特集 DeNA三浦大輔監督 シーズン終盤をどう戦う 上原浩治さんが直撃

プロ野球は終盤戦に入っています。セ・リーグで去年の最下位から2位に躍進しているのがDeNAです。直近の首位・ヤクルト3連戦では村上宗隆選手に4本のホームランを打たれるなどして3連敗を喫しゲーム差を広げられました。それでも続く中日との3連戦は3連勝と嫌な流れを断ち切りました。サンデースポーツの上原浩治さんが三浦大輔監督に令和初の三冠王を目指す村上選手への対策、残り試合をどう戦うかなどについてたっぷり聞きました。
監督としてチームをどう束ねる
上原 最近寝られていますか。
三浦 寝られてることは寝られています。選手の時はあまりありませんでしたが、寝ている時も野球のことが出てきます。でもしっかり寝られて、年々朝起きるのが早くなってきているので年とともに。
上原 現役の時よりも今のほうが早いですか。
三浦 早い、早い。
上原 グランドを見ましたが、正午前から練習していますね。
三浦 選手?もちろん早出組もいますが、その前に自分たちでグランドに行ったりウェイトに行ったりとか。
上原 ナイターをやった次の日にこんな早くにやっていると思わなかったので。
三浦 入団したころ、アップ開始1時間くらい前、そんな感じでしたね。
上原 今まだ正午だから。今くらいに球場着くか午後1時くらいに着く僕のイメージでした。
三浦 早い選手はいま、昼食を球場でとれるようになっていますから。 昼食をとって動いてとか、ナイター終わってからでもとれるようにしたりとか。けっこう遅い時間までやってる選手が多いみたいです。
上原 昨夜(4対16で大敗した翌日の取材でした)は寝つきが悪い夜になったんではないですか。
三浦 久しぶりにワンサイドになって、ああいう時は返って口数も少なくなるというか。
上原 そんなに落ち込むというか、そこまで深くは考えていない感じですか。
三浦 監督自身が引きずってはいけないなと思って。
上原 この3連戦の初戦は村上選手にやられて、昨夜は投手陣がみんなやられた感じでした。村上選手が一番の注意選手になりますか。
三浦 もちろん状態はかなりいいですしポイントゲッターになるでしょうし。昨夜は村上選手だけではなく全体的にやられました。得点源をどう抑えていくか。逃げていたら何も残らないというところで攻めていった結果、ああいう形になりましたね。
上原 村上対策というところで、 監督がバッテリーミーティングに参加することはありますか。
三浦 野手、投手、バッテリーミーティングには参加しないで、事前にコーチとアナリストと話し合いのスタイルで。あとはコーチに任せていますね。
上原 試合の対戦は4打席くらい1試合にありますが、べンチからサインを出すことはキャッチャーに対してありますか。
三浦 バッテリーに任せながら、もちろんイニングごとにバッテリーコーチに話しています。
上原 歩かせてもいいという攻め方も。
三浦 それはべンチから指示を出していますね。
上原 村上選手の後の外国人選手がけっこう当たってきました。それはどう感じていますか。
三浦 ヤクルトは打線が絶好調だからその中で全部逃げるわけにはいきません。今後試合が残っている中で非常に難しいですね。勝負していく中でもあれだけ打たれたら。
上原 投手からしたら、たまったもんじゃないですね。
三浦 流れ的にも火の付いたところでリリーフ陣は大変だと思いますが、ああいう中で変えるのはなかなか難しい。コテンバンにやられました。
9月は超過密日程 どう乗り切る?
