特集 Wリーグは新旧女王対決 プレーオフファイナル展望

バスケットボール女子のWリーグは、レギュラーシーズン・プレーオフと続いてきた2022-23シーズンを締めくくるプレーオフファイナルが4月15日(土)から東京で行われます。
対戦カードはENEOS対トヨタ自動車。ENEOSは前人未到の11連覇中の絶対女王でしたが、おととし、そこにストップをかけたのがトヨタ自動車です。トヨタ自動車は、そこから2連覇して勝てば3連覇。一方のENEOSは4年ぶりの優勝奪還を目指すという、まさに新旧女王の対決です。
先に2勝したチームが優勝のファイナル。それを前に知っておくと楽しい情報を、東京オリンピック、バスケットボール女子の日本代表でキャプテンを務め、銀メダルを獲得した※高田真希さんに伺いました。聞き手は上野速人アナウンサーです。(4月14日 ラジオ第1『マイあさ!』で放送)
※「はしごだか」ですが、システム上文中は「高」としています。
高田真希さんのデンソーはENEOSに惜敗
上野)
高田さん。よろしくお願います。
高田)
よろしくお願いします! おはようございます。
上野)
高田さんもデンソーの中心選手としてプレーオフを戦い、セミファイナル(準決勝)でENEOSに敗れました。ベストフォー、今シーズン振り返っていかがですか?
セミファイナルでデンソーはENEOSに敗れる
高田)
そうですね、セミファイナルで負けてしまって、すごく悔しかったんですけど、若手の躍進などもあり、今シーズンは、レギュラーシーズンでデンソーアイリス史上初めて1位を取ることができました。シーズン通してチームが成長できたシーズンだったと思うので、また来季頑張りたいと思います。
上野)
ファンは、悲願の初優勝を期待してると思いますので、もう既に戦い始まってると思いますが頑張ってください。
高田)
はい。ありがとうございます!
ENEOS カギを握る渡嘉敷来夢選手
上野)
ファイナルはENEOS対トヨタ自動車ということで、まずENEOSをご紹介します。高田さんは、セミファイナルで実際戦ってみて、今年のENEOSはどんなチームでしたか?
高田)
そうですね。やはりインサイド、特に渡嘉敷選手が軸となってくると思うので、そこがすごく注目ポイントかなと思います。
渡嘉敷来夢選手
上野)
エースで1m93センチの渡嘉敷来夢選手。日本の宝ともいわれてアメリカのWNBAでもプレーしました。高田さんにとりましては、高校の桜花学園の後輩で、しかも高田さん3年生の時の1年生が渡嘉敷選手。Wリーグでもずっと戦ってきました。どんな選手ですか。
高田)
そうですね。身体能力はもちろん高いんですけど、身長も高くて、跳べますし、ジャンプ力もあります。それだけではなくて、やっぱりプレーの判断能力っていうのがすごく高いです。ここぞっていう時に必ず決めてくる選手です。チームがいい時もそうですし、悪い流れの時に何をしなきゃいけないかっていうのもすごく把握しています。「そういう時こそ、どういうプレーをした方がいい」っていうのを分かってるので、なかなか相手にリズムが行きにくいですね。
セミファイナルで高田選手とのマッチアップ
上野)
他のチームは、渡嘉敷選手が1メートル90センチ以上ありますから、1人で守れないので2人で守る「ダブルチーム」っていう守備をすることが多いんですが、高田さんは、今回も1人で守る場面が多かったですよね。かなり体が激しくぶつかってましたけど、どうでした?
高田)
そうですね。1人で守ることは難しいので、もちろんダブルチームっていう作戦もあるんですけど、ENEOSの特徴として、林咲希選手みたいにスリーポイントシュートを決められる選手が他にもいたり、危険な選手がほんとにたくさんいるんです。内(ゴールに近いところ)に寄ってしまうと外(ゴールから離れたところ)が空くし、外を守っていると渡嘉敷選手が空くという、ほんとバランスのとれたチームなので、なかなか守りづらいです。
上野)
高田さんもトヨタ側の選手だとしたら結構難しい判断を迫られますか?
高田)
そうですねやっぱり。なので、どこを重点的に守るかっていうのをしっかりチームとしての作戦があると思うので、それをいかに遂行できるかっていうのが今回ポイントになると思います。
トヨタ自動車 ガードの山本麻衣選手がポイント
上野)
では、トヨタ自動車の話も出てきたので紹介しますが。こちらも高田さんの桜花学園の後輩がたくさんいますね。世代は違いますけれども1メートル90センチの梅沢カディシャ樹奈選手。東京オリンピックの3人制・3×3代表の馬瓜ステファニー選手は手が長くてディフェンスやリバウンドで活躍する選手。
馬瓜ステファニー選手 セミファイナル
同じく3×3代表で司令塔の山本麻衣選手。さらにはスリーポイントシューターで国際大会でもスリーポイントシュートをいきなり5本決めるという大活躍をした平下愛佳選手。スターティングメンバー5人のうち4人が桜花学園出身ということで後輩オールスターみたいな感じですが、トヨタ自動車はいかがですか。
高田)
そうですね。トヨタ自動車は、もちろんインサイドも大きい選手がいるんですけど、外まわりの山本選手であったり、ステファニー選手みたいに1対1が出来てそこから崩せるっていう個々の能力が高い選手が本当に豊富です。こう1対1とか困った時に打破していくっていうのは、トヨタ自動車の特徴なので、そういうところが注目ポイントかなと思います。
山本麻衣選手
上野)
山本選手は事前に伺ったときに高田さんご注目ということでしたけれども、セミファイナルでも追いつかれるたびに山本選手が逆転のスリーポイント、これ2本くらい決めましたよね。
高田)
ほんとに勝負強いというか、勝負のポイント分かっています。まだまだ若い選手なんですけど、そういった時に自分がやるんだっていう意思がすごく見えるので。ENEOSは渡嘉敷選手がポイントとなると思うんですけど、トヨタ自動車はガードの山本選手がポイントになるかなと思います。
スピード、そしてぶつかり合う迫力をぜひ!
上野)
よく分かりました。初めて見てみる方は、どんなところをまず見たら楽しめますか。
高田)
そうですね、とにかく、もう初めて見る方は、日本国内の女子の最高峰のバスケットボールなので。しかも、そのファイナルなので、まず、その雰囲気と、なおかつ男子に負けないようなスピードであったりだとか、体のぶつけ合いっていうところを見てほしいなと思います。
上野)
ありがとうございました。楽しみにしております。東京オリンピック、バスケットボール女子日本代表キャプテン高田真希さんでした。ファイナルは、東京武蔵野の森総合スポーツプラザであす15日からです。NHKでは連日BS1でお伝えします。あすは午後3時からです。
この記事を書いた人

上野 速人 アナウンサー
ラジオ第1放送『マイあさ!』スポーツコーナー担当。
中学から大学までバスケット部一筋。
高校生から男女のトップリーグ、NBAまで多くの実況を担当。趣味はバスケット研究。