ストーリー野球

北の大地でファンを獲得せよ!日ハム職員のプロジェクトX スポーツ平成史・野球 第2回

2019-04-10 午後 0:47

まもなく幕を閉じる、「平成」という時代。サンデースポーツ2020では、2月から4週にわたってスポーツの平成史を振り返りました。
3月3日放送回のテーマは「野球」。ゲストは「鉄人」金本知憲さんと大リーグでも活躍した松井稼頭央さん。平成の野球を大いに語ります。

第2回は日本プロ野球の大きな変化と言える、地方球団の盛り上がり。昭和60年には、12球団のうち10球団が関東と関西に集中していました。それが平成になり福岡にソフトバンクが、仙台には楽天が、そして北海道には日本ハムが進出しました。その成功例の一つ、北海道日本ハムはどのように地域密着を成功させたのか。元職員の証言ドキュメントです。

「80%が巨人ファン」からの挑戦

「地域に根差した球団」の中でも、特に成功したといわれているのが北海道日本ハムです。世論調査の専門機関が行った調査によると、北海道で日本ハムを「好きな球団」にあげた人は79.2パーセントと8割近い数字を記録しました。

 

 

今に至るチームの人気の土台を作った人がいます。土田光男さん。東京から北海道に球団が移転したときの営業部長でした。当時、北海道にプロ野球の球団はなく、日本ハムのファンもほとんどいなかったといいます。

 

土田光男さん

北海道はそれまで、大部分は巨人ファンでした。80%以上は巨人ファンでしたね。それで残りは阪神ファンとか。でも「野球ファン」は多いんですよね。つまり野球好きな人はたくさんいるわけです。

 

 

土田さんたち球団職員は、ファン獲得へ奔走します。当時NHKが取材した映像には、球団が掲げた理念を語る土田さんの姿がありました。

 

土田さん

ファンサービス第一でやっていくということです。我々もできるだけ地元の人、道民の人と一緒に積極的にやりたいと思っています。

 

選手によるファンの「お出迎え」

 

徹底したのは選手に会える場を作る事。球場以外でのファンサービスが一般的でなかった当時、スター選手らが商店街などに出向きサイン会やトークショーを積極的に行いました。そして週末の試合では、必ず選手がファンをお出迎え。様々な取り組みを企画しました。

 

SHINJO選手のパフォーマンスに多くのファンが沸いた

 

そして大きな役割を果たしたのが、大リーグから移籍してきた新庄剛志選手、登録名は「SHINJO」。試合前にバイクや「宙づり」で登場したり、アイデアあふれるマスクを着けて練習するなどのド派手なパフォーマンスはチームの名物に。新たなファン獲得につなげました。

こうして年間の入場者数は移転からわずか6年で、199万人にまで増えたのです。

ファンサービスファーストの精神

 

球団がもうひとつ力を注いだことがあります。それは固定ファンを増やすため、チームを応援してくれる「後援会」を立ち上げることでした。本拠地のある札幌だけでなく、北海道内各地を回り、6年間で90もの後援会設立に結び付けました。チーム移転当初、札幌に後援会を作った長谷川裕詞さんは当時を振り返り、球団は常に「ファンサービスファースト」を貫き後援会の要望に応えてくれたと言います。

 

土田さんと長谷川さん

長谷川裕詞さん

後援会が球団にお願いをすると、土田さんたちは「NO」って言わないんですよ。「これはできないんですが、じゃあこういう事はどうでしょうか?」っていう形で、いつも代案を出してくれるんですよね。そこまで頑張るんだったら、じゃあファイターズを応援しようよっていう、そういう輪が広がったのは事実だと思います。

 

 

9年前に退職した土田さんは、球団が地域に根づいた今もファンサービスに終わりはないと考えています。

 

土田さん

今新聞なんか読んでみると、ファイターズは道民球団として定着したっていう声が多いんですよね。でも私はね、ファンはそう思ってもらっていいんですけど、球団の関係者はそう思ったら駄目だと思うんですね。ファンサービスですとか、やる事をきちっとやっていくことは、これからも大事だろうと思いますよ。

ファンと触れ合って得たもの

自身も元アスリートであり今回土田さんにインタビューした畠山愛理リポーターは、取材を終えて次のように語りました。

 

 

畠山愛理リポーター 当時は「結果を出すことがファンサービスだ」と考えている選手も多かったんじゃないかなと思うんですが、土田さんによると「選手もすごく積極的にファンとの交流に参加してくれた。すごく感謝してます」と話していました。日本ハムの選手たちもきっと、ファンとの交流でよりモチベーションが高くなって、プレーにもいい影響があったんじゃないかな、と取材させていただいて感じました。

 

大越 金本さん、結果で応えるのはプロとしては大事だと思うんですけれども、平成の時代の歩みの中で選手と球団の方から、だんだんファンの方に近づいてきたと言えるように思います。僕らもテレビでしか見る事のなかったプロ野球の世界が身近にあると感じられる、これはすばらしい事だと思うんですけれども。

 

 

金本 やっぱり僕らもファンサービスをしたいといつも思っているんですけれど、実際にいつどこで何をするのがファンサービスなのかな?っていうのはよく思ってました。できることといえば、ちょっとヒーローインタビューを盛り上げるとかね、それぐらいしか浮かばなかったんですよ。でもシーズンオフに、選手とファンが向き合えたり身近に話ができたりする場ができてきましたよね。そういうことは、色々考えてたくさんやっていってほしいなと思いますよね。

 

大越 去年野茂英雄さんにインタビューしたんですが、メジャーリーグで驚いた事のひとつがファンとの距離の近さだと野茂さんはおっしゃっていました。少年野球の子どもたちに選手たちが野球を教えたりとか、すごくファンサービスをやってるそうですよね。松井さんも、アメリカに行ってそういった事を感じたことはありますでしょうか。

 

 

 

松井 はい、ファンの皆さんと距離が非常に近かったですよね。当然試合前にサインもしますし、子供たちに自分の手袋を渡したりとかね。子供たちにとっても「夢」じゃないですけど、大きくなったら大リーガになりたいっていう子どもたちも非常に多くいる中、そういうファンサービスは常にあったなと思います。でも僕も日本にまた戻ってきたとき、昔よりもファンとの距離が非常に近くなってるなとは感じました。手が届かない「かもしれない」ぐらいの、親しみやすさって事でしょうかね。


(次回に続く)

 

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