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特集 清宮幸太郎 来年は“おれが主役” プロ野球・日本ハム

野球 2022年12月23日(金) 午後7:19

今シーズンの日本ハムは新庄剛志監督が積極的に若手を起用する中、5年目の清宮幸太郎選手が大器の片りんを見せました。来年から日本ハムの本拠地となる新球場「エスコンフィールド北海道」での取材で清宮選手はさらなる飛躍を誓いました。

新庄監督の起用に応え 自己最多のホームラン

オールスターゲーム第1戦でサヨナラホームラン(2022年7月26日)

清宮選手

満足できるような数字ではなかったけど、すべてにおいてキャリアハイだったし、1年間ずっと1軍の舞台で戦えたというのはいい経験になった。

清宮選手は高校時代からスラッガーとして注目され、プロ入り後も期待されてきましたが、伸び悩む時期が続きました。昨シーズンは1軍での出場はゼロ。2軍で終えて悔しさだけが残る1年でしたが、今シーズンは新庄監督のもと、129試合の出場と18本のホームランは自己最多で才能を開花させる兆しを見せました。

体重減や打撃改造で飛躍

この活躍をもたらしたのは、昨シーズンオフから取り組んだ肉体改造とバッティングフォームの改良でした。肉体改造のきっかけは、去年秋キャンプで就任直後の新庄監督から考えてもいなかったことばをぶつけられたことでした。「ちょっとやせない?」

 

去年秋のキャンプで清宮選手の脇腹をつまむ新庄監督(2021年11月9日)

新庄監督が明かしたやりとりでは清宮選手は「やせてしまったら、打球が飛ばなくなるのが怖い」と話しましたが、新庄監督は「いやいや、変えないと。今もそんなに打球飛んでないよ」と痛烈に指摘。さらに「昔のほうがもっと飛んでいたよ。昔のほうがもっとスリムでなかった?それはキレがあるから。今はちょっとキレがない気がするから、やせてみよう」とたたみかけられました。

 

この日を境に清宮選手は減量のための運動と食事を始め、10キロ近く体を絞ってシーズンに臨みました。一方、バッティングで清宮選手の指導を任されたのは現役時代、同じ左バッターとして活躍した稲葉篤紀ゼネラルマネージャーでした。ことし2月の春のキャンプから軸足の使い方などマンツーマンでの指導が始まり、それはシーズン中も続きました。

稲葉GMはシーズン中も清宮選手に打撃指導を行っていた

清宮選手

やせたこともそうだし、やったことがないことにチャレンジできたことがよかった。稲葉さんにはずっとキャンプ、オープン戦のころから見てもらって、たくさん話しをしながらいろいろ教えてもらった。その指導がなければ、ことしの成績は間違いなくなかったと思う。

変化を求めてきた清宮選手が手応えを得た試合は5月5日の楽天戦でした。清宮選手はこの試合で岸孝之投手からプロ入り後、初めてとなる2打席連続のホームランを打ちました。

 

楽天戦でプロで初めて2打席連続ホームランを打つ(2022年5月5日)

清宮選手

調子がよくなくてなんで打てていないかと稲葉さんと探っているうちに「打ちにいく体勢で待てていないよね」という話しになった。それで左足の体重の乗せ方や足の上げ方をちょっと変えて意識し始めました。そのあとも波はあったけど大きく崩れることはなかった。

プロ4年間での成績に危機感を持っていた清宮選手は新庄監督の就任でチームが変わるタイミングで、みずからも変わることを決意しその成果を試合で見せました。確かな手応えを得た今シーズンを清宮選手はこう例えました。

清宮選手

殻を破る前段階というか、来年は絶対に殻を破りたいのでことしはそのためのステップアップ。さなぎから飛び立つ前というシーズンだったと思う。

来年は“おれが主役”

 

日本ハムは来シーズンから北海道北広島市の新球場「エスコンフィールド北海道」に本拠地を移します。新球場元年となる来シーズン、新庄監督は「日本一を目指す」と宣言。日本ハムでは打線を引っ張ってきた近藤健介選手がソフトバンクに移籍し清宮選手にかかる期待はさらに大きくなります。

清宮選手

新庄監督が優勝を目指すと言っている以上、目指さないわけにはいかないし勝たないとおもしろくない。新球場になって優勝するというこれ以上ないストーリーを作るためにも、これから何年間かはファイターズは安泰だって言ってもらえる活躍をするほかない。誰がいようと僕がいれば大丈夫だと言ってもらえる存在になりたい。

取材の最後に清宮選手が色紙に書いた来シーズンの目標は「おれが主役」。この決意の裏には清宮選手と同期入団のヤクルト・村上宗隆選手の存在があります。同じ左バッターの清宮選手と村上選手。プロ入り前の注目度は清宮選手が圧倒的でしたが、村上選手はヤクルトの主軸に成長し日本代表でも欠かせない選手になりました。

 

プロ1年目にフレッシュオールスターに出場したヤクルトの村上選手(左)と清宮選手(2018年7月12日)

今シーズンの村上選手は日本選手でシーズン最多となる56本のホームランを打ち、史上最年少での三冠王獲得と大きく差をつけられたように見えますが、清宮選手は強烈なライバル心を抱いています。

清宮選手

ことしの主役は誰がどう見ても村上だった。同級生があれだけすごい成績を残して、黙ってられないというか、負けてられないという思いが強い。来年は僕が主役を奪ってやろうと思っているし、優勝するためには僕が主役にならないといけない。

この記事を書いた人

櫻澤 健太 記者

櫻澤 健太 記者

平成28年入局、北九州局を経て札幌局
ことしからプロ野球・日本ハムを担当

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