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特集 髙橋選手と小松原選手の知られざる絆

フィギュアスケート 2021年11月11日(木) 午後7:03

11月12日に開幕するフィギュアスケートNHK杯に出場する髙橋大輔選手(35)と小松原美里選手(29)。来年の北京オリンピックアイスダンスの代表を争う2人はともに岡山出身、同じスケートリンクで育った先輩、後輩なんです。

 

ゆかりの場所には、深い縁で結ばれた2人の歩みがありました。

 

 

倉敷市のスケートリンクです。髙橋選手と小松原選手がそれぞれ幼いころ練習していた場所です。今も多くの子どもたちが2人の背中を追ってスケートに励んでいます。

 


「髙橋大輔選手や小松原美里選手みたいにうまくなって、オリンピックを目指したい」

 


「本当にすごいことで、僕もそうなれたらと思います」

 


2人が所属していたスケートクラブの監督は、佐々木美行さんです。

 

佐々木 美行 さん

体が硬い大輔君はここの台の上に足が上がるとひっくり返りそうになる。それをみんなが笑ったり。美里ちゃんとはよくリンクの中で鬼ごっこをしてましたね。

 

 

髙橋選手は小学2年生の時にリンクを訪れました。親はアイスホッケーをさせるつもりでしたが、本人が嫌がり、代わりに始めたのがフィギュアスケートでした。

 

佐々木 美行 さん

毎日通ってくる子でしたね。来たら中で遊ぶ、お客さんを抜かすようなことをしながら、1人鬼ごっこみたいな感じで遊んでいたりとか。

 

当時、リンクではジャンプの練習は禁止されていましたが、髙橋選手は営業が終わる間際の数分だけ、せがんでさせてもらっていたと言います。

 

佐々木 美行 さん

蛍の光が流れたら、リンクのフェンスに張り付いて『もういい?もういい?』って言って。オッケーとか合図を出しては、ヨッシャーとか言って。たった15分の練習を必死でやっていましたね。

 

さらに、坂道でのダッシュや…。

 

 

 

駐車場の空いた場所で足腰を鍛えました。中学までこうした場所で練習し、その後も成長を重ねた髙橋選手。2006年。トリノオリンピックに出場し、日本を代表する選手となりました。

 


そんな姿に憧れ、9歳の時にこのリンクでスケートを始めたのが小松原選手でした。とにかく練習熱心だったと佐々木さんは言います。

 

佐々木 美行 さん

とにかく止まらないですから、よく練習していたので、どこにいましたかと言ったら、氷の上です。

 

ところが、2008年。施設は経営不振によって閉鎖が決まります。

 


そこに駆けつけたのが髙橋選手でした。「後輩たちのために」と運営資金を募るチャリティーイベントに出演しました。

 

髙橋 大輔 選手

皆さんの力が存続につながる。これからも皆さんの力を貸して下さい。

 

当時、中学生だった小松原選手もその場に立ち会っていました。

 

小松原 美里 選手

大ちゃんがチャリティーで滑りに帰ってきた時がすごくうれしくて刺激になった。


地元の後押しもあり、存続が決まったリンク。そこで小松原選手は滑りを磨きました。その後、アイスダンスを本格的に始め、拠点を海外に。カップルを組み、夫でもあるティムコレト選手と出会い、全日本選手権で3連覇するまでになりました。

そして、アイスダンスに転向した先輩、髙橋選手と北京オリンピックのたった1つの代表枠をかけて相まみえることになったのです。

 

小松原 美里 選手

自分がベストをもって臨むことが一番のリスペクトだなとずっと思っています。


髙橋 大輔 選手

すごくわくわくしているので、数少ない試合ひとつひとつを大事にしていきたい。

 

2人を見守ってきた佐々木さんは。

 

佐々木 美行 さん

美里ちゃんには全日本チャンピオンのプライドがあるだろうけれどもまずは自分たちの世界観を前面にアピールして、全力投球で頑張って欲しい。大輔くんにはさらに豊かな経験もある、オリンピックも既に経験しているわけですから本当に良い刺激を相互にし合ってもらえる。そんな大接戦を繰り広げてほしいと思います。そして、決まった方が頑張れと言うことだと思います。

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