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パラ陸上「鉄の女王」タチアナ・マクファーデン! 東京パラリンピック 「5冠」に挑む

2021-08-27 午後 11:35

陸上・車いすのクラスのタチアナ・マクファーデン選手(アメリカ)。パラリンピック過去4大会で、金メダル7個を含む16個のメダルを獲得。その強靭な肉体と圧倒的な実績から「鉄の女王」と呼ばれています。

 

東京大会では8月28日の5000メートルを皮切りに、5種目にエントリー。そのすべてで金メダルの有力候補にあげられています。その強さはどこから来るのか。そして、立ち向かうライバルは?世界の頂点を争うレースを前にマクファーデン選手に迫りました!

驚異の肉体を持つ女王

パラリンピックで、金7個、銀6個、銅3個のメダルを獲得してきた、32歳のマクファーデン選手。その姿を見て、まず驚くのは、強靭な上半身の筋肉でしょう。

 

 

その強靭な肉体を生み出すのは、過酷なトレーニング。コロナ禍で大会がストップしていた去年は、週6日、1日2回のトレーニングを続け、東京大会に向けた肉体を作り上げてきたと言います。この肉体から生み出されるパワーとスピードで、短距離からマラソンまであらゆる種目に対応します。

2013年には、史上初の世界選手権6冠(100m、200m、400m、800m、1500m、5000m)。リオデジャネイロ大会では、400m、800m、1500m、5000mの4種目で金メダル。

 

 

東京大会では、前回銀メダルに終わったマラソンを含めて「5冠」を目指しています。

逆境を乗り越える力

マクファーデン選手は、その肉体だけでなく、強い精神力で逆境を乗り越えてきました。

 

 

旧ソビエトで生まれたマクファーデン選手は先天的な脊髄の障がいがあり、生まれた時から下半身が麻痺していました。その後、障がいを理由に孤児院に預けられ、6歳でアメリカ人夫婦の養子に入るまで、孤児院で暮らしました。

 

「強い精神力がなければ乗り越えられなかった」という孤児院での生活。車いすがなかったため、マクファーデン選手は何をするにも、逆立ちをして歩いていたと言います。しかし、困難を乗り越えた先に渡ったアメリカで、10代からパラ陸上で頭角をあらわしました。その支えとなったのは、当時から周囲より強かった腕の筋力。孤児院での逆立ちの日々が、今につながる強靭な腕力の基礎になっていたのです。

 

 

リオデジャネイロ大会のあとには、体内に血栓ができ、競技から離れざるを得ない時期もありました。それでも、何人もの医者を訪ね歩き、3度にわたる手術を経て競技に復帰しました。

 

マクファーデン選手のモットーは「ヤ・サマ」。ロシア語で「私にはできる」という意味です。

 

厳しいトレーニングに耐え、レースでは限界を超えるまで車いすをこぎ続ける。そして人生での逆境を何度も乗り越える。マクファーデン選手の力になっている言葉です。

マクファーデン選手のインタビュー動画はこちらから

ライバルは世界記録保持者

オリンピックで数々の栄光を掴んできたマクファーデン選手。今大会、彼女のライバルと目されているのが、リオデジャネイロ大会後に大きく記録を伸ばしてきたベテランです。

 

 

スイスのマヌエラ・シェア選手、36歳。9歳の時、事故で脊髄を損傷。陸上を始めたきっかけは、リハビリの一環でした。アテネ大会と北京大会では、短距離種目で3つのメダルを獲得しましたが、ロンドン大会ではメダルなし。これをきっかけに、2013年からは中長距離に力を入れることを決断しました。

 

特に2017年以降は、ロンドン、ボストン、ベルリンなど世界の主要なマラソン大会で次々と優勝。自動車レース「F1」の技術を応用したと言われる競技用車いすなど、世界最高レベルの技術を持つメーカーのサポートも得て、2019年の大分国際車いすマラソンでは、世界新記録(1時間35分42秒)をマークしました。

 

2019年、マラソン世界記録を更新したシェア選手

 

2019年には、東京、ボストン、ロンドンと主要なマラソン大会で、すべてマクファーデン選手を破って優勝しています。

 

また、得意のマラソンに加えて、最近はトラック種目でも記録が向上。2018年には5000メートル(10分51秒17)、2019年には800メートル(1分41秒47)、2020年には1500メートル(3分12秒35)と相次いで世界新記録を樹立しています。

 

北京大会以来、13年ぶりのメダル獲得へ。東京大会では捲土重来を期します。

折れない心で目指す金メダル

マクファーデン選手(左)とシェア選手(右)

  

マクファーデン選手と急激に記録を伸ばしてきたシェア選手は、各種目で激しい戦いが予想されます。しかし、重要なのはメダルという結果だけでなく、そこに至るまでの、自分が走る姿だと、マクファーデン選手は言います。

 

「レースでの強さだけでなく、私の折れない心(レジリエンス)を見てほしい」

 

これが、東京大会を前に、マクファーデン選手が日本のファンに寄せたメッセージです。

 

「鉄の女王」が見せる心の強さ、メダルの行方とともに、その走りから目が離せません。

マクファーデン選手が出場する競技日程はこちら

陸上・車いすのクラス

8月28日(土) 女子5000メートル 決勝(午前)

8月29日(日) 女子800メートル 予選(午前)、決勝(夜)

8月30日(月) 女子1500メートル 予選(夜)

8月31日(火) 女子1500メートル 決勝(夜)

9月2日(木) 女子400メートル 予選(午前)、決勝(夜)

9月5日(日) 女子マラソン (早朝) 

※日本からは土田和歌子選手、喜納翼選手が出場予定

 

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