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特集 カーリング世界最終予選 男子代表コンサドーレ 北京オリンピックへの思い

カーリング 2021年12月11日(土) 午前0:10

オランダ・レーワルデンで行われている『カーリング 北京オリンピック世界最終予選』。日本は残念ながらミックスダブルスでは北京オリンピックの出場枠をつかむことは出来ませんでした。

 

男子・女子も現時点では出場枠を得ておらず、この世界最終予選の狭き門を勝ち抜かなければオリンピックへの道は開けません。独特の緊張感があるというこの大会、それぞれの種目に出場する日本代表を紹介します。今回は、男子日本代表です。

「北海道とともに、世界へ」初の五輪目指すコンサドーレ

(左から)阿部晋也、谷田康真、清水徹郎、相田晃輔、松村雄太の各選手

 

今回の世界最終予選に出場する男子日本代表は『コンサドーレ』。ピョンチャンオリンピック後の日本男子カーリング界をリードしてきたチームです。もともと北見市を活動拠点としていた強豪チーム「4REAL」の活動を引き継ぎ、プロサッカーJリーグの「北海道コンサドーレ札幌」のカーリングチームとして、2018年夏に発足しました。

 

4REAL時代からのメンバーである阿部晋也(リード)、松村雄太(スキップ)、谷田康真(セカンド)、相田晃輔(リザーブ)に、ピョンチャンオリンピック代表で松村選手とはジュニア時代チームメートだった清水徹郎(サード)が加わり、ここ3年連続で日本選手権を優勝。

 

2019年 世界選手権 準決勝のスウェーデン戦

 

世界の舞台でも、2018年にパシフィックアジア選手権を制すと、世界選手権初出場となった2019年には、いきなりメダルまであと一歩と迫る4位に入り、世界を驚かせました。

 

サッカーをはじめとしたコンサドーレのスローガンは「北海道とともに、世界へ」。チーム発足時の目標である北京オリンピック出場を目指し、再び世界への挑戦です。

世界との差は「リスクを見極め『踏み込める』か否か」

北京オリンピックの出場枠は開催国の中国を含めて10チーム。コロナ禍で去年の大会が中止となったため、ことしの世界選手権の上位6チームがまず出場枠を得ます。

 

2021年4月の世界選手権では9位

 

コンサドーレにとっては2年ぶりの世界選手権。初戦を勝ったものの、なかなかアイスの特徴をつかめないことも相まって黒星が先行し、終盤は4連勝と巻き返したものの9位。世界選手権でオリンピック出場枠を得ることはできませんでした。

 

 

スキップ・松村選手はコロナ禍で海外遠征ができず、久しぶりとなった世界との戦いで課題は明白だったと振り返ります。「スチール(※先攻のチームが得点すること)されるエンドが多く、相手が後攻の時に複数点を簡単に取られてしまうエンドも多かった。この部分の改善が必要だということをオフシーズンは話し合ってきた」


カーリングでは、エンドの最後にストーンを投じる後攻が基本的に有利で、後攻の時は複数点を狙いに行きます。反対に先攻の時には、いかに相手に1点だけを取らせるかを考えます。さらにスチールをすることができれば、得点するだけでなく相手に精神的なダメージを与えることができます。

 

2021年 世界選手権 作戦の話し合い


世界選手権13試合で、コンサドーレはスチールを許したエンドが6番目に多く、先攻時に相手の得点を1点に抑えたエンドの割合は38%と、下から3番目の確率でした。数字の上でも主導権をなかなか握れなかったことが分かります。

 

 

世界選手権で得た課題に向き合い、秋からの海外遠征で結果は出てきています。コンサドーレは10月上旬からカナダ遠征をスタートさせ、5大会に出場。世界上位のチームのみが出場できるグランドスラム大会・マスターズではベスト8に入りました。

 

コンサドーレにとってはグランドスラムで初めてのプレーオフ進出でした。この大会では、強豪居並ぶ中で相手の後攻時に失点を1にとどめることは少なかったものの、6試合を戦ってスチールを許したエンドは0!

