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特集 大相撲秋場所中日 元横綱・白鵬の宮城野親方が注目力士を“独自採点”

相撲 2022年9月21日(水) 午後7:45

横綱三大関がそろって敗れる日があるなど波乱続きの大相撲秋場所。混戦の今場所を引っ張っているのが玉鷲(37歳)や北勝富士(30歳)などの平幕力士です。中日を終えた9月18日、元横綱・白鵬の宮城野親方が先週に引き続きサンデースポーツで徹底解説!“大横綱”独自の視点で各力士を辛口採点しました。

注目取組①北勝富士VS.遠藤 北勝富士 好調の要因は 

 

まずは初日から中日までただ1人勝ちっぱなしの北勝富士と遠藤の一番から。宮城野親方監修の分析チャートでは、北勝富士はバランスがよく「突き押し」も「四つ相撲」も3点の評価です。対する遠藤もバランスがよく「突き押し」は2点ですが、得意の左四つがある「四つ相撲」など他の項目はすべて3点。北勝富士の右四つと遠藤の左四つ。両者得意の四つ相撲がぶつかる取組となりました。

 

 

結果は北勝富士が寄り切りで遠藤を破って8連勝。中日で勝ち越しを決めました。

ここで宮城野親方が「どすこい君」人形を使って、この勝負のポイントを実演解説しました。

 

宮城野親方

北勝富士の左のはずがよかったんですよ。このはずで遠藤は得意のまわしが取れなかった。ここからすかさず北勝富士が右のおっつけで絞って(相手の)体が浮くんですね。浮いてそのまま得意の右四つで差して左上手を取って寄り切ったと。北勝富士の『押す』というベースがあるからこの四つ相撲もできてしまうのです。

8連勝の北勝富士ですが、後半戦は上位との対戦が控えています。宮城野親方から見た北勝富士はどんな力士でしょうか?

宮城野親方

現役時代に負けたこともあり、ずいぶん苦しめられました。押してくるんじゃないかと思うと四つで組んでくるというのは、相手は「きょうはどうくるんだろう?」と悩むんですよね。左からの攻めも光っていますし四つに組んでも前に出られるという。

現役時代に北勝富士と11回対戦して2敗している宮城野親方に、令和元年秋場所で北勝富士に敗れた一番を振り返ってもらいました。

 

宮城野親方

私もこれは『突き』で押して勝負したいという気持ちがあったのですが、北勝富士が差してきましたからね。そこで対応できなかった。(北勝富士は)『押す』という型を持っているから強いんですよね。私はいつも言うのですが、“型を持って型にこだわってはいけない”。私が目指す相撲の道ですね。

注目取組② 玉鷲VS.佐田の海 好調玉鷲の「突き押し」と「パワー」

 

続いて中日まで勝ちっぱなしの北勝富士を1敗で追う幕内最年長37歳の玉鷲の取組です。宮城野親方の分析チャートでは「パワー」と「突き押し」が5点と満点の評価となっています。相手は過去4勝10敗と大きく負け越している佐田の海。先場所も押し出しで玉鷲が敗れています。

 

 

結果は、立ち合いから強烈な当たりを見せた玉鷲が押し出しで佐田の海を破り1敗を守りました。

この一番について玉鷲は「分が悪い相手だったので自分との戦いに勝てた。久しぶりに電車道だった。よかったと思う」と取組後に語っていますが、宮城野親方はどう見ているのでしょうか。

宮城野親方

対戦成績は悪いし、佐田の海の方が有利なんですよね。本人の口から出ているように電車道の相撲というのは、心・技・体がそろわないとなかなかできないんですね。それをこの一番で玉鷲が出したというのは本当に後半戦が楽しみです。

今場所、持ち味を発揮している玉鷲の好調さを宮城野親方が感じたのは5日目の横綱・照ノ富士戦でした。

 

 

結果は、玉鷲が寄り切りで照ノ富士を破りました。

宮城野親方

押してからの巻き返しですね。玉鷲には珍しい動きですが、それが自然に出るのが玉鷲の好調さでしょうね。

ここでも宮城野親方が「どすこい君」人形を使って、玉鷲が寄り切りで勝った照ノ富士戦のポイントを実演解説しました。

 

宮城野親方

玉鷲は北勝富士と同じで押すことが得意技でベースとなっています。まず横綱を一回突いて押しました。押したときに止まったんですね。横綱が玉鷲の動きを止めてしまった。そこから玉鷲はいなされて負けてしまったり、まわしを取られて負けたりすることが多いのですが、ここで玉鷲が押し切れないと判断した瞬間に巻き返したんですね。みずから差していくというのは自然と体が動いているということ。差してすくってからかいなを返す。そして一気に出ていきました。本人と支度部屋で話し、「寄り切りなんていつ最後にやった?」と聞いたら「覚えていません」と。調べたら半年前に1回寄り切りがあったぐらいで、それくらい玉鷲は今場所好調だということですね。

玉鷲は秋場所9日目(9月19日)の取組で初土俵から1457回連続出場となり、貴闘力を抜いて歴代単独3位となりました。30代のベテラン力士の活躍で盛り上がりを見せる大相撲秋場所。終盤も目が離せません。

 

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