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特集 羽生vs.チェンのGPファイナル 解説者はどう見た?

フィギュアスケート 2019年12月11日(水) 午前8:28

フィギュアスケートのグランプリファイナル。男子シングルではオリンピック2連覇の羽生結弦選手と、この大会3連覇を狙うネイサン・チェン選手のハイレベルな争いとなりました。互いに限界に挑戦する滑りの結果は、チェン選手が羽生選手に40点以上の差をつけての勝利。

この結果を解説者はどう見たか。鈴木明子さんと本田武史さんに聞きました。

羽生は大技を決めるも…

前半のショートプログラムで2位となった羽生選手は、逆転をかけたフリー。演技冒頭に4回転ループ。続いて2年ぶりに演技に組み込んだ4回転ルッツを着氷。高い出来栄え点を獲得しました。しかし演技後半に連続ジャンプに失敗。フリーの点数は自己ベストに20点近く及ばず、合計点数は291.43。チェン選手の演技を待つことになりました。

 

 

直後の滑走となったチェン選手。ルッツを含む4種類5本の4回転ジャンプは、高い出来栄え点を獲得。ほぼミスのない演技で自身が持つ世界最高得点を更新して、グランプリファイナル3連覇を達成しました。

 

強さを見せ続けるチェン

近年の羽生選手とチェン選手の主な国際大会の結果をまとめると、チェン選手の好調さが見えてきます。

 

 

2016-2017シーズンまでは常に羽生選手が優勝していましたが、翌シーズン羽生選手が欠場した主要大会でチェン選手が優勝。そして昨シーズンの世界選手権、今回のグランプリファイナルと、2度の直接対決ではチェン選手に軍配が上がっています。

鈴木さん、本田さんの見立ては

今後の2人の争いはどうなっていくのか。鈴木明子さんは、チェン選手に敗れたことで羽生選手がさらに奮起すると期待しています。

 

 

鈴木明子さん

今回の40点差は確かに大きな差です。ただ、羽生選手もパーフェクトな滑りができたら面白い戦いになってくるでしょうし、悲観することはないと思います。また世界最高得点を出したネイサン選手は、羽生選手にとってはアスリートとしての“魂”がかきたてられる存在。羽生選手はまだまだこのままでは終わらないと思いますよ。

 

本田武史さんは、現在の男子フィギュア界全体を見るうえで、二人が抜きんでた存在だと指摘します。

 

 

本田武史さん

羽生選手が持っている能力は、いざという時に出てくる“爆発的な”力です。今回4回転ルッツを入れたプログラムに挑戦して、これを完璧に滑ることができたら、点数がドンと大きく出てくるはずです。今のチェン選手と羽生選手のレベルの高さは、ほかの選手に比べて一歩も二歩も抜けていますね。

互いに高め合うライバル

フィギュア界をけん引する2人。大会後の会見では互いをリスペクトする言葉を発し、二人のライバル関係が自らを高める大きなモチベーションになっていることをうかがわせました。

 

羽生選手

隣にいるネイサンがすばらしい演技をしなければ学ぶ事ができなかったと思いますし、強くなろうと思う事もなかったと思います。なので、彼にすごく感謝しています。

 

チェン選手

羽生選手のこれまでの偉業には、自分は到底追いつけません。彼は一生追いかけ続ける憧れ。自分を奮い立たせてくれる存在です。

 

大会終了後、今回チェン選手に敗れたことを素直に受け入れ、「めちゃくちゃ練習します!」と意気込んだ羽生選手。
2人が競い合う事によって、今まで誰も見た事のないような「高み」を私たちに見せてくれるのではないか。フィギュアスケートのシーズンも後半へ。さらなる期待が高まります。

 

 

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