特集 ラグビー日本対イングランド ”キッキングゲームで上回れ!” 日本が30対28で勝つ!?

この週末、日本時間の13日(日)の日付をまたいでほどなく、ラグビー日本対イングランドがキックオフを迎える。
私が大胆にも提示するのは30対28で日本の勝利。
数字がそれっぽいので紛らわしいが、この数字はスコアではない。
ラグビーで司令塔と呼ばれるスタンドオフ(以下SO)とフィールドの最後方に位置するフルバック(以下FB)の2人のキャップ数(国の代表として出場した試合数)の合計だ。
10日に発表されたメンバーで日本はSOに山沢拓也(キャップ5)、FBは山中亮平(同25)で合計30。
山沢選手(左) 山中選手(右)
一方のイングランドは売り出し中の若手2人。
23歳のSOスミス(同14)と21歳のFBスチュワード(同14)の2人で合計28。
スミス選手(左) スチュワード選手(右)
わずかだが日本が上回るのだ。
なぜこの2人を比較するのか?SOとFBには試合の中で”キッキングゲームを制する”という大きなミッションが課せられるからだ。
ではキッキングゲームとは?
ラグビーにおいて自分たちがトライを取りやすく相手にトライを奪われにくい戦い方とはどんなものか・・・。
それは実にシンプルで常に相手陣内で戦うことだ。
自分たちに有利なフィールドポジションを得るために、キックを効果的に使って敵陣に侵入しようと試みる、すなわちキックの蹴りあい、陣地の奪い合いが展開される。
このキッキングゲームに必要不可欠なのは、『いつ、どこへ、どんなキックを蹴るか』といった状況判断の経験値とイメージ通りにキックを蹴る高いスキル。
さらに相手キックに対するポジショニングやハイボールへの強さも加えておこう。
代表としての出場数はそれらの力を映し出す1つの指標と言える。
最新の世界ランキングを見ると、日本の10位に対してイングランドは5位。
日本から見るとイングランドは今まで勝ったことのない、いわゆる格上の相手だが、こう数値化してみると「おっ日本、ワンチャンいける!?」と勇気をもらうことができる。
このキッキングゲームにおいて、日本は34歳にしてキャリアの絶頂期を迎えているとみるFB山中に期待したい。
1メートル88センチ98キロの体格から繰り出す左足のロングキックを、敵将のエディ・ジョーンズも大いに警戒している。
7月のフランス戦、先のニュージーランド戦でもキックはもとよりラン、タックルと攻守で光を放った。
ただラグビー通の方は気づいていると思うが、イングランドには歴代最多の118キャップを誇るベテランSHのヤングス(日本戦はリザーブ)が君臨する。
そしてキャプテンでCTBのファレル(キャップ98)。
この2人の存在もキッキングゲームにおいて当然、無視できない。
ヤングス選手(左) ファレル選手(右)
しかしこの点でも日本は対抗できる要素がある。
WTBの1人、松島幸太朗はそもそも本職がFB。
昨シーズンはフランスのプロリーグで大活躍を見せて日本に帰ってきた。
さらに今回はもう1人のWTBに突破力が魅力のフィフィタではなく、キック力があり1メートル92センチと高さもあるファンデンヒーファーが起用されることになった。
このファンデンヒーファーも本職はFBなのだ。
日本はトリプルFBとでも呼ぶべき布陣を敷いたのだ。
松島選手(左) ファンデンヒーファー選手(右)
もしこの布陣でキッキングゲームを制することができれば、今や世界が恐れる日本の「ハイスピードアタック」を敵陣で繰り出すことができる。
そうすればトライは遠くないはずだ。
会場はロンドン郊外にある”ラグビーの聖地”トゥイッケナム・スタジアム。
日本が三度、世界を驚かすことも現実味を帯びてくる。
トゥイッケナム・スタジアム外観
ちょっとした数字遊びでもあるが、筆者は大真面目にこの30対28という数字に願いを込め、キックオフを待ちたい。
最後に日本代表が合宿最初のミーティングで確認した合言葉を紹介して見どころを締めよう。
キッキングゲームに勝つものが、テストマッチに勝つ
Go!! Brave Blossoms!
この記事を書いた人

豊原 謙二郎 キャスター
実況アナウンサーとして、野球、ラグビー、アメフト、柔道、アルペンスキー、モータースポーツなどを担当。サンデースポーツではキャスターとして、豊富な実況経験をフルに活かしてお届けする。