ストーリーフィギュアスケート

紀平梨花 未公開インタビュー コロナ禍乗り越え2022へ

2020-06-08 午後 07:33

5月24日のサンデースポーツ2020、「わたしのエール」のコーナーに出演した紀平梨花選手。番組では紹介しきれなかったインタビューでは、新型コロナウイルスの影響で途中で終了してしまった昨シーズンの振り返り、そして見据える2022年の北京オリンピックへの思いを語っていました。必見の未公開インタビューです!

今だからできるトレーニングを

新型コロナウイルスの感染拡大で、大きな影響を受けたスポーツ界。フィギュアスケートも3月に世界選手権の中止が発表されるなど大会中止が相次ぎ、本来今の時期行われている海外合宿やアイスショーもなくなりました。思うようにリンクも使えず練習もままならない中でも、インタビューに答えた紀平選手は前向きに今と向き合っていました。

 

*****

――紀平選手、現在はどんなトレーニングをしているんですか。

 

リモート形式でインタビューを実施

 

紀平 いつもこの時期はアイスショーか海外という感じだったので、家にいることが本当に珍しいんです。自分を見つめなおしていろいろな事を試したり、今でしかできないこと、練習や合宿やアイスショーがあったらできなかったことを探しています。例えば、スケートがあるときにはやらないような自分を追い込んで走るトレーニングとか、あえてそういう日を作っています。氷上に戻って試合が入ってきたとき「今があったから強くなれている」と思えるようなトレーニング、そういうことを今はたくさんしていますね。

 

――これまではできなかったことができているんですね。

 

紀平 そうですね。スケートがあるときは「追い込みすぎてケガにつながったら…コンディションが崩れてしまったら…ジャンプが跳べなかったら…」と考えて、トレーニングも「この辺にしておこう」と次の日のことを考えながらやっていました。でも今はスケートがないのでちょっと自分の体の研究みたいな感じです。追い込んでみたらこうなったなと、いろいろ試しながらやっています。

 

――次のシーズンに向けての準備も進んでいるんでしょうか。

 

紀平 今はまだプログラムも決まっていないです。本当はこの時期くらいに振り付けをもう終えている予定だったんですけど、海外に行けていないので。ショート・フリーともに新しいものはない状態なので、全くの未定です。先の予定もわからないので難しいところはあるんですけど、今できることを最大限にやって、いつ試合が始まっても対応できるようにしていこうと思っています。


――大変な状況だと思いますが、紀平さんの答えからはポジティブさを感じます。

 

紀平 寝られなかったり、ネガティブになったりすることもあるんです。悩みすぎて余計にネガティブな問題がずっと頭に残ってしまって、悪循環になってしまうことが多かったです。今は意識的に常にポジティブに「将来の出来事のために今はこの試練があるんだ」と、いつも考えるようにして前を向いていこうと思うようになりました。ネガティブになってもいいことがなかったので、ポジティブになろうと。今は英語の勉強をしたり、お姉ちゃんとバレエやダンスをしたり、家族でゲームをしたり、楽しく過ごせていますよ。楽しい時間は増えていると思うので、それでエネルギーチャージみたいになっているかなと思います。

4回転に挑んだシーズン

シニア1年目の2018年にGPファイナル優勝

 

2018年、シニアデビューのシーズンでいきなりグランプリファイナルと四大陸選手権を制した紀平選手。一躍世界中からマークされる存在になりました。去年から今年にかけての2年目のシーズンは4回転ジャンプへの挑戦も注目を集め、大きな期待を背負って臨みました。

しかし、その前に立ちはだかったのはシニア1年目のロシア選手たち。連覇を狙ったグランプリファイナルでは、コストルナヤ選手、シェルバコワ選手、トゥルソワ選手に次ぐ4位と表彰台を逃しました。4回転ジャンプはグランプリファイナルで一度挑戦し失敗。世界選手権の中止でシーズンは終了し、目標は来シーズンに持ち越しになりました。日本女子のエースとして世界に挑む「宿命」を背負ったシーズン、紀平選手が得たものは何だったのでしょうか。

 

2019年GPファイナルでは4回転ジャンプに挑戦

 

*****

 

――紀平選手にとって、シニア2年目はどんなシーズンでしたか。

 

紀平 1年目のシーズンはショートプログラムでトリプルアクセルのミスが多かったので、2年目はそのミスが少なくて、そこはよかったと思いました。あとは世界ランキングで初めて1位をとれたので、そこがすごくうれしかったシーズンかなと思います。

 

――逆に辛かったところはありましたか。

 

紀平 どの試合が、と言われるとグランプリファイナルですね。フリーで4回転に挑戦できて、それは失敗してしまいましたけど、他が崩れなかったことはすごく大きな収穫でした。でも前回は優勝だったのが今回は4位になってしまったので、ちょっと悔しかったなと。大会の直後はすごく大きな収穫で満足していたんですけど、後から考えると4回転を入れて成功するか、4回転を入れずに表彰台に上がりたかったですね。

