特集 山中亮平 磨いてきたロングキックで局面を変える

ことし9月にフランスで始まるラグビーワールドカップの開幕まで3か月です。NHKでは、代表候補の選手たちにスポットをあてた特集記事を、ここまでNHKが放送してきた企画・リポートを含めシリーズでお伝えします。
今回は山中亮平選手です。前回大会を経験した34歳のベテランは、得意の「ロングキック」にさらに磨きをかけています。(2023年3月8日おはよう日本で放送)
日本代表の最後の砦
「自分のパフォーマンスをどれだけ出すかっていうところが、ワールドカップや日本代表につながっていくと思っているので、今は目の前のことを必死にやっている感じですね」
ワールドカップイヤーを迎え、取材に応じた山中亮平選手の言葉です。
山中選手はリーグワンのコベルコ神戸スティーラーズで活躍する34歳のベテラン。前回、自国開催のワールドカップでは最後の砦「フルバック」として5試合すべてに出場し、史上初のベストエイト進出に貢献しました。
前回大会 準々決勝の南アフリカ戦 (2019年)
山中選手
はじめてのワールドカップでベストエイトという結果を出したところは、日本代表の自信にもなったし、自分自身もすごく自信がつきました。
4年間の成長の証「ロングキック」
あれから4年。山中選手は次のワールドカップに向けて地道にレベルアップを図ってきました。
磨いてきたのは1メートル88センチの長身から繰り出すキックです。リーグワンの試合ではキックの平均距離(インプレー)がダントツの40メートル超え。(※リーグワン10節終了時点※ データ提供Opta)
山中選手のロングキックはチームのピンチを何度も救ってきました。
山中選手
ロングキックっていう部分では距離だったりとかは結構自信はあり、自分の強みじゃないかと思います。自分の体に近いところでボールを落として、低めから蹴ることを意識しています。
距離だけではありません。注目すべきは、その正確さです。
自陣で蹴ったボールがバウンドして22メートルラインより奥でタッチラインを出た場合、再び自分たちのボールのラインアウトでプレーを始められます。リーグワンの試合では、山中選手の正確なキックで得点チャンスも生みだしてきました。
山中選手
自分のキックの距離は分かるので、この位置だったらこれぐらいで出せるというのは感覚としてあります。キックのあと敵陣でプレーするというのがいちばん楽。得点にもつながりやすいと思っています。
局面を変えるキックを目指して
山中選手の目標は、ワールカップの大舞台でもみずからのロングキックで局面を一気に変えること。世界の強豪と対じするためにキックの精度をさらに高めています。
前回大会を経験しことし35歳となる山中選手。ワールドカップを自身の集大成と位置づけて臨みます。
山中選手
もう出し切るだけだと思います。ことし1年は勝負の年だと思って覚悟を決めています。自分の集大成として臨みたいと思っているので、まずはしっかりといいパフォーマンスをしていきたい。そして日本代表の最後のメンバーに入れるように頑張っていきたいです。
【取材後記】
リーグワンで山中選手の所属するスティーラーズは、今シーズン9位と落ち込みました。それでも、日本代表スタッフ陣の山中選手に対する評価は揺るぎません。得意のロングキックと冷静な判断力は、日本に欠かせないものになっています。
この記事を書いた人

小林 達記 記者
平成26年NHK入局。神戸局、大阪局を経て、スポーツニュース部。