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特集 新入幕・北青鵬 磨いた四つで白星を ~推し相撲~

相撲 2023年3月16日(木) 午後11:00

新入幕の場所で存在感を示している北青鵬。序盤戦を終えて4勝1敗の好成績だ。大横綱の師匠のもとで磨いた四つ相撲で1つ1つ白星を積み重ねる。

存在感抜群の21歳

北青鵬は成績だけではなく、その体格でもひときわ存在感がある。

 


身長は2メートル4センチ。

日本相撲協会が公式に身長の測定を始めた昭和28年以降では、元横綱・曙や元大関・琴欧洲と並び最も高い。


体重も177キロと規格外だ。

3年前の春場所で初土俵を踏んだあと、序ノ口、序二段、三段目、幕下と各段優勝を果たし初土俵から1年あまりで十両に昇進。一気に幕内まで駆け上がるかと思われたが、ひざのけがで休場を余儀なくされ、再び幕下からのスタートとなった。

 

 

そこから7場所連続で勝ち越して今場所、念願の新入幕を果たした。

 

春場所番付発表 新入幕の記者会見 師匠の宮城野親方と

北青鵬

「自分がここにいけるのかというのもありましたし、ここに早くいきたいという気持ちもあった」

磨いた四つ相撲

今場所に向けて北青鵬が磨いてきたのは、上手を取って前に出る四つ相撲。

 


師匠で元横綱・白鵬の宮城野親方も得意とした型だ。
宮城野親方からは体格を生かした相撲を取るよう指導を受けてきたという。

北青鵬

「師匠からは『立ち合いから上手を取って前に出ろ。大きい人は前に一歩出るのが技だから』と。一歩出るだけで相手は起き上がるし、逆に下がっている時はどんどん下に入ってくるし。一歩で、不思議ですよね」

 

部屋での稽古はもちろん、春場所に向けて大阪に移動したあとも、まわしを取って前に出る稽古を積み重ねた。

その成果が今場所の取組で表れた。初日は、押し相撲の王鵬。

 

春場所初日 王鵬戦

 

立ち合いこそ押し込まれたものの、左でまわしを取ると圧力をかけて寄り切った。

3日目は同じく新入幕で初日から2連勝の金峰山との一番。強烈な突き押しが持ち味の力士を相手に、左上手を取ると、どんどん前に出て反撃の隙を与えなかった。

 

北青鵬

「いい相撲だったと思う。どの相撲も前に出て勝てているのでよかった」

この日の取組には日本相撲協会の八角理事長も太鼓判を押した。

 

「よく前に出るようになったんじゃないか。体を生かしていていいんじゃないか。ものおじしていない」(八角理事長)

 

4連勝で迎えた序盤戦最後の5日目は、十両に番付を下げた逸ノ城との対戦だった。

相手は200キロを超える力士。右四つでがっぷりと組み合う展開になった。

 

春場所5日目 逸ノ城戦

 

じわじわと土俵際に追い詰められ、最後は寄り切られたが、幕内優勝の経験がある逸ノ城相手に渡り合い、1分を超える力の入った相撲をやってみせた。

 

三賞で恩返しを

宮城野部屋には昭和以降で初めてとなる所要1場所での十両昇進を果たした落合や、小兵ながら学生横綱の幕下の川副など実力のある若手がひしめきあう。

部屋で最も番付上位の部屋頭として、ほかの力士を引っ張る北青鵬。宮城野親方も大きな期待をかけている。

 

 

宮城野親方

「私がやってきた厳しいトレーニングも少しついてきてやるようになってますから。引っ張っていきたいという気持ちが少しずつ出てきたのかな」

北青鵬は白星を積み重ねることで、師匠への恩返しを果たしたいと考えている。

 

 

北青鵬

「春場所ではまずは勝ち越して、そこからふた桁勝って、三賞を取れるように頑張りたい」

 

大きな体に強い決意を秘めた北青鵬が、中盤戦以降も白星を伸ばすのか、目が離せない。

この記事を書いた人

舟木 卓也 記者

舟木 卓也 記者

平成25年NHK入局。令和2年秋からスポーツニュース部。

プロ野球(ロッテ)担当を経て、現在は大相撲や柔道など格闘技担当。

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