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特集 新関脇 若隆景 親方たちが評価する相撲とは 大相撲春場所

相撲 2022年3月25日(金) 午前9:45

春場所7日目、テレビの中継解説をしていた元大関・琴風の尾車親方がつぶやいた。

「相撲がうまい。こんな相撲を取ってみたかった。相撲通の人なら好きになる相撲だ」

10日目、土俵下で審判長を務めた元大関・武双山の藤島親方は。

「強い。びくともしない。土俵に根が生えたようだ。間違いなく大関候補になる。しぶとくて、昔いたタイプだ」

親方たちが高く評価しているのが、今場所の若隆景の相撲だ。身長1メートル81センチ、体重130キロと幕内では大きな体ではないが、低い体勢を崩さず、強烈なおっつけを生かして前に出る相撲で白星を重ねている。

 

 

1敗で迎えた12日目、2敗の琴ノ若との一番は若隆景らしさを見せた相撲だった。

 

 

立ち合い、琴ノ若の出足に土俵際まで攻め込まれるも、重心を低くして押し返すと、低い姿勢のまま左から厳しくおっつけて、前に出て寄り切った。

 

 

取組後「下から自分の相撲をという意識だけだった」と振り返ったあと報道陣から優勝争いについて問われると「自分の相撲を一生懸命やりたい」といつものように淡々と応じた。

 

 

平成29年の春場所、三段目100枚目格付け出しで初土俵、令和元年の九州場所で新入幕を果たし、技能賞を2回受賞。去年の名古屋場所では新三役の小結となった。その後、上位陣の厚い壁にふた桁勝利に届かない場所が続いたが、今場所は11日目に早くも10勝目を挙げた。

 

元横綱・北勝海の八角理事長は若隆景の相撲内容にかねてから光るものがあったと話した。

「ずっと、いい相撲を取って負けていたが、大化けするような内容があった。ただ単に負けていたわけではない」

さらに元横綱・大乃国の芝田山親方は他の力士との精神面の違いを指摘した。

「とにかく勝てばいいんだという相撲ではない。自分の相撲を取り切るという風に目標を置いているんだと思う」

 

 

新関脇の場所で優勝を果たせば昭和11年の双葉山以来、86年ぶりとなる。横綱や大関だった親方たちの評価に結果で応えることはできるか。春場所は残り3日だ。

 

 

この記事を書いた人

持井 俊哉 記者

持井 俊哉 記者

平成26年NHK入局

北九州局を経て、スポーツニュース部。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。

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