 

――4回転へのチャレンジに対しては、今どう感じていますか。

 

紀平 4回転を大きな大会でチャレンジすることが今までになくて、すごい緊張感もあったんですけど、大きな決断でもあったのでやってよかったなと思います。この先どうなるかはわからないですけど、今後も4回転をずっとプログラムに入れていくためには、大きな一歩だったんじゃないかなと思います。


――4回転ジャンプを跳びますか?と聞かれ続けたと思いますが、そのあたりはプレッシャーに感じていたんでしょうか。

 

 

紀平 特にプレッシャーに感じたりはしなかったです。4回転については周りの方々が本当に期待してくださっていたのも分かっていたので、「練習で完成させるぞ」という気持ちを後押しをしてくれたなと思っています。その時の状態によって自分で回避を判断する試合も多かったですが、周りの言葉に惑わされずに「やるべきときにはやって、やらないときはやらない」と、最後は自分で決断すると決めていました。

 

――17歳で、自分で判断をするというのは大変な事ですよね。

 

紀平 やっぱり試合でミスをしたくないという気持ちがすごく強かったです。4回転を入れるべき時は入れてもいいですけど、ミスするとわかっているくらいの状態だったら絶対に入れないで表彰台に上がりたいと思っていました。ジュニアの時は無理にアクセルを入れて代表入りを逃したり、いろんな挑戦をしすぎて強化選手から外れてしまったりという経験があったので、自分が冷静になって正しい判断をしないといけない、最後は自分で決断しようとすごく感じたんです。ケガもあって4回転の練習ができない時期もありましたけど、無駄な時間はなかったです。シーズン中はどんどん試合が続いていくので、ケガの状態で4回転はできないなと思ったら、一旦忘れて他の部分でミスのないように、とすぐに切り替えていました。

コロナ禍の中で

ことし2月の四大陸選手権で優勝

 

ことし2月の四大陸選手権で2連覇を達成し、続く目標となったのが3月にカナダで予定されていた世界選手権。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で大会は中止に。その発表の2日後、紀平選手は自身のSNSにメッセージを投稿しました。そこに書かれていたのは。

「私は昨日、来季に向けての練習をスタート致しました。」

世界が動揺する中でも、自分は前を向いているという姿を発信しました。

 

 

*****

――世界選手権が中止となったときに、SNSにメッセージを載せましたよね。どんな気持ちだったのでしょうか。

 

紀平 あの時は、ファンの皆さんもショックを受けている方がたくさんいるんじゃないかと思いました。私はもう来季に向けて練習を再開して、落ち込んだりせずにやるべきことをしっかり見つけて前を向いている、ということをファンの方々に報告したいなと思いました。

 

――でもやはり選手としては、4回転にもう一度挑戦したかった、滑りたかった気持ちはあったのではないでしょうか。

 

紀平 やっぱり世界選手権はなかなか出る機会も少ないですし、そこで1位を争いたいと思う一番大切な試合でもありました。前のシーズンは4位だったので、もっともっといい順位を目指したかったです。でも北京オリンピックの前に世界選手権はまだ1回あると思うので、そこでしっかり実力を出せればいいかなと、今は思っています。

目指すは2022!

世界中のアスリートが練習も試合もできない状況が続いて数か月。日本では学生スポーツの大会の中止が相次いで決まりました。その中で紀平選手は、今の苦しい状況をいかに前向きに乗り切るか、それがこの先の大きな目標につながると考えています。


*****

――紀平選手の大きな目標、2年後の北京オリンピックへ向けて、今の経験がどう生きてくると思いますか。

 

紀平 今は選手みんなが違う生活を送っている時期だと思うので、この状況で誰が一番頑張れたか、それが北京オリンピックの結果に出てくると思います。氷の上を滑れない時期に家でどんなことをして過ごしたか。私は今できるトレーニングとか英語とか勉強も頑張っています。「私は頑張ってきたから大丈夫」と思えるように過ごして、コロナウイルスを乗り越えて北京オリンピックで優勝したい。その夢を変えたくはないと思うので、その夢に向かって頑張りたいと思っています。

 

――紀平選手と同世代の学生のみなさんも様々な大会が中止になったりしています。紀平さんから、エールを送ってもらえますか。

 

 

紀平 私は家にいる時間が多くなっていますが、家でできることを最大限に努力しながら楽しく過ごしています。みなさんも、今しかできないことを見つけて乗り越えてほしいなと思います。自粛しなければならない状況もたくさんあると思いますが、ストレスをためず楽しくポジティブに、コロナウイルスが収まったあと、次に活躍する場で力が発揮できるように、自分のやるべきことをポジティブに頑張ってほしいなと思います。

 

――ありがとうございました!


 

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