 

 

「先攻でもう少しリスクを背負ってでもハウスの真ん中で戦う方法を取ることと、スチールを少なくしながら後攻で2点を取りに行くか、このやり方は間違ってないのかなっていう自信はつけることができた」と松村選手は手ごたえを感じています。

 

日本が先攻の時、どうやって相手に1点を取らせようとしているか、真ん中で戦う方法は下手をすると大量失点につながるだけに、どこまでリスクを考えて組み立てているのか、放送では大きな注目ポイントになりそうです。

カーリング男子日本代表 オリンピック連続出場への思い

日本男子は、前回のピョンチャン大会が1998年の長野大会以来20年ぶりのオリンピック出場でした。

 

 

ピョンチャンではSC軽井沢クラブが8位。あと一歩で決勝トーナメントというところまで迫りました。今回、コンサドーレは日本男子として『初めての』連続出場をかけて世界最終予選に挑みます。

 

これまではオリンピック連続出場を続ける女子にスポットライトが当たることも多かったカーリング。「カーリングには男子もある。いつか自分たちもオリンピックの舞台へ」と、男子チームは皆、雌伏の時を過ごしてきました。その灯をまた1大会で絶やすわけにはいかないのです。

 

 

「ずっと男子が出られない中で前回やっと20年ぶりに出場できて、今回こうやって2大会連続っていう初めてのチャンスをもらえることができたので、本当に日本の男子のこれからのためにも、自分のためにも、オリンピックにはとにかく出たい」(清水選手)

 


「自分が出るということよりも、日本の男子カーリングが一歩先に進むためには、オリンピックに出続けなければならない」(松村選手)

 

日本選手権でコンサドーレをあと一歩まで追い詰めた常呂ジュニア、TM KaruizawaやSC軽井沢クラブをはじめとしたライバルチーム、コロナ禍でその舞台にも立てなかった選手たち…

 

私には、コンサドーレのメンバーの後ろにたくさんの男子カーリング選手の姿が浮かびます。阿部選手の丁寧な組み立て、谷田選手の全体重を乗せた渾身のスイープ、清水選手の局面を変えるテイクアウトショット、そしてたどり着いた松村選手が投じるラストロックには、日本男子カーリング界の全てが詰まっているのです。

日本は出場チーム中ランク最上位 男子出場枠の行方

男子は、出場9チームで残る3つのオリンピック出場枠を争います。まず、総当たりの予選リーグを行います。

 

2021年 世界選手権 オランダ戦

 

日本は対戦順に、ドイツ、オランダ、ノルウェー、韓国、チェコ、デンマーク、イタリア、フィンランド。予選リーグ1位チームに、まずオリンピック出場枠が与えられます。予選2位と3位が対戦する「決定戦」、そこで敗れたチームは予選4位ともう一回「決定戦」を実施。「決定戦」の勝者2チーム、予選リーグ1位のチーム計3チームにオリンピック出場枠が付与されます。

 

2021年 世界選手権 デンマーク戦

 

日本は世界ランク6位で最上位。ドイツ、オランダ、ノルウェー、デンマーク、イタリアは4月の世界選手権と同じチームが出場していて、世界ランク7位のノルウェーには敗れましたが、その他の4チームには勝っています。

 

男子のカーリングの魅力は何といっても展開の「派手さ」。男子は女子よりもパワーのあるストーンが投げられるため、一投で局面がガラッと変わります。ストーンがたまって複雑な配置になっても、「カンカンカーン!!」とストーンがぶつかって、「え~~っ!そんな所狙っていたの!??」ということも。

 

パワフルさと繊細さが同居するハイレベルな戦いをぜひお楽しみください!

この記事を書いた人

田中 秀樹 アナウンサー

田中 秀樹 アナウンサー

2003年NHK入局 山形-福井-札幌-名古屋-東京で勤務
カーリングは2013年から携わり、以降ほぼ毎年世界選手権、日本選手権で実況を担当。期間中はストーンの音と選手の掛け声がよっぽど耳に残るのか、夢にもカーリングが出てきます。

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