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性の多様性が見えた東京オリンピック 選手たちは何を語ったのか?

2021-08-08 午後 07:00

今回の東京オリンピックで海外メディアを中心に大きな注目を集めた話題があります。それは、LGBTQ(性的マイノリティー)である、と自ら公表している選手の増加です。選手たちがどんな言葉を語ったのかまとめてみました。

過去最多 前回大会の3倍以上

アメリカのスポーツ専門サイト「アウトスポーツ」によると、84日の時点で、東京オリンピックに出場している選手のうち182人の選手がLGBTQであることを公表しているといいます。2012年のロンドン大会では23人、2016年のリオデジャネイロ大会では56人で、今回の180人以上という数字は前回大会の3倍をはるかに上回っています。

開会式で旗手を務めた6人

虹色のドレスで登場した歌手のMISIAさん

 

「多様性と調和」がコンセプトの1つとして掲げられた東京オリンピック。開会式では、国歌を斉唱した歌手のMISIAさんが、性の多様性を象徴するレインボーカラーのドレスで登場しました。

 


旗手を務めたアメリカのスー・バード選手(左端) アルゼンチンのセシリア・カランサ サロリ選手(右から2人目)

 

アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、キプロス、フィンランド、ベネズエラの選手団を率いた6人の旗手は、LGBTQ+である事を公表している選手でした。

思いを語った選手たち

世界中が注目する大舞台で、これまで抱えてきた葛藤や伝えたかった思いがあふれました。

“どんなに孤独を感じていても、ひとりじゃない”

トーマス・デーリー選手

 

今回で4度目のオリンピック出場となった男子高飛び込みイギリス代表のトーマス・デーリー選手。ロンドン大会の後、2013年に自身がゲイであることを公表しました。現在は結婚し、夫とともに3歳の息子を育てながら競技を続けています。今大会では、シンクロ高飛び込みで見事金メダルを獲得。その後のインタビューで苦しかった幼少期の経験を語りました。

 

表彰式で涙を流すデーリー選手

トーマス・デーリー選手

若いころは、自分が孤独で、ゲイであるせいで何も成し遂げられないと思っていました。社会が望むような人間にはなれないと思っていたんです。

でも金メダリストになった今、『僕はゲイでオリンピック金メダリストだ』と言えることが信じられないほど誇らしい。

 

観客席で編み物をするデーリー選手

 

大会中、観客席で趣味の編み物をする姿も話題になりました。インスタグラムでは子供の為に編んだ服を公開するなど子育てにも奮闘しているデーリー選手は、若いLGBTQ+の人たちに向けてメッセージを送りました。

 

トーマス・デーリー選手(左) マティー・リー選手(右)

トーマス・デーリー選手

たとえ今どんなに孤独を感じていたとしてもひとりじゃないし、何でも成し遂げられる。あなたを助けてくれるたくさんの仲間がいます。

 

■デーリー選手のインタビュー動画はこちら

メダル獲得後にカミングアウト

カタジナ・ジルマン選手(左端)

 

ポーランドのボート女子クオドルプルスカル代表のカタジナ・ジルマン選手は、銀メダルを獲得。その後、インタビューでガールフレンドに感謝を表明し、これが事実上のカミングアウトとなりました。

 

表彰式でのジルマン選手(右端)

カタジナ・ジルマン選手

カミングアウトする必要性を感じたんです。メダルを獲得するまでは、私の声はこれほど大きくありませんでした。今ならこの方法で誰かを助けられると思ったんです。

 

これまで、LGBTQであることを隠していたわけではないというジルマン選手。メダリストという立場をLGBTQコミュニティーへの理解促進に活かしたいと、公の場で表明したということです。ジルマン選手の出身国ポーランドでは性的マイノリティに厳しい意見が根強く、そうした状況の中でのカミングアウトに世界中から賛同の声が上がっています。 

 

■ジルマン選手の競技動画はこちら

日本選手のライバルも

入江聖奈選手(左)と戦うネスティー・ペテシオ選手(右)

 

8月3日にボクシング女子フェザー級決勝で入江聖奈(いりえ・せな)選手に破れ、フィリピンで史上4人目の銀メダリストとなったネスティー・ペテシオ選手。試合後に対戦相手の入江選手をたたえる姿が日本でも話題になりましたが、LGBTQの当事者としての思いにも言及していました。

 

ネスティー・ペテシオ選手

ネスティー・ペテシオ選手

LGBTQの一員であることを誇りに思っています。この戦いをLGBTQ+コミュニティに捧げます。

 

■ペテシオ選手の競技動画はこちら

トランスジェンダーの選手が残した願い

ローレル・ハッバード選手

 

そして今大会は、オリンピック史上初めてトランスジェンダーの選手が、生まれた性別とは別のカテゴリーで参加した大会となりました。男性として生まれたニュージーランドのローレル・ハッバード選手が、女子の重量挙げ87キロ超級に出場。これに対し、「筋肉の量が違いすぎて不公平だ」、「今後トランスジェンダーの選手がメダルを独占してしまうのでは?」と言った批判の声も上がり、開催前から大きな議論になっていました。結果的に、試技で失敗し敗退したハッバード選手。競技後、こんなコメントを残しました。

 

ローレル・ハッバード選手

ローレル・ハッバード選手

私はずっと、ただ “私自身” でいたかっただけなんです。今回、その機会をもらえた事がとてもうれしい。

私の出場が歴史的な出来事であるべきだとは思いません。これが歴史のほんの1ページになり、持つ意味の大きさがどんどん薄れていくことを望みます。

 

■ハッバード選手の競技動画はこちら

今後さらに多様性は進む?

 

 

男女平等とともに、性の多様性が進むオリンピック。次回、3年後のパリ大会にはどういった変化が現れるのか注目です。

 

競技動画の見逃しは特設サイトで

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