ストーリーカーリング

ロコ・ソラーレVS北海道銀行の一騎討ち!カーリング女子日本代表決定戦の見どころ

2021-09-09 午後 08:45

9月10日から北海道稚内市にて行われる、カーリング北京オリンピック女子日本代表決定戦。翌年に迫った2022年北京オリンピックを目指す日本代表チームを決める大事な戦いです。試合は、ピョンチャンオリンピックで銅メダルを獲得し、2020年日本選手権優勝のロコ・ソラーレと2021年日本選手権優勝の北海道銀行の一騎討ち。3日間で最大5試合を行い、先に3勝したほうが日本代表チームとなります。まさに、両者ともに絶対に負けられない運命の戦い。見どころや鍵を握る選手について、TM軽井沢のスキップであり、中部電力カーリング部のコーチも務める両角友佑さんに解説してもらいました。

自分流を通すか、相手の裏をかくか!?“一騎討ち”だからこそ問われる駆け引き

2021年の日本選手権は北海道銀行が制し、世界選手権に挑んだ

 

ーー3日間、2チームのみで対決する今回の日本代表決定戦。多数のチームが出場する通常の大会とは異なる形ですが、見どころや注目ポイントについて教えてください。

 

選手目線で見ると、プレーはかなりしやすい環境になると思います。試合数が少ないのでアイスやストーンのコンディションが落ちて曲がらなくなってきてしまうといった、環境変化が減るためです。

ただ、同じチームと戦い続けるので、戦略面では少し苦労するかもしれません。ロコ・ソラーレは「攻守バランス型」、北海道銀行は「守備に重きを置くタイプ」という印象があるのですが、両者ともに同じスタイルで試合を続けるのか、途中で相手の裏をかくのかなど、おそらく駆け引きがあると思うので、どんな戦略で来るのかは注目ですね。とくに、ロコ・ソラーレと北海道銀行はこれまでに何度も対戦してきていて、お互いのチームの出方をよく知っているはず。両チームともに作戦をしっかりと話し合って試合をするタイプなので、少なくとも初戦は自分たちの「王道スタイル」で試合を進めるんじゃないかと予想しています。

ロコ・ソラーレと北海道銀行、両チームの強みと課題

ロコ・ソラーレ(左からリザーブ・石崎、リード・吉田夕梨花、セカンド・鈴木、サード・吉田知那美、フォース・藤澤)

 

ーーあらためてロコ・ソラーレと北海道銀行、それぞれのチームの特徴や強みについて教えてください。

 

まずはロコ・ソラーレですが、チームの一番の強みは「フロントエンド(リードの吉田夕梨花選手とセカンドの鈴木夕湖選手)の安定感」だと思います。乱れが少ないのでどのエンドも良い形で展開していけるという特徴があります。もうひとつ、コミュニケーション力の高さもこのチームの強みですね。アイスやストーンの情報については、おそらく日本の中で最も話し合うチームじゃないでしょうか。彼女たちの試合を見ていると、公式練習という大会前の練習の時間でしっかりとストーンのクセをつかむのはもちろん、アイスの状態やどのくらいの速さのストーンを投げるとどれくらい曲がるかというようなことを、チームで事前に共有していることがよく分かります。さらに、試合中のアイスやストーンの変化についても情報共有が早いので、難しいショットもしっかりと決めることができるチームです。

アイスやストーンは会場ごとに少しずつ異なるのですが、大会を通しては基本的に変わらないので、クセや特徴をいち早く知って投げ分けるのは勝つために非常に重要です。とくに今回のように短期決戦だと試合を有利に進めるポイントのひとつになると思います。

 

ーーコミュニケーションの量という点については、他のチームも同じように出来るのでは、と思ってしまうのですが?

 

ところがそう簡単にはいかないんですよね。試合ではそれぞれ持ち時間が決められていて、コミュニケーションに割ける時間は結構短いんです。チームメンバーが同じくらいの知識を持っていて、普段の練習から情報を共有することに慣れていないと出来ません。

 

ーーなるほど、時間をかけて作られたものなのですね。では、北海道銀行の特徴や強みを教えてください。

 

北海道銀行は「フィジカルの強さ」が大きな特徴だと思います。僕が彼女たちを初めて見たのはまだ小笠原歩選手(2018年退団)がいた時なのですが、その時と今を比べると心身ともに強くなっている印象がありますね。身体面ではみんな体が大きくなっていて、スイープは力強くデリバリーも安定しています。オンアイスの練習と合わせて、フィジカルトレーニングにとても力を入れているようです。

 

北海道銀行(左からリザーブ・田畑、リード・船山、セカンド・近江谷、サード・小野寺、フォース・吉村)

 

精神面では昨年からメンタルコーチも付いて、より精神力の強いチームを目指しています。これまであと一歩で優勝を逃していた北海道銀行ですが、そのおかげもあってか、2021年2月に行われた日本選手権ではロコ・ソラーレに勝利し、6年ぶりの優勝を果たしました。これまでの北海道銀行は、攻めと守りなら「守り」のスタイルで試合を進めるチームだったのですが、昨年の日本選手権あたりから積極的というか、アグレッシブな選択が増えたように感じます。

 

ーー両角さんから見て、両チームが勝利をあげるために課題となるのはどんな所だと思われますか?

