特集 楢崎智亜選手 リベンジの舞台パリへ向け始動

スポーツクライミングはワールドカップが開幕し、来年のパリオリンピックに向けて激しい代表争いが始まりました。男子で中心となるのは東京オリンピックで4位だった楢崎智亜選手です。目指すのはパリの舞台でのリベンジです。(2023年4月21日「おはよう日本」で放送)
絶対王者が東京五輪でまさかの4位
楢崎智亜選手は、 スポーツクライミング日本男子のエース。ダイナミックな身のこなしで、長く世界のトップレベルで活躍を続けています。
4位に終わった2021年の東京オリンピック
楢崎選手にとって大きな挫折となったのが2年前の東京オリンピックでした。金メダルの最有力と期待されたものの、まさかのミスが続き4位。初めてのオリンピック採用で3種目の「複合」で争われた大会で本来の力を出せずに終わりました。
楢崎智亜選手
勝ちたすぎたというか、勝ちたいという気持ちが強すぎて、自分らしいいい登りが出来なかったなというのはありました。自分の心の弱さだったり、そういった部分がたくさんあったと思ったので、そこからより一層練習に励めましたね
鍛え上げた証の"肩甲骨"
楢崎選手がパリオリンピックで出場を目指すのは、複合から変更された「ボルダー&リード」という種目です。この種目は▽「課題」と呼ばれる壁をいくつ登ったかを競うボルダーと▽制限時間内に登った高さを競うリードの合計点で争われます。
練習で特にポイントとしているのが、この”肩甲骨”周り。2つの種目のさまざまな壁に対応できるように、柔軟性を保ったまま肩甲骨周りの筋肉を鍛え上げています。
楢崎智亜選手
石の向き、ホールドの向きが変な場合もあるので、そういうのに対応できるようにしています
ライバルは"弟" 互いに成長を
弟の明智選手(左)と
さらに、新たな刺激も加わりました。ともに練習をしている3歳年下の弟、明智選手の存在です。
明智選手はことし2月、ボルダーの日本一を決める大会で初優勝。その後、オリンピックの選考対象となる8月の世界選手権出場を内定させました。
楢崎智亜選手
ふだんから一緒に練習しているので悔しいですね。やっぱり負けられないところはあるので…
楢崎明智選手
僕が調子よかったり、僕が強くなっていったら、彼(智亜)は絶対強くなっていくんですよ、負けじと…
弟の急成長を目の当たりにして、モチベーションはさらに上がっている智亜選手。加えて、弟の存在は技術の向上にも結びついています。スポーツクライミングでは、壁を登るルートは人それぞれ。兄弟で行うトレーニングでは互いに話し合い、競うようにして技術を高めているのです。
智亜選手 黒、青で・・・次オレンジ
明智選手 黄色の辺りじゃない
智亜選手 俺もちょっと思ってた
楢崎智亜選手
兄弟で(五輪に)行けたら面白いよねみたいな話はしていたんですけど、本当にそれが近づいてきていますし、2人で取りにいきたいって思っていますね。
目標はパリでのリベンジ
見据えているパリオリンピックはもう来年。兄弟で競いながら、そろってオリンピックの舞台に立ちたい。そして思い描いているのは東京で果たせなかった金メダル獲得です。
楢崎智亜選手
東京オリンピックであれだけ優勝を狙っていて出来なかったっていうことは、今までで一番悔しかった大会になったので、パリのオリンピックでは金メダルを取って、この雪辱を果たしたい
スポーツクライミング、ボルダーの今シーズンのワールドカップは、今月21日、東京・八王子市での大会から始まります。世界を転戦して行われるワールドカップの成績によってオリンピックの代表選考となる世界選手権出場が決まります。パリへつながる道はすでに始まっています。