上原 ヤクルトだけを見ているわけにいかないし、9月はかなりつまっている日程で、どういう戦いをやっていきますか。
三浦 先発投手が6枚じゃ足りないというところで、ファームで今準備をしてもらっています。主力を休ませたい部分はありますが、結果によっては出続けてもらわないといけない時もあると思います。もちろん休ませる時があれば休ませますが、あとは練習量を落としながら調整していくしかないですね。
上原 先発投手が6人では足りないですか。
三浦 6人じゃさすがにちょっと9月はきついと思っています。
上原 1人2人増やして。
三浦 準備してもらっています。
上原 中継ぎの負担も減らす。連投はあまりさせないとかも。
三浦 もちろん。勝負どころでここっていう時は、勝ちパターンの投手でも3連投はあります。4連投はさすがに考えますが。
上原 3連投はできると思いますが、僕自身の考えでも。
三浦 球数とか考えてですね。
上原 けが人が出ないようにというところ。4月5月あまり波に乗れませんでした。ここに来てすごいドンと行った要因は。
三浦 7月は接戦が多かったですね。それを経験して勝ちを拾うことができた。選手たちが「俺たちはやればできる」という自信を持ちました。あとは先発投手が安定してきました。夏場の暑い時期でもしっかりゲームを作る。8月の勝っている時、先発は6回、7回をしっかり投げてくれた。そして少ないチャンスで攻撃陣がしっかり点を取って守りきった試合が多かった。そのあたりが連勝できた要因じゃないと思いますね。
上原 これから野手、投手で誰がポイントになりますか。
三浦 中軸はずっと安定して成績を残してくれています。1番の桑原将志選手が出塁するとすごく盛り上がります。ムードメーカーでもありますし、べンチの中を「ヨッシャー」という空気に変えてくれますから。
上原 投手陣でいうとやっぱり先発になりますか。
三浦 先発ですね。今永昇太投手、濵ロ遥大投手、大貫晋一投手もそうだけど、その中で若い京山将弥投手がローテーションで回れるかどうか。京山投手が一本立ちしてくれたらチームにとっても大きな力になりますね。
桑原将志選手(左)と京山将弥投手(右)
村上対策 マウンドにいたらどうする?
上原 ヤクルトの村上選手に対して、三浦監督が現役の時ならどう攻めますか。
三浦 巨人でプレーした松井秀喜さんのイメージに近いかなと。そこに投げておけば大丈夫という打者ではないので、インコース、アウトコース、ボール球を使いながら奥行きもというところ。どこのチームもインコースを意識させて、ちょっとでも甘くなるとホームラン。そういうリスクの中でポールを使わないといけない。そこでどれだけ意識させた中で、外の出し入れをするか。僕が投げていたときは外のスライダー、ポールから、もしくは外のフォークボール。反応してくれればインハイのカットボール使ってと。カーブでストライクは投げないですが。村上選手は本当に手をつけられない状態なので、それでボールを振られれば仕方ないというくらいの攻めで割り切ってやらないと。
上原 選球眼もいいですしね。
三浦 タイミングを外してもファールで逃げたり、ちょっとヘッドを変えて拾われると、ふつうだったらヒットというところをホームランにする力があります。そのプレッシャーの中でコントロールミスが起きる、コントロールミスしても許してくれる打者ではない状態ですね。
上原 今はフォークボールを投げる投手が多い。インコースに投げられたらおもしろいのでは。
三浦 インコースは反応が速くならないと打てない、そこでフォークボール。
上原 予想できないボールでは。
三浦 もちろんべースの真ん中っていうイメージがある中で、ちょっと行くと拾われる。インコースの場合はファールになるでしょ。どれだけ意識させられるのか、インコースのまっすぐを。
一番のファンサービスは勝ち試合!
上原 今後はどういうところをファンに見せたいですか。
三浦 どういう戦い方もそうですけど、勝ち試合ですね。勝ちを届けるのが一番のファンサービス。内容ももちろん大事かもしれませんが、ここまで来たら春先とは違います。結果にこだわって。
上原 去年とことしの今の時期を比較して、気持ちは充実していますよね。
三浦 もちろん去年もいろいろー生懸命やりましたが、なかなか思い通りにはいかなかったところがありました。ことしは2位で戦えていますし、明らかに力をつけているので充実しています。