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特集 競馬 第66回「有馬記念」 史上初のグランプリ4連覇で引退の花道へ 

競馬 2021年12月24日(金) 午後5:20

数々の名馬の引退レースに

競馬界だけにとどまらない師走の風物詩「有馬記念」。グランプリレースとも呼ばれ、ファン投票によって出走馬が優先的に選出されます。年末に開催されることから、これまで多くの名馬が引退レースとして位置付け、勝利で有終の美を飾ってきました。

 

有馬記念 1990年 オグリキャップ(左)2006年 ディープインパクト(右)

 

日本競馬有数の名シーンとして名高い1990年のオグリキャップ。近年最大の競馬ブームを巻き起こした2006年のディープインパクト。

 

また、最近10年でも4頭がラストランを勝利。三冠馬オルフェーヴル、三冠牝馬(メス馬)ジェンティルドンナ、GⅠ7勝キタサンブラック、一昨年のリスグラシューはGⅠ3連勝で最後を締めくくりました。

名牝の引退 グランプリ無敵のクロノジェネシス

ことしもまた、競馬史に残る名牝が最後のレースに挑みます。GⅠ4勝のクロノジェネシス(5歳)です。

 

2021年 宝塚記念 連覇を果たしたクロノジェネシス


2歳の9月にデビューしてから3年あまり。特に4歳以降の活躍は目覚ましく、年に2回実施されるグランプリレース・宝塚記念(6月)と有馬記念(12月)では去年から3連勝中。史上初のグランプリ4連覇をかけて有馬記念にのぞみます。

この馬の強さは、どんな距離でも、牡馬(オス馬)相手でも、コース環境が悪くても、海外遠征でも、条件を問わず常に上位争いを続けてきたことです。そのひたむきな姿は、厩舎スタッフも頭が下がる思いだったと言います。

 

クロノジェネシス(栗東トレセン)

 

この馬を見続けてきて、私が強さの源と感じているのは“成長力”です。

 

3歳の春までの体重は430キロ台と小柄だったのが、3歳秋以降、キャリアを積むごとに体重も増加。それに比例するように成績も安定していきました。5歳になったことしもさらに立派になり、今では480キロ近くに。大きな故障もなく、まさに無事是名馬そのものです。

 

海外遠征にも帯同するなど、クロノジェネシスを見つめ続けてきた調教助手の和田保長さん。

 

和田 保長 調教助手

引退するけど、まだまだ元気。強くなるとは思っていたけど、GⅠで牡馬にも勝てる馬になるとは。想像以上の成長だった。背も伸びて、筋肉もついて、ボリュームも増えたしね。本当にすごい馬になったと思います。

 

来年の春からは、繁殖牝馬としての新たなステージが待ち受けるクロノジェネシス。管理する斉藤崇史調教師も、初めてのGⅠ勝利をもたらしてくれた愛馬を無事に送り出せることを願っています。

 

斉藤 崇史 調教師

2歳の夏からずっと一生懸命走ってくれてね。常に全力を出し切ってくれるので、そこが一番の強みだったと思います。最後の競馬ぐらいは本当に楽しんで走ってくれれば。彼女が満足してくれたらそれで十分かなと思います。

 

史上初のグランプリ4連覇がかかるラストラン。クロノジェネシスが前人未到の高みに挑みます。

世代交代へ 立ちはだかる3歳馬

打倒クロノジェネシスへ!ライバルとして有力視されているのが、3歳のGⅠ優勝馬2頭です。

 

~現役最強への挑戦 エフフォーリア~

 

2021年 日本ダービー エフフォーリアはハナ差で惜敗

 

まずは、ファン投票1位で選出された“エフフォーリア”。ここまで6戦5勝2着1回。唯一敗れた日本ダービーもわずかにハナ差と、成績はほぼパーフェクト。GⅠレースもことし2勝。

 

2021年 秋の天皇賞を制したエフフォーリア、2着コントレイル、3着グランアレグリア(左から)

 

