ストーリー野球

メジャーリーガーに人気のトレーニング!~ データ革命がもたらす投手の進化~

2018-03-27 午後 0:00

人はどこまで速い球を投げることが出来るのだろう。ピッチャーの世界最速はヤンキースのチャップマン投手が投げた169.1キロ。


日本選手では大谷翔平投手の165キロが最速だ。野手に目を向けると2年前、ヤンキースのヒックス外野手がチャップマンを上回る169.7キロを投げ、話題となった。レフトからバックホームした1球だった。助走をつけながら投げると球は速くなるのだ。

 

トレバー・バウアー投手

 

今年1月、「助走をつけながら」という前提だが「188キロ」を投げた人が現れ、注目を集めた。インディアンズのトレバー・バウアー投手だ。

そんな球を投げて肩を壊さないの?そもそもなんでそんな速い球が投げられるの?様々な疑問がわき、取材を始めた。

ドライブラインベースボール

 

バウアー投手がトレーニングしていたのがアメリカ・シアトルにある「ドライブラインベースボール」という施設だ。

ここで行っているのは適切なフォームを身につけること。トレーナーや医師、動作分析の専門家など様々な分野のプロが常駐。

 

 

科学的で安全な指導が受けられると評判を呼び、現役選手やドラフトを目指す大学生など、年間およそ500人がここで汗を流している。

 

ティム・リンスカム投手

 

取材を始めた2月初めには、この春レンジャーズと契約したかつてのサイ・ヤング賞投手、ティム・リンスカムの姿もあった。

特注のボールでトレーニング

トレーニングに使う特注ボール

 

ここではトレーニングに特注のボールを使う。重いもので、2キロ。試合で使うボールはおよそ142グラムなので、かなり重い。

これまで野球の世界では「軽いボールや、重いボールを思い切り投げると肩や肘を痛める」と言われてきた。だがドライブラインによると、専門家の指導のもとでこれらのボールを繰り返し投げると、むしろ怪我をしにくいフォームが身につくのだという。

 

 

ボールを投げた後は体中にセンサーを装着する。モーションキャプチャーを使ってデータを取り、肩の回り方や関節への負荷などを調べるのだ。

この作業を繰り返し、理想のフォームを完成させていくのだという。

最新技術で練習方法を確立

 

ドライブラインを設立したカイルボディーさんは、野球をやっていた高校時代、怪我に苦しんだ経験がある。

カイルボディーさん

これまでは練習方法が確立されていなかっただけです。最新の技術で練習方法を作り出せるようになりました。

 

フォームを矯正した結果、球速が4、5キロアップした選手が少なくないという。

カイルボディーさん

怪我の確率が下がる一方で、球速は上がっている。呼ばれればアメリカでもオーストラリアでも日本でも行きますよ。東京にもぜひ行きたいです。

 

カイルボディーさんはそう語った。

バウアー "怪我をきっかけにドライブラインへ"

 

 

188キロを投げたバウアー投手は、5年前からここに通っている。きっかけはやはり、怪我だった。

バウアー投手

昔は足を大きく踏み出して上から投げ下ろすフォームだった。だが股関節と腰を怪我してしまった。ドライブラインでフォームを変えたら、ストレートが速くなったんだよ。

 

3年連続二桁勝利を挙げるまでになったバウアー投手。今では、オフシーズンの大半をドライブラインで過ごすという。

施設にはボールの回転数や回転軸が測定できる機器もあるため、最近では速球だけでなく変化球も研究しているのだと教えてくれた。

──最近のテーマは?

バウアー投手

このオフはスライダーを持ち球に加えたよ。目標にしたのは同じチームのクルーバー投手や、ブルージェイズのストローマン投手のスライダーさ。

どうすれば彼らの球のように変化するのか、回転のかけかたから、回転軸の傾け方まで考えたよ。毎秒2000フレームの高速度カメラで見ながら、リリースする位置も確認したし、人差し指を曲げたり、親指の位置を変えてみたりして、回転軸の傾きがどう変わるか試したこともあった。

3か月間かかったけど、この前投げたスライダーはクルーバーに近かったと思うよ。

 

 

怪我はしたくないけれど、もっと速い球を投げたい。もっと変化する球を投げたい。ピッチャーの究極の夢ともいえる願望を、最新テクノロジーの導入と投球動作の研究によって可能にしつつある国、アメリカ。

今年のキャンプ地では、いくつもの球団がドライブラインの練習法を取り入れていた。いいものは貪欲に取り入れていくこの国で、野球は今後どんな進化を遂げるのだろうか。

大谷翔平選手はどんなピッチャーに成長していくのだろうか。楽しみが広がっている。

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