ストーリーサッカー

サッカー日本代表 遠藤航 オリンピックに挑む メダルのカギは“球際&初戦”

2021-07-21 午後 08:25

オリンピックの借りは、オリンピックで返す。

 

7月22日に予選リーグ初戦を迎える、東京オリンピックのサッカー男子日本代表。サンデースポーツ解説で元日本代表の中澤佑二さんが、キーマンと見ているのが、オーバーエイジの遠藤航選手(28)です。

 

2度目のオリンピックに臨む遠藤選手がチームにもたらすもの、そしてメダルへのカギとなるプレーとは。中澤さんがリモート対談で迫りました。

“デュエルキング“ 遠藤航に期待! 

 

予選リーグで日本は初戦に南アフリカ、2戦目に金メダル獲得経験のあるメキシコ、3戦目はヨーロッパの強豪フランスと対戦。4チームの中で2位以内に入り、決勝トーナメント進出を目指します。

 

シドニーオリンピックの日本代表経験のある中澤さんは、日本が予選リーグを突破しメダル獲得を目指していく上では「安定感のある守備」が必要だと言います。

 

 

「男子の森保一監督がいつも言っていることですが、良い守備が良い攻撃を生みます。守備が安定すれば、大会を戦っていくプランが立てやすくなりますね。その上で本当に重要だと僕が思っているのが、“球際の強さ”です。攻めるため、ゴールを奪うためにはまずボールを奪わなければいけない。そのためには、1人1人の球際の強さが求められてくると思います」

 

中澤さんがポイントに挙げた「球際の厳しさ・強さ」で無類の勝負強さを発揮するのが、守備的ミッドフィールダーの遠藤航選手です。

 

ドイツ1部リーグ、シュツットガルトに所属する遠藤選手は昨シーズン、1対1での勝負を意味する「デュエル」の勝利数(476回)でリーグトップを記録。年齢制限のない日本代表でも主力としてプレーし、中盤で次々と攻撃の芽を摘み日本の守備に大きく貢献しています。

 

 

遠藤選手と中澤さんのリモート対談が行われたのは6月下旬。オリンピックに臨む決意、そして遠藤選手の「球際の強さ」の秘密に迫ります。

「手ごたえは思った以上

中澤 遠藤選手、6月にオリンピック世代の日本代表に加わりましたが、ご自身の手応えなど感じたことがあったら教えてください。

 

 

遠藤 個人としてというよりはチームとして、手応えは思った以上にありますね。オーバーエイジとして自分が入ってどうプレーできるのか、ちょっと難しいイメージだったので、6月から活動できたのはすごい良かったです。この世代は(年齢制限のない)A代表でプレーしている選手も多いので、そういう意味では「すっと入れた」感覚はありますね。海外組でいつも一緒にやっている選手たちなんかは、バスの中でもめちゃめちゃうるさいなと思いながらやっています(笑)。

 

中澤 ちなみに誰が一番うるさいですか(笑)。

 

遠藤 よくしゃべるのはやっぱりタケ(久保建英)とか(堂安)律とか(板倉)滉とか。結構みんな一発芸とかやる選手も多いんですよね。その時はびっくりしてオーバーエイジ組は隠れてます(笑)。タケの誕生日があった時に誰か一発芸やろうみたいな話になって、そしたらまずタケが率先して「じゃあ自分誕生日なんでやります!」みたいな感じ。

 

中澤 ということは、チームの雰囲気は良いんですね。

 

遠藤 東京世代はみんなノリが良くて。仲は良い印象です。

 

中澤 遠藤選手はリオに続いて2大会連続で出場されます。前回大会は予選リーグ敗退という苦しい結果でした。当時の日本には何が足りなかったと思いますか。

 

 

遠藤 当時のチームは海外組も少なかったですし、そもそも実力の部分で物足りなかったと思います。個人としてもシンプルに実力不足だったなと。所属チーム(浦和)ではディフェンダーをしていて、でも代表ではボランチをやる、その難しさというか限界を感じました。