特に、10月の天皇賞(秋)では、去年の三冠馬“コントレイル”と短距離路線の女王“グランアレグリア”を退けました。敗れた2頭も、その後11月にそれぞれの引退レースで優勝。コントレイルはGⅠ5勝、グランアレグリアはGⅠ6勝の偉業を残して、現役生活に別れを告げました。

 

エフフォーリア(天皇賞トレセン)


来年も競走生活が続くエフフォーリアにとっては、有馬記念も勝てば、ことし最も活躍した馬である年度代表馬の最有力候補に。そして、現役最強馬としての歩みが続いていきます。

 

エフフォーリアに騎乗するのは5年目の横山武史騎手(23)です。ことしは自身初のGⅠ勝利を果たし、初の年間100勝も達成。飛躍の1年となりました。

 

横山 武史 騎手(2021年 皐月賞前の共同会見)

横山 武史 騎手

ファン投票1位に選んでいただき、それだけ期待を背負っていると思うので、僕自身はプレッシャーがありますが、それをバネにして頑張りたい。自分自身がどう乗るというよりも、いつも通りですけど、エフフォーリアの力を信じるだけです。

 

 

~積極果敢な先行策を再び タイトルホルダー~

 

2021年 菊花賞を制したタイトルホルダー

 

もう1頭の3歳GⅠホースが“タイトルホルダー”。10月のGⅠ菊花賞では、長所である先行してからの粘り強さを生かし、3000mの長距離で5馬身もの差をつけて逃げ切りました。

 

 

実は、そのレースで勝利に導いたのも横山武史騎手。タイトルホルダーの強さを誰よりも把握していると言っていいでしょう。それだけに、タイトルホルダーに気持ちよく走らせないように、横山騎手がエフフォーリアのレースプランをどのように描くのか。この駆け引きが、レースの大きな焦点となりそうです。

 

タイトルホルダー

 

そして、タイトルホルダーに騎乗するのは、横山武史騎手の兄である横山和生騎手(28)です。今週の会見で、やはり兄弟での騎乗についても質問が飛びました。「兄弟というよりも、純粋にエフフォーリアが強敵で、相手もエフフォーリアだけではないです。そこは兄弟関係なく、勝負は別なので、一番になれるように考えています」と初の有馬記念での騎乗に意欲十分でした。

 

この3歳のGⅠホース2頭に対して、クロノジェネシスがどの位置でマークするのか?仕掛けるタイミングはどこなのか?レース展開を推理する楽しみが、今回の顔ぶれには存分に詰まっています。

希望を託すファン 史上最多の投票総数

ことしの有馬記念には、ファンから史上最多となる300万以上の投票が寄せられました。

 

勝つ馬を推理するだけではなく、この馬に勝ってほしいとの希望を託す。その思いがより強くなるのが有馬記念の特色です。GⅠレース優勝馬6頭を含む16頭が出走予定。ご紹介した3頭以外も、実力馬が勢ぞろいです。

 

ファンの人気通りに決着するのか!それとも、これまでの有馬記念でたびたび繰り返されてきた波乱の結末となるのか!

 

中山競馬場の芝2500mを舞台にした2分30秒ほどのドリームレース。NHKの放送では、パドックからレースに至るまで、出走馬の生の動向を余すところなくお伝えします。

「有馬記念」 総合テレビ 12月26日(日)午後2時55分 
NHKプラスでもライブで配信。放送から1週間は何度でもご覧いただけます。

この記事を書いた人

高木 修平 アナウンサー

高木 修平 アナウンサー

2003年 NHK入局

仙台局-青森局-大津局-広島局-NHKグローバルメディアサービス-東京アナウンス室

 

2年ぶりに有馬記念の実況を担当します。有馬記念の引退レースで思い出すのは、入局1年目の2003年、放送席で見届けたシンボリクリスエスの圧勝劇です。着差はレース史上最大の9馬身。引退があまりにも惜しまれる強さでした。シンボリクリスエスは、エフフォーリアの父の父(祖父)として名を刻み、その強さが今の時代にも受け継がれています。

 

 

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