特集 若元春「初の上位挑戦。思い切りいって楽しみたい」大相撲名古屋場所を前に

新入幕から3場所続けて9勝を挙げ、名古屋場所は初の上位挑戦となる若元春。幕下時代に覚醒させてくれた友人の阿炎の存在や、1つ年下の弟若隆景への意識など、NHKの大相撲中継でおなじみの吉田賢アナウンサーがインタビューしました。
若元春(右)に吉田賢アナウンサーがインタビュー
阿炎に出会って相撲を頑張ろうという気持ちになった
――東前頭4枚目まで上がって、名古屋場所は上位戦が待っていますね。
勝てるわけないとは思っているんですけれど、負けたくないとも思っています。ですから思い切っていくだけです。
夏場所4日目 照強を押し倒しで破る
――でも楽しみですよね。
それは楽しみですよ。横綱大関はビッグネームですから、対戦できることが光栄です。幕下上位で十両に上がれずにくすぶっていたときには、こんな日が来ると思っていなかったです。幕内上位の皆さんは、雲の上の人だと思っていましたし、そういう時間帯に土俵に上がるんだなと、思いが深いですね。
6月13日 荒汐部屋の稽古で霧馬山と相撲を取る若元春(左)
――幕下でくすぶっていたというのはつい3年くらい前です。何が変わったのでしょうか。
幕下で阿炎関と出会ってから少しずつ変わったんです。言い方が悪いですけれど、そのころの私はやる気がなかったという感じだったのですが、身近な存在で尻を叩いてくれたのは、先代の荒汐親方(元小結大豊)以外では阿炎関だけで、友達の中では初めてだったんです。「お前はできるのに、なぜやらないんだ」と言ってくれました。相撲を頑張ろうと思えたのは阿炎関がいたからです。さらに今の師匠(元幕内蒼国来)になってから相撲内容も変わって十両に上がり、結婚してまた変わってきたという感じです。
「弟の若隆景には稽古場で負けたくない」と意識
5月2日 大相撲夏場所に向け、若隆景(右)と稽古する若元春(左)
――弟の若隆景関を意識するとか、刺激になるとかということはありますか。
弟が本場所で活躍していることに関して意識はないですね。兄弟なので本場所で対戦することはないのですが、稽古場でさんざん胸を合わせるので、最近稽古場で勝てないのが悔しいです。でも、そういうふうに思うようになったのが成長したということかなとも思います。 勝ちたいとか負けたくないとか考えるということが、多分刺激を受けているということじゃないかなと。
宇良を力強く送り出しで破る(夏場所5日目)
――名古屋場所の目標は何ですか。
毎場所そうなんですが、幕内から落ちないようにと考えます。だから(前頭6枚目だった)夏場所の目標は3勝だったんです(笑)。名古屋は1つ勝てば幕内には残れそうだから(笑)、まず一番頑張って取って、後は気楽にと。
――今の若元春の相撲がどれだけ通用するのかというのもあるでしょう。
横綱にぶつかっていく、わんぱく相撲の子どものような気持ちですね。たいそうな目標を掲げるとダメになる性格なんで、楽しんでいけたらなと思います。
相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から