 

中澤 リオの経験を受けて、今回の東京で気持ちの違いや変化はありますか。

 

遠藤 リオの時は4年かけてチームを作り上げてきて、ある意味オリンピックに賭けていたというか、自分も活躍して海外に行きたいという思いがありました。でも今振り返ると、オリンピックってサッカー選手としては「通過点」でしかなかった。そこの大会に対する考え方は変わりました。でも今回はやっぱり「東京」ですから。自国開催でただ良い経験で終わりました、では終われない。この5年間の自分の成長を東京でどう見せるか、そういうことを考えていますね。

「初戦が大事」 リオの苦い記憶

中澤 大会ではボランチとして出場されると思いますし、オーバーエイジとしてもチームのことを考えてのプレーが続くと思います。ピッチ内外でどんな役割を担っていきたいですか。

 

 

遠藤 ピッチ内でやる事はシンプルだと思っています。代表でずっと見せてきたプレー、(ドイツ1部リーグ)ブンデスリーガでやっているプレーをそのまま落とし込む。それを東京世代と一緒にやる、それだけかなと思っています。ピッチ外ではどちらかというとメンタル的な部分ですよね。チームが勝っている時は特に仕事はないと思いますけど、自分たちが想定していなかったシチュエーション、例えば初戦で負けた時にどういうメンタリティで次の試合に臨むのか、そういう面で支えになるのがオーバーエイジの仕事だと思っています。そこはピッチ外で意識しなきゃいけないかなと。

 

中澤 「初戦に負けた時」という話が出ましたが、先日キャプテンの吉田麻也選手にお話を伺った時、吉田選手も初戦の大切さをかなり意識していました。

 

 

遠藤 そこは僕も同じですね。初戦はやっぱり大事です。初戦の南アフリカに勝てるか勝てないかで、かなり変わってくると思いますね。予選リーグを突破する上で、初戦で勝ち点3を取れることはすごく大きい。そこで勝ち点0だと残りの2試合で2連勝しないと突破は難しくなる。トーナメントで上に行く事を考えたら、初戦に勝って2試合目も勝って3試合目は選手の疲労を考えてメンバーを入れ替える可能性も出てきますしね。

 

中澤 リオ大会では初戦のナイジェリアに敗れました(4対5で敗戦)。その経験も「初戦が大事」という思いにつながっていますか。

 

遠藤 そうですね。あの試合もすごいイレギュラーな状況で…。ナイジェリアの飛行機が遅れてなかなか会場に着かなくて、自分たちも初戦の緊張感も含めてイレギュラーな感じのまま試合に入って落としてしまった。結果そのまま2戦目も勝てなくて(コロンビアと2対2で引き分け)、3戦目スウェーデンに勝てたけど(1対0で勝利)他チームの結果によって予選リーグ敗退でした。そういう状況はやっぱり避けたいですよね。

 

中澤 初戦を負けるとネガティブな状態のまま、チームの修正から練習に入るのは嫌ですよね。僕も2006年のワールドカップドイツ大会の時がそうでした。初戦でオーストラリアに負けて、ほとんどその修正で時間とエネルギーを使ってしまって、次の対戦相手のことを考える余裕はありませんでした。逆に4年後の南アフリカ大会では、初戦のカメルーン戦に勝った事によって、“自分たちはこういう戦いをするんだ”と勢いに乗って大会に臨むことができましたね。

 

なぜ遠藤航はボールを奪えるのか

中澤 プレーの話も聞いていきたいんですが、昨シーズンの遠藤選手はドイツでデュエルの勝利数が1位でした。日本の選手たち、子どもたちはみんな「なんで遠藤選手は球際でボールが取れるんだろう。デュエルで勝てるんだろう」と、すごく気になっていると思います。何かポイントはありますか。

 

 

