ストーリー相撲

「けがに気を付けて頑張って」 横綱 照ノ富士を支える 呼出し照矢の思い

2021-11-10 午前 11:00

秋場所の表彰式、新横綱で優勝した照ノ富士のそばにサポートする呼出し照矢の姿がありました。照ノ富士が入門した間垣部屋から、部屋の閉鎖で移った現在の伊勢ケ濱部屋まで、ずっと行動をともにし、けがと病気で序二段まで番付を下げながら復活した照ノ富士を支えてきました。

 

吉田賢アナウンサー

 

NHK大相撲中継でおなじみの吉田賢アナウンサーがインタビューしました。

口うるさく注意をした新弟子時代 あとで照ノ富士から感謝の言葉

呼出しの照矢

 

Q 横綱が間垣部屋に入門してきたとき、照矢さんはすでに呼出しで、10年以上先輩として部屋にいたわけですね。

 

前の間垣部屋時代は、私と駿馬(照ノ富士の兄弟子で付け人を務めた)が口うるさく日常的なことを言っていました。番付が上がってから苦労しても困るだろうという思いがあったので、一とおりのことは教えようと思っていたんです。本当に口うるさく言っていたので、前の部屋のときは、仲がよくなかったです。

 

付け人だった元駿馬の中板秀二さん(中)の結婚式で(令和元年12月22日)

 

Q 間垣部屋で一緒に過ごしたのは2年間ぐらいで、部屋が閉鎖になって伊勢ケ濱部屋に移ってきましたね。

 

移ってきた直後は、照ノ富士関と駿馬、私の3人で常に一緒にいました。まだ仲よくなってはいなかったんですけれど、3人で肩寄せ合って過ごしていました。そして照ノ富士関は十両に上がったんですが、上がってすぐくらいのときに、2人だけの車の中で言われたんですよ。私は大督(だいすけ)さんと呼ばれているんですけれど「私は大督さんのことが本当に嫌いでした。でも私のためを思ってこれまで言ってくれていたということが分かりました。ありがとうございました」と。そこからですね、関係が変わったのは。


Q そのあと大関まで上がった照ノ富士関ですが、けがと病気で番付がどんどん落ちていきました。どうでしたか。


私は稽古場で会うときにちょっと話すぐらいだったんですけれども、会うと「辞めます。辞めます」ばかりだったんです。とは言え私が「自分で決めたんだから辞めた方がいいんじゃないか」と言うわけにもいかないし、言えない。「頑張れ」とも言えないので、話題をそらしていましたね。プロでやっているお相撲さんなので、辞めるのも続けるのも自分で決めることだと思いましたので。呼出しが横から「ああだこうだ」なんて言う立場じゃないのは分かっているので「辞めたい」という話を受け止めるだけでした。

 

序二段優勝決定戦に臨む照ノ富士(平成31年春場所)

 

Q それがもう一回序二段から土俵に上がるわけですけれども、あのときはどう見ていました?

 

本人がやると決めたんで、応援するという気持ちですよね。駿馬も引退してすでにいなかったので、できることはしたいなと。

目標を立てて有言実行は「すごい」

奉納土俵入りを披露する横綱照ノ富士(8月24日 明治神宮)

 

Q そしてついに横綱まで上がりましたね。

 

目標を立てていつまでに達成すると決める。ここまでに十両に戻る、ここまでに幕内に戻るという形で、序二段から復活してきた。それを有言実行でやってきたので、やっぱりすごいなと思います。すごいなっていうとほんとに簡単な表現になってしまって、言葉足らずなんですけれども、すごいなと思います。

一緒に支度部屋まで歩くのが場所での毎日の決まり

Q 照矢さんは照ノ富士関と一緒に場所入りしているそうですね。

 

いえ、場所には私が先に行っているんです。今はコロナ対策で、関取は国技館の地下駐車場から入ってくるんですが、去年の7月場所ですね、初日に通路のところに座っていたら、照ノ富士関が駐車場から歩いてきたのに会ったので、話をしながら支度部屋まで行ったんです。そして翌日かその次の日に、用事があって通路にいなかったら、関取が「あら照矢さんは」と言ったらしくて。験担ぎじゃないけれど、気にしていたらまずいだろうなと思って、仕事に差し支えのないかぎり地下駐車場まで迎えに行って、しゃべりながら支度部屋まで行くというのがお互いのルーティーンになったんです。

 

Q そして支度部屋に入る横綱に声をかけると聞きましたが。

 

「きょうもけがに気をつけて頑張ってください」と言います。やはり。けががいちばん怖いので。頑張っている人に頑張ってと言うのは、本当は嫌なんですけれども、ほかの言葉がないので。

 

 

Q 照ノ富士関には、どんな横綱になってほしいですか。

 

私が支度部屋の前でかけている言葉と一緒です。「けがに気をつけて頑張って」です。どういう横綱にというのは、これからどうなっていくか分からないので、とにかく、けがだけは、くれぐれもひどくならないようにと願っています。

 

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media 大相撲中継」から

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