ストーリー野球

9人で戦う学校最後の夏 愛知県立新城東高校

2020-07-03 午後 03:44

新型コロナウイルスの影響で中止となった夏の全国高校野球。その代わりとなる各都道府県独自の大会が各地で開幕していきます。

その大会に特別な思いを持って臨む9人がいます。愛知県立新城東高校野球部の選手たちです。新型コロナウイルスの影響に翻弄されながらも最後の舞台に挑む選手たちを見つめました。

部員は3年生9人だけ

 

愛知県東部の新城市にある新城東高校野球部。部員は、3年生の9人だけです。生徒数の減少などで近隣の学校と統合するため、在校生は3年生しかいません。

 

 
かつては強豪がそろう夏の愛知大会でベストエイト進出も果たした野球部。9人は伝統の最後を飾りたいと入学しました。ぎりぎりの人数ながら去年秋の地区大会では、リーグ戦で4勝1敗と成果をあげました。

 

 

丸山航矢選手(内野手):9人だと肉離れをしても出場を続けた選手がいたり、デッドボールが当たっても交代できなかったり。

 

 

板倉和哉選手(外野手):もう気力でやりきるしかなかった。
“9人だからこその大変さ”を感じながらも、“9人だからこその団結力”が1番の強みになりました。

 

 

山田虎之介主将(投手):気持ちを一つにして全員で戦う。9人だからできないじゃなく、9人だからこそできることを 見つけられた。団結力もより深まって勝つことでどんどん成長することができた。

 

 

全員で書き続けてきた野球ノートには、「最後の夏の大会で、勝利の校歌を歌う」という目標が記されていました。

 

先行き不透明な思わぬ事態。弱気な言葉も

 

しかし、最後の夏を目指すさなか、新型コロナウイルスの影響で学校は長期休校に。3月から9人で会うこともできない日が続きました。久しぶりにグラウンドを見た部員は、野球ノートにこう書きました。「2週間、誰も使ってなかったグラウンドは本当に死んでいた」。

 

 

高橋咲多選手(内野手):9人でやれた時間がどれだけ幸せだったか感じた。

休校になっても自宅練習を続けた選手たちですが、高校総体など、相次ぐスポーツ大会の中止に気持ちは沈んでいきました。

 

 

熊谷州生選手(外野手):ほかの部活の大会もなくなっちゃったので、野球もなくなってしまうんじゃないか。

 

 

服部真也選手(内野手):最後に試合をすることなく終わってしまうのは悲しい。

弱気な言葉を口にすることもありました。

離れていても心は1つ

 

それでも前を向くため、9人は、もう1度つながりました。それぞれが自宅のトレーニングをスマートフォンで撮影し、日々、SNSで共有することに。単調になりがちな自宅での練習の幅を広げるとともに、団結力をさらに強めようと始めました。

 

 
中西新選手(捕手):会えないと9人の結束が欠ける部分もあると思って、個々の思いを共有したくて始めた。

 

 
牧野颯太選手(内野手):1人での練習は心が折れかけたこともあった中で、動画が自分にとって活力というか、自分もやならきゃという気持ちになった。

まわりの後押しも

 

練習や撮影は、昼夜を問わず、親や兄弟が手伝ってくれました。さらに、保護者からはこんな後押しも。SNSで応援ページを作成。

 

 
9人の結束をイメージした9つの色のグッズを作り、応援を呼びかけています。これも自宅時間を前向きに過ごす手助けになりました。手作りTシャツを着た部員は。
 

 

荒川依蕗選手(外野手):これを着ると明るい気持ちになれて。でも汗をかいて洗濯すると色落ちしちゃうので 筋トレした後にプロテインを飲むときに着ています。

最後の舞台は整った!

互いを支えに、できることを続けた日々。愛知県独自の大会の開催が決まり、9人は笑顔で練習を再開しました。開幕は7月4日。9人は完全燃焼の夏を誓っています。

 

 

丸山航矢選手(内野手):この仲間で戦いたいです。新城東という学校が最後なのでこの仲間で、最後まで、戦いたいと思っています。

仲間たちと最高の夏を!

 

私自身も愛知県の県立高校の野球部で、3年間、仲間たちとともに白球を追いかけました。苦しい練習も最後の夏の大会という目標に向け、充実した日々でした。今も仲間と会うと、最後の夏を思い出します。ことしは夏の甲子園という舞台への挑戦はかないませんが、各都道府県独自の大会の開催で多くの球児たちに仲間とともに戦う舞台ができました。

 

異例の夏、1日でも長く、このメンバーで野球がしたいという、、全国の球児の皆さん、「仲間たちと最高の夏を!」。その姿を私も取材していきます。

この記事を書いた人

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神戸 和貴 アナウンサー

NHKアナウンサー。愛知県豊川市出身。平成23年NHKに入局し、現在名古屋放送局に勤務。

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