ストーリー水泳

アイツの存在が俺を強くした!萩野公介と瀬戸大也

2018-04-06 午後 0:00

~NHKスペシャル「金メダルへの道」(2016年8月3日放送)より~

 

今の水泳界を引っ張る実力派選手といえば、2016年のリオデジャネイロオリンピック 競泳 男子400m個人メドレーで金メダルを獲得した萩野公介選手と同じく銅メダルを獲得した瀬戸大也選手! 見事なダブル表彰台でした。

 

昨年の日本選手権では、萩野選手と瀬戸選手のタイムはなんとわずか100分の1秒!
お互いを高めあい、励ましあい、常にトップレベルで戦い続けてきた彼らは、ライバルであり、友でもありました。

二人が競うキング・オブ・スイマーの称号  400m個人メドレー

 

萩野選手と瀬戸選手が競い合ってきたのが、最も過酷といわれる「400m個人メドレー」。100mずつバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形のすべてを泳ぐ種目です。

 

どの泳法でも高い技術とパワーが求められるこの種目の覇者は「キング・オブ・スイマー」「水の王者」とも呼ばれます。

「世界の舞台で自分の泳ぎを」オリンピック金メダリスト 萩野公介

 

リオデジャネイロオリンピックの金メダリスト・萩野選手の強みは、世界トップレベルの背泳ぎと、絶対の自信を持つ自由形。その自信は「世界の舞台で自分の泳ぎをすれば勝てる」と言い切れるほど。

 

 

萩野選手の泳法の最大の特徴は重心が高いこと。一般の選手に比べておよそ5センチ高く、体が水上に出ている部分が多いので、水の抵抗が少なく、水面を滑るような泳ぎができるのです。この「モーターボート泳法」は、一度水を下向きに押し込んでから後ろにかくという萩野選手独自の泳ぎ方の賜物。

 

さらには過酷な練習メニューも萩野選手を強くしています。一日に泳ぐ距離は10キロ以上。常に自己ベスト並のスピードで泳いで自らを追い込みます。そのストイックさには、コーチが「どうしたら萩野が苦しむメニューを作れるのか」と舌を巻くほど!

 

幼いころからストイックにタイムを追い続け、小・中学生で更新した日本新記録は40以上にも上ります。同世代に萩野選手のライバルはいませんでした。

「自分だけの世界に入るのが重要」限界を知らない萩野の強さ

 

萩野選手がタイムにこだわり、ストイックに自分を追い込むのは、「人には興味がない。自分だけの世界に入って泳ぐことが大事」だと思っていたから。

 

そんなストイックさは、萩野選手の体にも変化を及ぼしました。それは乳酸値の違い。筋肉がエネルギーを作り出した副産物である乳酸は、一般的に身体に10ミリモル程度たまると、限界に近づいたと脳が判断し、筋肉の動きを抑制してしまいます。しかし、萩野選手は20ミリモル以上の乳酸を体に溜めることができ、筋肉が余裕を持った状態を長く続けることができつのです。

 

この力強さによって、萩野選手はワンストロークが長く、ピッチの少ない泳ぎが可能なのです。

「負ける怖さはない」圧倒的な勝負強さで世界を制す 瀬戸大也

 

2012年から2015年までの4つの世界大会で優勝し、そのすべてで自己ベストを更新。世界にその勝負強さを見せつけてきた瀬戸選手の強さは、萩野選手という圧倒的なライバルの存在があってのものでした。

 

同学年でもある瀬戸選手と萩野選手がはじめて対決したのは9歳の時の全国大会。すぐに萩野選手に差をつけられ、大きな実力の差を見せつけられました。その時から、「いつかは萩野選手に勝ちたい」という強い想いを抱いてきた瀬戸選手。中学では萩野選手の出るレースをあえて選んで戦っていたと言います。

 

今でもつらい時には、萩野選手が前を泳いでいるのをイメージして、自分を奮い立たせています。瀬戸選手にとって、萩野選手は大きな目標だったのです。

憧れからライバルへ。一発逆転を生む瀬戸の最強メンタル

 

そんな瀬戸選手と萩野選手の関係が変わったのが、2013年の世界選手権。

瀬戸選手が萩野選手を破り、優勝したのです。憧れからライバルに変わった瞬間でした。

 

瀬戸選手の勝利の要因はバタフライにありました。一般の選手が一かきごとに息継ぎをする中、瀬戸選手は2回に1度しか息継ぎをしません。体に負担がかかる反面、水の抵抗を少なくすることができます。泳ぎ方の大胆な変更でした。その力は、大舞台で発揮されました。

 

ここぞという大事な大会で勝利する瀬戸選手のメンタル面の強さは、日本オリンピック委員会が行った心理テストからも明らか。あの北島康介選手をも上回る競争心や自信に加えて、集中力、リラックス能力にも優れた、最強のメンタルを持つ選手だったのです! 大事な場面でも冷静に戦局を見つめ、戦い方を決めることが出来るメンタルだからこそ、世界選手権の優勝をかちとることができたのです。

瀬戸にあって、自分にはない「気持ちの強さ」を知った萩野

「人には興味がない。自分の世界に入って泳ぐ」と言っていた萩野選手は、瀬戸選手に敗北したことで自分の弱さに気づきます。

 

それはタイムのみを意識して「誰かに負けたくない、勝ちたい」という勝利への執念がないこと。

 

瀬戸選手は隣でおよぐ萩野選手を意識しながら、力を抜くところ、萩野選手に追いつくところ、と作戦を立てて泳いでいます。これはタイムよりも「勝つ」ことに余念のない瀬戸選手ならではの戦い方。

 

 

それからの萩野選手は、瀬戸選手の得意種目であるバタフライの強化を始めます。瀬戸選手は、萩野選手にとって初めて現れたライバルでした。

そうして高めあいながら競い合った萩野選手と瀬戸選手。昨年の日本選手権では、瀬戸選手が萩野選手を破り、優勝しました。その差はわずか100分の1秒。

 

常に勝利を目指し、自己記録を更新し続け、世界のトップとして活躍する二人。開催中の日本選手権では昨年のデッドヒートをさらに超える戦いが期待されます。

6日(金)の男子200m個人メドレー決勝では、萩野選手が1着、瀬戸選手が2着でともに日本代表に内定。8日(日)にはそろって男子400m個人メドレーに出場予定です。NHKの放送をお見逃しなく!

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