特集 DeNA今永昇太投手 WBC公式球について ”投げる哲学者”が語る

開幕が迫るWBCワールド・ベースボール・クラシックに向け調整が続く投手陣。そのなかで試行錯誤を続けているのがWBCで使われる公式球への対応です。日本のプロ野球のボールとは具体的に何が違い、どう難しいのか。投手陣の一角として期待のかかる“投げる哲学者”DeNAの今永昇太投手が語ってくれました。(サンデースポーツ 2023年2月19日放送)
豊原キャスター:サンデースポーツの豊原と申します。
今永投手:お願いします、今永です。
豊原キャスター:今日は手元にボール持ってきていただきました。
この2つのボールを比べて今永投手がまず違和感を覚えたのは縫い目の高さの違いです。素人目にはほとんど違いが分かりませんが、WBCのボールの方が縫い目の高さが低いといいます。
今永投手:NPBのボールは縫い目がめちゃくちゃ高くて、かぎ爪のように最後(指を)クッと入れるんですけど。WBCのボールは指の腹で(沿うように)こうなっているような感覚なんですよね。
WBCのボールは縫い目が低く、指先にかかりづらいというのです。
今永投手:(WBC公式球は)自分が思っているよりも指先から離れるのがちょっと早い感覚があって。なのでそれを抑え込もうとするメカニズムが必要かなと思っています。
豊原キャスター:“押さえ込む”というのはどういう感覚ですか?
今永投手:少しこんな(ボールから指が離れる)感覚になるんですよね。そうならないために、どこかでこのボールを押さえなければいけない瞬間がある。
この日のブルペンでは指先の力をボールにしっかり伝えることを意識したという今永投手。直球がズバッと決まっていました。一方で、変化球は思い通りに操れていない様子でした。
豊原キャスター:カーブが少し苦労されていたように見えたのですが?
今永投手:このキャンプに向けて送られてくるボールがあるんですけど、その中でもいろいろ個体差があって、このボールがちょっと大きく感じたんですよね。なのでカーブの握りで投げようとした時にめちゃくちゃ違和感があって。
豊原キャスター:それは球を持った瞬間に「これ大きいな」とか「これ小さいな」と分かるんですか?
今永投手:感じますね。ブルペンでも、(手で)ボールを回しながら(確認を)やっていたりするんですけど、その時にも例えばここが高いとか、ここがちょっとなだらかとかはありますね。(今持っている球では)ここも凹みとまでは言えないですけどちょっと窪んでいて、窪んでいるからこっちが高いとかも感じますね。
ボール1つ1つに個体差があるという驚きの事実。
今永投手:正直、今日のブルペンではすべてが解決できなかったけど、こういう(大きい)ボールが来たときには、今までやったことのない力感で握ったり、緩く握って投げるとある程度コントロールできそうだなっていうのが分かった。
豊原キャスター:十分対応できそうだなという手応えを掴んでいますか?
今永投手:未知数ではあるんですけど、キャッチボールで使うボールも毎回入れ替えてみたり、あえて新球のボールを手でこねずにそのまま投げるとか。こういう短期決戦においては、本当に情報を共有するということがものすごく大事な要素になると思うので。誰かの感覚、誰かの握り、そういったものを参考にしながら投手陣の中で本当にいいものを全員で作り出せたらいいなと思います。