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特集 新関脇 阿炎「ここが最後の番付ではない」大相撲春場所

相撲 2022年3月15日(火) 午後10:00

春場所3日目。新関脇の阿炎は立ち合いから持ち味の力強い突きを繰り出し、初顔合わせの霧馬山を一方的な相撲で破った。

 

 

初日に黒星を喫したものの、その後は2連勝とエンジンがかかってきた。取組後、充実の言葉で振り返った。

 

「自分のいい相撲が取れている。自分をどれだけ貫けるか、きょうのように前に出て勝った相撲を糧に、あすからも臨んでいきたい」

 

おととし、接待を伴う飲食店に出入りし、日本相撲協会のガイドラインに違反したなどとして、3場所出場停止の処分を受けた阿炎。去年の春場所で復帰してちょうど1年、ここ2場所は優勝争いに絡むなど、めざましい活躍で自己最高位の関脇につけた。

 

春場所の番付表を指さす新関脇の阿炎

それでも笑顔は見せないー。大きな挫折から歩んだこの1年を冷静に見ている。

「自分の心を強くする1年だったのかな。でもここで満足してはいけない。たくさんの人に認めてもらえるような力士になりたい」

 

躍進の裏には意識の変化がある。日々の食生活を改めると体重の大きな増減がなくなった。みずからの取組のすべてを振り返り、時間があれば過去の横綱の動きを研究するなど研さんを積んだ。

「参考になるのは曙関、相撲が似ていたので。四つ相撲だと朝青龍関とか稀勢の里関、白鵬関とかを重点的に見ている」

 

目指す理想は“速い相撲”。相手よりも一歩でも速く、動き負けないこと、そして突き出すことを追求している。

 

 

淡々とそして冷静な表情を貫くが言葉には力がこもる。

 

 

「まだここが最後の番付ではない。しっかり上を見て自分を見直しながら進んでいきたい」

 

いまは浮き足立つことはない。一番一番に臨んだ先に目指すさらなる高みが見えてくるはず。

 

この記事を書いた人

今野 朋寿 記者

今野 朋寿 記者

平成23年 NHK入局
岡山局、大阪局を経てスポーツニュース部。二児の父として、子育てにも奮闘中

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