特集 北の富士勝昭が斬る 若隆景と琴ノ若、北の若に期待 大相撲夏場所を前に

若隆景は夏場所も勝星が2桁に乗れば大関の声もかかる
賜杯を手に笑顔の新関脇若隆景(春場所千秋楽)
初優勝した若隆景は目に見えて強くなっている。強くなるとは思っていたが、まさか天皇賜盃を抱く力士になるとは思わなかった。おっつけが武器だが、完全な押し相撲タイプではないだけに、安定性という意味でも大崩れしない力士である。
大栄翔や隆の勝が上位で苦労しているように、押し相撲は一つ調子が狂うと連敗が続くときがある。横綱、大関陣にとっては嫌なタイプだが、下位の力士には思い切っていけないところがあるのが、押し相撲力士の難しいところだ。
豊昇龍を攻める若隆景(左) 寄り切りで下す(春場所5日目)
若隆景は27歳と年齢的にも今が最も脂が乗り切る時期。夏場所も勝星が2桁に乗れば、大関の声もかかってくる。おっつけの威力が増してきたのはもちろん、体が少し大きくなってきたようだ。地力もついてきたし、自信もついてきたことだろう。
琴ノ若は突っ張って差して攻める相撲で次期大関候補だ
2020年春場所の番付発表後に会見する琴ノ若(右) 左は父で師匠の佐渡ヶ嶽親方
2場所連続で千秋楽まで優勝を争った琴ノ若は、本当にたくましくなった。父親(元関脇琴ノ若、現佐渡ケ嶽親方)に似ておとなしいと思っていたが、あれほど闘志のある力士だとは思わなかった。
貴景勝(右)と対戦する琴ノ若(春場所11日目)
気が強くて上位に対しても物おじしない、向かっていく気持ちが前面に出ている。以前は押し相撲か四つ相撲かよく分からない相撲だったが、突っ張って差して攻めるという相撲がしっかり確立されたようだ。次期大関候補と言ってもいいだろう。
北の若 大勝ちをきっかけに十両を抜けろ
北の若が十両土俵入り(春場所11日目)
十両の北の若の春場所での11勝は、いい相撲もあったが、負け方を見ると体の硬さを感じる。突っ張って差しにいければいいが、抱え込みにいくのが目につく。
北の若が寄り切りで竜電に敗れる(春場所8日目)
左四つのほうが腰も降りて形になっている。この大勝ちをきっかけに十両は一気に抜けないと。今の十両に1年もいたらだめだ。
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