びました。寒い秋田のスタジアムで、ひんやりと冷えたベンチに座りながらのラグビー取材が、私の原点です。

中川安奈 アナウンサー
平成28年NHK入局。秋田局→広島局→東京アナウンス室。
サンデースポーツのキャスターは2年目に突入。

伊藤 慶太 アナウンサー
平成8年NHK入局 現在大阪放送局勤務
ワールドカップには15年、19年大会と関わってきましたが、忘れられないのは、やっぱり15年の南アフリカ戦「ブライトンの奇跡」です。
インタビュー担当で、日本ベンチのすぐ後ろで戦況を見つめていましたが、後半20分頃から体の震えが止まらなかったことを、今でもよく覚えています。
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小野 卓哉 アナウンサー
平成14年NHK入局 現在仙台放送局勤務
2019年のワールドカップ、日本の勝利に沸いた激戦・アイルランド戦で、試合終了後の選手のインタビューを担当。
リーチ・マイケル選手などの戦いの直後の姿は、傷だらけでユニフォームやテーピングなども激しく擦り切れるなど、世界の戦いのすさまじさを実感しました。フィジカルバトルのすごさをしっかり伝えなければと、改めて思いました。

酒井 良彦 アナウンサー
平成22年入局 秋田‐佐賀‐京都‐福岡
スポーツ中継担当:大相撲 ラグビー 卓球など

森脇 貴大 記者
平成28年NHK入局。松山局を経て、スポーツニュース部。趣味は草野球、フットサル、美味しいものを食べること。

池野 健 アナウンサー
NHK佐賀放送局所属。平成18年入局以来、高校、大学のラグビー強豪校や、40歳以上の『不惑ラグビー』チームなどを取材しながら大学選手権やトップリーグの中継に携わる。2019年W杯では、東北地方に向け、釜石で行われたフィジー-ウルグアイ戦のテレビ実況を担当