特集 小結 大栄翔 さらなる上を目指して 大相撲夏場所から

リズムよく突いて、押す、大栄翔。今場所、横綱と二大関を倒し、土俵を盛り上げている。
夏場所7日目 大関 御嶽海と攻め合う大栄翔
場所前から、大栄翔は心技体が充実した様子が伺えた。その理由の1つが学業だ。おととしから通っていた日大大学院をことし3月に修了。稽古や本場所の合間、ファミリービジネスについて学んできた。
2021年2月1日 追手風部屋での稽古でしこを踏む大栄翔
慣れないパソコンでの作業に苦戦しながらも「相撲界の継承、発展」をテーマに修士論文を提出。ゼミでは、さまざまな業種、年代の人と一緒に学び、相撲界とは異なる世界の話に刺激を受けてきた。
「自分のことだけでなく、若い衆へのアドバイスや稽古場での振る舞いも大事。余裕が出たというか、そういうのも大切なんだと思った」と心の成長を実感していた。
2021年3月13日撮影 追手風部屋で稽古する大栄翔
さらに、場所前に行われる合同稽古に初めて参加。同じ押し相撲や四つ相撲など、さまざまなタイプの力士を相手に自分の突き押しを試した。
「たまには違う人とやることで、そこで気が付くこととか自分の課題とかが分かる。もっと突いていく内容にしていかないと」と、より意欲的に取り組んできた。
学業、そして場所前の稽古で、みずからと正面から向き合う姿勢は場所中も続いている。6日目、小結・豊昇龍との一番では立ち合いで当たりきれず、一気に寄り切られた。
夏場所6日目 豊昇龍に寄り切りで敗れた大栄翔
しかし翌7日目、大関・御嶽海との一番では、その立ち合いを修正。鋭く当たって前に前に攻め続け押し出した。
夏場所7日目 大関 御嶽海を攻める大栄翔 押し出しで破る
「立ち合いをしっかり直せば、体は動いているので相撲が取れると思った」と振り返った。
この一番に、日本相撲協会の八角理事長も「立ち合い、いいタイミングで当たれた。リズムが良かった。いい当たりをすると距離が保たれるからね」と評価していた。
横綱・大関陣との対戦を終えた大栄翔は中日、8日目まで5勝3敗。去年初場所以来の2回目の優勝、そして、さらなる上の番付を目指す。
三役定着と考えていたらダメだと思う。上を目指して。自分は突きと押ししかないので、あとは気持ち。どれだけ強い気持ちをもっていけるか。しっかり1日1日集中して勝てるように頑張る。
この記事を書いた人

持井 俊哉 記者
平成26年NHK入局
北九州局を経て、スポーツニュース部。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。