 

両チームともにずっと抱えている課題があるというよりは、どれだけミスのない試合を出来るかというのが勝敗を分けるのではないでしょうか。少しのミスがその後に響いてなかなか勝ちきれない……というような、わずかな「ズレ」が勝敗に影響します。ただし、今回は最大でも5連戦なので、1試合のピークよりも安定した総合力が高いほうが勝利しやすいと思います。

勝敗の鍵を握る!?サード対決!

 

ーー勝負のカギを握る“キープレーヤー”となりそうなのは、それぞれどの選手でしょうか?

 

今回の試合の鍵を握るのはどちらもサードポジションだと思っています。僕の中では「サード対決」という見方をしていますね。ロコ・ソラーレだと吉田知那美選手、北海道銀行だと小野寺佳歩選手です。

両チームともにフロント(リードとセカンド)は安定感が高い。そこが拮抗した場合に、試合を動かすタイミングというのがおそらくサードのところで来ると思うんです。カーリングは後攻が有利な競技なので、先攻のチームは展開を覆すような一投、後攻のチームはそのままの流れを変えないような一投がサードあたりで必要になってくるはずです。

この大会は「勝負の一投」というか、勝負を分けるような一投をどちらが多く決められるかがポイントになるのではと思っています。どちらも実力が高いチームなので、言い方は悪いですが「どちらが先にミスをしてしまうか」といった展開になってくるのではないでしょうか。

 

ーーサードの吉田知那美選手と小野寺選手の特徴や強みについても教えてください。

 

吉田選手はプレーに多少波があるものの、良い時はめちゃくちゃ良くなるんです。テイクが速かったりバシバシ決まったりして、相手チームは全くチャンスを作れなくなる。その良い波をこの3日間に持ってくることができたときには、北海道銀行はかなり苦戦すると思います。小野寺選手のほうは、それこそフィジカルが強いタイプの選手。以前はセカンドだったのですが、サードになってからはドロー(ハウスの中にストーンを置きにいくショット)を投げる機会が増えて、2月の日本選手権ではドローでチャンスを作っていっている場面を何度も見ました。なので、北海道銀行が小野寺選手のドローを上手く使うような作戦を立て、小野寺選手がそれに応えるようなプレーを素早く出来るようになると、ロコ・ソラーレにとっては嫌な展開になるのではと思います。

ロコ・ソラーレと北海道銀行、代表争いのゆくえは?

2018年ピョンチャンオリンピックでは日本が初の銅メダルを獲得。再び世界の舞台で活躍できるか

 

ーー現時点(2021年9月)では、まだ日本は北京オリンピックの出場枠を獲得出来ていません。ですが、オリンピック出場に向けた日本代表の座をかけた戦いということもあり、注目が集まることは間違いありません。今回の5連戦はどのような展開になると予想していますか?

 

鍵となる試合は、初戦だと思います。どちらのチームも実力があり、ここまでの成績も拮抗しているぶん、初戦が重要な意味を持ってくると思いますね。勝ち負けという結果よりも、試合の内容が大事です。例えば、同じ負けでも良いところが見えた負け方なのか、自分たちらしさを出せずに負けたのかというように、同じ勝敗でも色々なパターンがあるのでチーム全員が納得できる内容で初戦を終えられるかどうかが2戦目以降に影響してくるはずです。

どちらかのチームが自分たちらしさを出せなかった時には、相手チームが3連勝で終わるという可能性も十分にあるのではないかなと思います。

 

ーーズバリ、勝負のゆくえはどうなると予想していますか?

 

今の状況で純粋に総合力が高いのはロコ・ソラーレだと感じます。投げの実力、情報共有やそれに対する対応力など色々な精度が他のチームより全員少しずつ高いと思います。その少しの差が1点2点に繋がり、最終的にチームを勝利に導いていると感じます。

試合を観ていると、何よりもアイスの読みが早いですし、LSD( 1エンド目の先攻・後攻を決めるドローショット)が正確で、先月行われた「どうぎんクラシック」では女子8チーム中1位でした。カーリングは後攻を得たほうが有利なスポーツなので、毎試合行うLSDが上手いことはアドバンテージに繋がります。

安定して総合力の高いロコ・ソラーレに、成長著しい北海道銀行がどう立ち向かうか、本当にどちらが勝ってもおかしくないと思うので、僕も試合が今からとても楽しみです!

 

両角友佑(もろずみ・ゆうすけ)

TM軽井沢のスキップを務める。日本選手権でこれまでに8回の優勝を経験。2018年のピョンチャンオリンピックには日本代表として出場し8位の結果を残している。現在は、女子・中部電力のコーチも務めている。

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