NHK sports

特集 関脇・霧馬山 大関昇進へ1日一番 ~推し相撲~

相撲 2023年5月26日(金) 午前0:00

関脇・霧馬山は12日目に大関・貴景勝を破って、三役として臨んだここ3場所の勝ち星の合計が33勝に到達。いよいよ大関昇進に現実味が出てきた。大きな重圧がかかる場所、決して出だしから順調というわけではなかった。

 

⇒取組動画など夏場所特設ページはここから

なりを潜めた立ち合いの強さ

先場所優勝した霧馬山。勢いそのままにいくと思われたが、3日目で阿炎に敗れて土が付いた。

 

阿炎(右)に引き落としで敗れる

さらに、7日目には正代にも敗れて2敗目。

 

正代に寄り切りで敗れる

霧馬山は立ち合いから真っ向に当たり、四つに組んで力強く寄り切るという持ち味を思うように発揮できずにいた。

日本相撲協会の八角理事長も2敗目を喫したあとにこう指摘した。

八角理事長

立ち合いの当たりが弱いから終始攻められている。もっと当たってから押し込むことができれば安心して相撲が取れるんでしょうけど。開き直って自分の相撲を取れるかでしょう。

思い切り当たるだけ

流れが変わったのは、9日目の関脇・大栄翔との取組。

 

大栄翔と攻めあう霧馬山

先場所で優勝を争った相手に、まっすぐ頭から当たった。そして、土俵際の突き落としで白星を挙げた。

 

豪快な小手投げで若元春を破る

翌10日目にも関脇・若元春にも真っ向からぶつかり、最後は小手投げで勝負を決めた。

若元春に勝ったあと「やっと当たれるようになってきた」と、徐々にではあるが、手応えを口にするようになった。

 

⇒取組動画など夏場所特設ページはここから

ふた桁かけた大関戦

9勝2敗として迎えた12日目。勝てば大関昇進の目安に届く一番。

対するのは大関・貴景勝。相手も角番で勝ち越しがかかっている、互いに重要な取組だった。

 

大関・貴景勝との一番

行司が軍配を返してからも、土俵上で直立した2人は10秒ほどにらみ合った。緊張感で静まりかえった館内からは自然と拍手が起きた。

 

にらみ合いは10秒ほど

先に腰を割ったのは霧馬山。続いて大関が仕切った。

 

立ち合いで正面からぶつかった霧馬山。圧力負けせず、すぐに右腕を差しこんで一気に前に出た。

 

あっという間に寄り切って10勝目。勝った直後、霧馬山は大きく息を吐いた。

 

「勝負に勝って、すごくうれしかった」

 

 

取組後、報道陣の前に現れた霧馬山は、ここ数日と比べるといくぶん明るい表情のようにも見えた。

霧馬山

流れで入ったんですけど、思い切り当たっていくと決めていたので。勝っても負けても 自分の相撲でいきたいと考えていた。

幕内後半の取組で審判長を務めた佐渡ヶ嶽親方は、大関昇進の議論について「千秋楽までの相撲内容を見てから」としながらも、尻上がりの霧馬山の相撲内容を評価した。

 

佐渡ヶ嶽審判長

いい内容の相撲だったと思います。相撲内容も初日から見るとだんだん波にのってきている。霧馬山らしい相撲が取れてきている。

⇒取組動画など夏場所特設ページはここから

大関昇進、そして連続優勝は

狙っていた10勝に到達した霧馬山は、トップとの星の差も1つとしている。

 

12日目 照ノ富士は1敗を守る

そのトップが、去年の秋場所以来4場所ぶりに復帰した横綱・照ノ富士だ。

夏場所はあと3日。このあと対戦が決まり、横綱を破ることができれば先場所に続いての賜杯と、大関の地位にもさらに近づくことになる。

霧馬山はこれまでの姿勢を貫いて、その偉業に挑もうとしている。

 

霧馬山

まだ残り3日間あるので1日一番しっかり相撲を取ることが大事

⇒取組動画など夏場所特設ページはここから

この記事を書いた人

舟木 卓也 記者

舟木 卓也 記者

平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。

プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。

 

 

関連キーワード

関連特集記事