特集 阪神・青柳晃洋投手“念願の15勝へ” ~担当記者のイチオシ~

昨シーズン13勝をあげ2年連続の最多勝など3つのタイトルを獲得し、阪神投手陣の大黒柱となった青柳晃洋投手。それでも現状には満足せずさらに高い目標を見据えてこのキャンプを過ごしています。
大黒柱の目標は
2022年12月 契約更改にて
7年目の昨シーズン、13勝4敗、防御率2.05の成績でセ・リーグの2年連続の最多勝と最高勝率、それに初めての最優秀防御率の3つのタイトルを獲得した青柳投手。今シーズン18年ぶりの優勝に向け、目標に掲げるのは最多勝に輝いたこの2年でも達成できなかった"15勝"という数字です。
足をついて投げる?
実演する青柳投手
その目標に向け、青柳投手が意識していることがあります。
それは・・・・。
『足をついてから投げる』
「足をつかなきゃ投げられないでしょ」
「一体どういうこと!?」
記者の頭の中には、?マークが浮かびましたが、青柳投手は実演しながら丁寧に教えてくれました。
青柳晃洋投手
「足をついてから投げるということは当たり前のことだが、『いいボールを投げたい』と思ったときに体と一緒に手が出てしまったり、足をついた瞬間に投げてしまったりする。そうではなく、しっかり足をついて体重移動をして間を作って投げることが大事。いいボールを投げた時に、キャッチャーからは『間がある』と言われる。本当に難しいことだが、足をついて投げるというベストのタイミングがある」
踏み出した左足にしっかりと体重を移動させ、“間”を作ってから投げる。
キャンプ中ブルペンで投げる青柳投手
わずかな動作のなかで一瞬のタイミングを合わせるのは難しいとのことですが、このキャンプのブルペンでも、繰り返しそのタイミングを確かめながら投げ込んでいる姿がありました。
青柳晃洋投手
「プロのピッチャーでも投げていくうちにわからなくなっていくし、できないことの方が多い。ただ、本当にベストなタイミングでできた時は信じられないほどすごいボールがいく。それをしっかり体に覚えさせる」
目標達成へ課題は夏場以降
ダッシュする青柳投手
そして、"15勝"達成に向けて欠かせないのは夏場以降の勝利です。
昨シーズンは前半戦だけで11勝をあげましたが、後半戦は2か月近く勝ち星がつかない期間があり、目標には届きませんでした。
「足が思うように動かなかったり、いつもだったら踏ん張れたところがあまり力が入ってなかったり。ボールが若干弱かったというのはあると思う」
夏場以降も安定して勝ち星をあげるために意識しているのが疲労がたまった状態でも理想に近いフォームで投げることです。
ブルペンで投げる青柳投手
このキャンプでは、走り込みやウエイトトレーニングで下半身を追い込んだ翌日にブルペンで投げ込む姿がありました。疲れた体で自身のピッチングがどうなるのかを確認し、体全体を使って投げられるようにしみこませていました。
青柳晃洋投手
「どこかが悪かったら、腕だけで投げてしまうなど、他のどこかに頼ってしまう。そうすればボールもよくない。体全体を使って投げられるのが理想なので、足が疲れていても体全体を使っていいボール投げれる状態、100%ではないが80%~90%くらい投げられる状態を体に覚えさせなければいけない」
エースと呼ばれても
2年連続でタイトルを獲得した実績に伴い、ファンや周囲からは「エース」と呼ばれることも多くなった青柳投手。しかし、自身は決してそのことばに気取ることはなくさらなる高みを目指しています。
青柳晃洋投手
「エースという自覚は全く持っていない。『青柳だったら勝てる』と思ってファンが応援に来てくれる存在がエースと呼ばれるにふさわしいと思っているので、そういうのを目指して頑張るだけ。引退した時に『阪神のエースは青柳だった』とか、『青柳はエースだった』と言ってもらえたらうれしい」
前人未踏の記録へ
セ・リーグではこれまで3年連続で最多勝に輝いたピッチャーはいません。目標の"15勝"を達成した先には、セ・リーグ各球団の歴代のエースたちがなしえなかった記録、そしてチームの18年ぶりの優勝も見えてきます。
青柳晃洋投手
「チームとしてはもちろん"アレ"(優勝)を目指す。僕自身は"15勝"という数字。3年連続最多勝は僕だけが挑戦できるものだと思っているので、そこへ向かって頑張っていきたい」
この記事を書いた人

中村拓斗 記者
平成30年NHK入局 福岡県出身
東筑高校野球部出身(ポジションは三塁コーチャー)
令和4年シーズンから阪神を担当