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パラ陸上男子400m “義足最速ランナー”に立ち向かう若きアスリートたち

2021-09-03 午後 06:40

東京パラリンピック、瞬発力と持久力の両方が求められる陸上400m。両足義足の選手が競うT62は、義足の反発を生かした加速が魅力で、テクノロジーの進歩もあって記録が更新され続けています。

金メダル最有力とされるのが、ドイツのヨハネス・フロアス選手。SNSで「イケメンだらけ」と話題のパラ陸上でも、「生き方も含めてかっこいい」と特に人気です。そこに立ち向かうのが、ここ数年急成長中の若手選手たちです。

ヨハネス・フロアス 義足の“人類最速ランナー” 

 

 

400mの自己ベストは45秒78。フロアス選手(26)は、2019年にドバイで開かれた世界選手権で、100m、400mともに世界新記録で優勝し、「義足の最速ランナー」と呼ばれています。

 

 

先天性の足の障がいで、幼少期から痛みに苦しんできたフロアス選手。16才のとき、痛みをなくすため、自ら決断し、両足切断の手術を受けました。

ヨハネス・フロアス選手

「私には足がありましたが、未発達でした。歩くときの痛みが強く、いつも一番背の小さい子どもでした。16歳のとき、一生車いすの生活を送るか、足を切断するかの決断を迫られ、自分で切断を決めました。

以前は、走ることも、ハイキングに行くことも、友達とサッカーすることもできませんでしたが、今はすべてできます。切断は人生で最良の決断でした。足を失うという障がいを負ったからこそ、普通の人生を送ることが可能になったのです

 

 

フロアス選手は今大会、男子100mで銅メダルを獲得しています。このとき、同着の選手と「二人とも銅」とわかった瞬間、抱き合ってたたえ合う姿が、SNSで「グッときた」と話題になりました。

 

 

メダルの本命として狙っているのが、400m。2019年の世界選手権でのタイムは45秒78。一般の陸上でもトップアスリートと肩を並べる記録です(東京2020オリンピックでの男子400mの金メダリストは43秒85)。短距離走の中で最も過酷と言われる400mを勝ち抜くため、フロアス選手は持久力の強化に努めてきたといいます。

ヨハネス・フロアス選手

「冬の期間中は持久力をつけるために5km、10kmと走り込みをしました。弱点である後半100mでの持久力を改善するためです。400mでもっと速く走りたい。東京大会では、障がいがあっても何でもできることを証明したいです

ハンター・ウッドホール 起業家でインフルエンサー

 

そんなフロアス選手に立ち向かうのが、ここ数年頭角を現している若手のホープたちです。

 

 

22歳のアメリカ代表、ハンター・ウッドホール選手。自己ベストは46秒24。

 

生まれつき両足に障がいがあり、生後11か月から義足で生活しています。

「医師から君は一生歩けないと言われたから、代わりに走ることにした」というウッドホール選手。幼い頃から、さまざまなスポーツに挑戦してきました。アメリカで初めて健常者と同じ奨学金をもらって陸上の強豪校アーカンソー大学に進学。健常者に混じってレースに出場し、力を磨いてきました。

 

2016年のリオパラリンピックでは、200mで銀メダル、400mで銅メダルを獲得。2015年、2017年のパラ陸上世界選手権にも出場し、銀メダル3つ、銅メダル1つを獲得しています。

 

ウッドホール選手とデイビス選手

 

そんなウッドホール選手のパートナーは、東京五輪の幅跳びで6位になったタラ・デイビス選手。陸上のトラックで出会ったふたりは「パワーカップル」と呼ばれています。

アメリカメディアによると、競技のかたわら起業にも成功。去年、洋服の通販会社を立ち上げたところ、9か月で400万ドルの収入を得たと言います。SNSのフォロワー数は30万近いインフルエンサーです!

ハンター・ウッドホール選手

「目標はもちろん金メダル。僕のような(健常者に交じって活躍する)選手が増えるように、僕がしっかりがんばらなければならない」

ニック・ロジャース スポーツ義足で人生が変わった!

ロジャース選手(中央)

                                  

同じくアメリカの25歳、ニック・ロジャース選手。「クイック・ニック」がニックネームの“めがね男子”です。自己ベストは47秒50。

 

ロジャース選手は、生まれつきの障がいのため、1歳のときに両足を切断しました。

メイン州の小さな町で育ち、子どもの頃はいじめに悩まされていました。9歳から障害児向けのサマーキャンプに参加したところ、走る姿が障がい者を支援する財団の目にとまり、スポーツ用義足(ブレード)をプレゼントされました。これまで貧しくて買えなかったスポーツ用義足で走るようになってから、一気に力をつけます。

ニック・ロジャース選手

「絶対に手に入れられないと思っていたものをもらったのです。初めてスポーツ用義足で走ったとき、健常者と同じレベルになれたように感じました。人生で最も喜びを感じた瞬間です」

 

 

 

その後、2016年リオパラリンピックでは400mで5位。フロアス選手が金メダルを獲得した2019年の世界選手権400mでは、銅メダルでした。

オランダの新星 オリビエ・ヘンドリクス

 

フロアス選手の有力ライバルの中で最も若いのが18歳のオランダの新星、オリビエ・ヘンドリクス選手。自己ベストは49秒18です。

 

生まれつき足に奇形があったため、両足とも切断しています。

幼いころは健常者とともにフットボールをしていましたが、オランダのパラリンピックの育成チームにスカウトされ、12歳からパラ陸上を始めました。

 

 

その後、メキメキ力をつけ、2018年にベルリンで開かれた欧州選手権の開会式ではオランダの旗手を務めました。2019年の世界選手権では400mで銀メダルを取り、金メダルのフロアス選手に迫りました。ことし6月の欧州パラアスリート選手権では、100mと400mで金メダルを獲得しています。

注目の決勝 義足最速は誰だ

 

「『足はないけど最速の男』と呼ばれたい」と語るフロアス選手。王者を止めることはできるのか。若き選手たちが400mを駆け抜けます。

 

パラ陸上男子400m決勝は、9月3日19時33分開始予定です。

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