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特集 “千代丸たん”に異変!?大相撲秋場所

相撲 2021年9月16日(木) 午前0:15

愛くるしい笑顔に、ぽっこりとおなかが出て丸みを帯びた体から、ファンは“千代丸たん”と親しみを込めて呼んでいる。得意は突き押しで、大きなおなかを相手にあてがって勝負を決めるのが持ち味。前頭16枚目の今場所は、4日目を終えて3勝1敗と好調だ。

 

 

その千代丸、今場所はある異変が起きている。ぽっこりとしたおなかが、これまでより少し引っ込んだ様子。秋場所前の身体測定での体重は176キロ。1年前の秋場所と比べても13キロ減。最も重かった去年初場所の194キロから比べれば18キロも減量したことになる。3日目の大相撲中継の解説を務めた北の富士勝昭さんは、にわかに信じられない様子。

 

 

花道のアナウンサーに対しては千代丸がみずからまわしの結び目を見せて「やせたでしょ!」と説明した。確かに、結び目から余ったまわしの部分がこれまでより長く見える。

 

これは減量の効果なのか。今場所の千代丸は、とにかく身のこなしの素早さが目を引く。

 

 

2日目の天空海との対戦はのど輪で相手を起こしてからタイミングの良いはたき込み。

 

 

3日目の一山本には、いなしで崩しながら体を素早く開いてのすくい投げ。これまでの大きなおなかを相手にあてがっての押しに加え、素早い体の反応で勝負を決める新たな引き出しを増やしたようだ。

 

しかし、当の本人は、減量の効果についての質問には「体が軽くて、相撲が取れないとかは今のところない」と答えるのみで会話は弾まない。

 

体重が増えれば、力強さや圧力が増す一方で、動きが鈍くなることもある。逆に体重が減りすぎると・・・。力士たちは皆「より力が出て動ける」という自分にとっての適正な体重は何キロかを試行錯誤している。千代丸も、今の段階ではこれがベストとは言い切れないということなのだろう。

 

 

実際、3連勝した翌日。注目した4日目の取組では体重134キロと、千代丸より40キロも軽い琴恵光の突きに下がる一方。まさかの軽さを感じさせる内容で土俵を割ってしまった。

 

 

取組後にはいつもの笑顔は消え、しょんぼりとした表情を見せながら「初日から動けて取れていたので、引きずらずにあしたも頑張りたい」と話した。

 

 

果たして減量は吉と出るか、それとも凶と出るか。千秋楽を取り切るまではわからないが、30歳にして適正な体重を模索し新たな持ち味を求め続ける千代丸の土俵に注目したい。

 

この記事を書いた人

鎌田 崇央 記者

鎌田 崇央 記者

平成14年NHK入局

さいたま局を経て、スポーツ部に。プロ野球、水泳などを担当し、格闘技担当は通算5年目

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