ストーリー相撲

照ノ富士と宇良 大けがから復活した2人 魅力いっぱいの好勝負 大相撲秋場所

2021-09-21 午後 11:20

秋場所十日目、結びの一番。勝敗が決まったあと、国技館は今場所一番と言っても過言ではないほど万雷の拍手に包まれた。ともにひざの大けがをし、どん底から復活した新横綱・照ノ富士と前頭6枚目の宇良。2人が繰り広げたのはおよそ1分30秒の長い取組、体重無差別で技を出し合う大相撲のおもしろさが詰まっていた。

 

 

恵まれた体格を生かした力強い四つ相撲と小柄ながら多彩な取り口、照ノ富士と宇良は全く異なる相撲で土俵を盛り上げている。ただこの2人、ともにひざの大けがを経験し、どん底からはい上がってきたという共通点がある。

 

照ノ富士は大関に昇進したものの、ひざのけがや糖尿病で大関から陥落。稽古ができない状態となり、平成31年春場所には、序二段48枚目まで番付を落としたが、そこから劇的な復活を果たし、ついに横綱の地位を手にした。

 

宇良は身長1メートル76センチ、小柄ながら多彩な技が持ち味で“業師”として知られる。平成29年初場所では十両以上では初めてとなる決まり手「たすき反り」を決めるなど、人気を集めた。その宇良も右ひざのじん帯を断裂するなど大けがを繰り返して2回の手術。令和元年の九州場所では序二段106枚目まで番付を下げてどん底を味わった。そこからおよそ2年で先場所、幕内復帰を果たし、今場所は前頭6枚目まで番付を戻してきたのだ。

十日目 結びの一番

十日目の結びは、そんな2人が対戦する注目度の高い一番だった。立ち合い、レスリング経験者の宇良が距離を取っていく形も予想されたが「初めての結びで情けない相撲は取れない」と思い切りぶつかった。

 

 

受け止めた照ノ富士、宇良の差し手をがっちりときめた。腕はくの字のように曲がったが宇良は抜くことが出来ない。だが照ノ富士がまわしを狙うも、宇良が頭をつけて腰を引き、なかなか届かない。

 

しばらく土俵中央で動かなくなった2人。今度は宇良が果敢に攻めに出て足を取りに行く。これを照ノ富士は難なくしのぐ。

 

 

2人が距離を取って見合ったが、最後は横綱が長い腕を生かして左上手をつかみ豪快な上手投げ。

 

 

“勝負あり”と見えたが、宇良の体は、なぜか土俵に落ちていなかった。館内がざわめく。

 

 

体の柔らかさを生かして背中を反らし、まるでレスリングのブリッジのような体勢で横綱のまわしに食らいついていた。しかし、宇良が背中から落ちて勝負は決まった。

 

取組後の2人のことばが強く印象に残った。

 

 

照ノ富士

同じけがをして序二段まで落ちて、一生懸命、筋力トレーニングをやっているというのは聞いていた。たまに会ったときには筋トレの話をしていたので、結びで2人で取れたというのはよかった。

 

多くを語らない新横綱が相手についてここまで言葉を発するのは非常に珍しい。

 

 

宇良

格が違うので、励まし合ったというわけではないが、結びで相撲を取れたのはうれしかった。ものすごいパワーだった。力を出しきったが、感覚的には、全部横綱が技を受けきってくれたという印象。どの技も通用しなかったので、やっぱり強いなと。

 

 

横綱と平幕、番付では格が違いすぎるが、互いを尊重し合った2人が土俵で戦ったからこその言葉だったに違いない。

 

 

どん底から復活し、手に汗握る攻防を見せた照ノ富士と宇良。地位は違えど、これからも拍手喝采が送られる名勝負とも言える相撲を見せて欲しい。           

 

 

この記事を書いた人

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坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部で大相撲を担当。早くコロナが収束し、通常の取材環境になることを願っています。

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