遠藤 ひとつはもう「頭」の問題だと思います。クレバーさ・賢さは、やっぱり日本人のストロングポイント。海外の屈強な相手に対して頭を使ってボールをどう奪うのか。そこに関しては「予測」は間違いなくありますよね。ボールを持った相手がどこにパスを出したいのか。どんなイメージを持ってビルドアップしているのか、自分の中ですごく考えています。例えばセンターバックが右足インサイドキックでパスを出すなら、ここしかないなとか。長いボールを蹴るなら振りが大きくなるはず、サイドに出すなら体を横に開いて蹴るはずとか。相手のセンターバックやボランチの選手の特徴は、結構プレーしていく中で分かるので、頭に入れながら最終的に判断をする感じですね。

 

中澤 それはやはり海外に出てわかった、成長した部分なんでしょうか。

 

遠藤 カテゴリーが上がることでそのレベルに適応するというか、自分の能力が少しずつ上がっていくところはあると思います。だから僕が浦和からベルギーに行って、ドイツの2部に行って、1部に上がってプレーしてちょっとずつ判断の精度、予測する精度は間違いなく上がっていると思います。あとは、とにかく行くか行かないか迷った時に行ってみるということが大事ですね。

 

中澤 迷った時に行く。

 

 

遠藤 そうすると意外と「この感覚で行っても取れるんだ」というのを掴めるんですよね。ひとつの成功体験になって、更に距離が遠くても行けるようになりますし。

 

中澤 そのアプローチの距離というのは、遠藤選手の中で大体決まっているんですか。

 

遠藤 「この距離だったら奪えるな」という感覚はかなり掴めるようになったと思います。ドイツに行ってから、ちょっと距離が遠くてもアプローチしたら取れる幅は広がりました。そこはひとつ自分の成長かなと。あとはもうメンタルですよね。相手がデカいとか関係なくビビらないで突っ込めるか、みたいことも大事だと思うので。

 

中澤 リオでの悔しい思いもあって、海外に挑戦して成長してきた結果なわけですね。

 

 

遠藤 僕が今やり続けているのは、90分の中でいかにボールを奪う回数を増やせるのか、球際の1対1で何回ボールを自分のものにできるか。それはこの1年ですごく成長できたと思っています。あとはやっぱり攻撃の部分でも休まなくなりました。ボールを奪ったあと休んでしまう選手は多いと思うんですけど、そこでボランチの自分が動いて、もう一度ボールを受けて時間を作るだとか前に上がっていくとか、そういうプレーは大事だと思っていますね。

初戦の南アフリカ戦へのイメージは

中澤 「初戦が大事」という話がありましたけど、東京オリンピック初戦の相手は南アフリカです。試合に臨む上で何かイメージはありますか。

 

遠藤 アフリカの選手たちなので身体能力が高い。南アフリカはそこにプラスして、アフリカ勢の中でも組織的にチームとして戦うイメージがあります。間違いなく難しい相手になると思いますね。

 

中澤 今のところ、どんな試合運びを考えていますか。

 

遠藤 基本的にはボールをしっかり動かしていく中で、チャンスメイクしていきたいですよね。自分のポジション・ボランチが常にボール受けてさばいていきながら、数多くチャンスを作っていく。それが日本サッカーの理想だと思っているので、そういう試合展開にしたいです。

 

中澤 では、東京オリンピックでの目標を、ズバリお願いします!

 

 

遠藤 やっぱり金メダルですね。本気でそれを目指せるチームだと思っていますし、オーバーエイジとしてプレーするのであれば、そのくらいの貢献はしなければいけない。そのくらいの責任感を持ってやらないといけないと思っているので。オリンピックを東京でできるわけですから、やはり金メダルをとりたいです。

 

中澤 ありがとうございます。僕は男子も、そしてなでしこジャパンも、予選リーグ突破はもちろんメダルを取ってくれると信じています!

サッカー男子日本代表 東京オリンピック

予選リーグ初戦 日本×南アフリカ 

NHK総合 7月22日 午後7時30分~生中継

 

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