ストーリー野球

Ohtani ルーキーで週間MVPの衝撃

2018-04-13 午後 0:00

投げては、デビューから2連勝。打っては、本拠地デビューから3試合連続のホームラン。そして、日本選手ではイチロー選手以来、2年ぶりとなったアメリカンリーグの週間最優秀選手=週間MVPを獲得。
 
大谷選手の活躍は、日本の状況と同じように、アメリカでも「信じられない」という、驚きをもって受け止められています。アメリカでは、大谷選手が活躍をするたびに、“野球の神様”や、投打の両方で成功できた最後の選手と言われるベーブ・ルースと重ね合わせる報道も多くなり、注目度が上がっています。

ルーキー大谷選手の“予想外の活躍”全米に衝撃

 

アメリカで数少ない全国紙のUSAトゥデーは今月8日、大谷選手が先発登板した試合中に、大リーグで新人の大谷選手が、ノーヒットノーランの試合を達成しそうだと速報で伝えたほか、辛口で知られるニューヨークの新聞も大谷選手の活躍を伝えるようになっています。

大リーグには30球団があるため、ニューヨークの各紙は地元のヤンキースやメッツ以外のチームや選手については、好意的に大きく扱うことは少ないのですが、大谷選手の活躍は、無視できないものになっているようです。

 

 

エンジェルスのファンにとっても、大谷選手は今シーズンの大きな希望になっています。

大谷選手がピッチャーとして2勝目をあげた試合のあとには、「エンジェルスに来てくれて、本当にありがとう」とか、「長く野球を見ているが、こんな選手は見たことがない」と興奮して話すファンがいるなど、スターへの階段を上り始めています。

キャンプでの不振からの反転はなぜ?

 

シーズン開幕前、キャンプでの大谷選手のプレーを見たアメリカのメディアや専門家は、その低調ぶりに、シーズン開幕では大リーグでデビューさせるよりも、マイナーリーグで経験を積ませるべきだという意見が多くありました。

 

 

しかし、大谷選手は、結果がでない中でも、あせらずに、調整の計画を立てて、実行してきたといえます。その代表が、フォークボールです。大谷選手は、キャンプの終盤までは、持ち味のフォークボールをあまり使わずに、投球していました。

 

逆に、キャンプで最後の練習試合では、フォークボールを数多くなげて、実戦で使えるレベルまで引き上げてきました。さらに開幕直前の練習では、腕を強く振って、球威のある速球も投げるようになってきました。

 

 

ソーシア監督は、大谷選手はこうした状態になることを逆算して、調整をしてきたと話しています。

後付けの話しのようにも聞こえますが、ソーシア監督がキャンプ中にくり返し言っていたことを思い出します。

ソーシア監督

いまは調整の過程にある。メディアは結果の数字だけを見るが、我々は違う尺度で見ている。

 

ソーシア監督は、大谷選手はエンジェルスのメンバーのうちの1人であるとして、持ち上げるような発言はしませんが、ただ、多くの批判を覆して、大谷選手が活躍している現状に、内心では、手放しで喜んでいるでしょう。

活躍の反面 疲れや体調管理は

 

新しい環境で、吸収すべきことが多い中で、投打の二刀流でプレーする大谷選手にとって、最も難しい課題となるのが、疲れや体調のコントロールになるかもしれません。

大谷選手は、「まだシーズンがはじまったばかりで、疲れはない」としていますが、球団も、大谷選手の体の状態は、しっかりとデータを取って把握しています。また、大谷選手の意見も聞いて、試合に出場できるかどうかを判断しています。

シーズンが進むと、こうした配慮や計画性がより重要になってくるのは、間違いありません。

 

 

エンジェルスは、大谷選手が登板する前の日と、登板の次の日は、指名打者で出場させず、調整や体の回復に当てることを大前提としています。これに加えて、大谷選手の体の状態にあわせて、試合出場のスケジュールも組んでいくことにしています。

ソーシア監督が大谷選手の起用法で重要だとくり返すのは、「柔軟性を持ち続けること」です。1週間のうち、登板は1回、指名打者の出場は3回などと、出場試合数を固定するのではなく、大谷選手の状態を見て、試合出場をさせるか、次はいつ投げさせるかを決めるという意味です。

大谷選手は、オープン戦などでは、先発登板の2日後には指名打者で出場することが多くあり、先発デビュー・初勝利の今月1日の登板後、3日には指名打者で出場しました。しかし、今月8日に2勝目をあげた登板から2日後の10日の試合では、指名打者では先発せず、代打で1打席に立ったのみでした。

シーズンを通して、こうしたやりくりが、くり返されていくことになると見られます。

衝撃的デビューに日米で加熱 しかし 本人は…

 

アメリカのメディアが大谷選手を表現する場合は、キャンプまでは”the Japanese two-way star”(投打両方の日本のスター選手)がほとんどでした。

ところが、大リーグデビューから大谷選手の活躍が始まると、“the Japanese phenom”(日本の天才)という表現が多く見られるようになり、いまでは Angels slugger/pitcherと単なるバッターではなく、スラッガーと表現するメディアも出てきました。

大谷選手への注目度は高まるばかりですが、実はこの状況を一番、冷静に見ているのは、大谷選手、本人です。どんな名選手でも好不調の波があるように、大谷選手も、スランプなどの壁にぶつかったときに、どう乗り越えるかが重要だと、話しています。

 

 

取材でプレーを目の当たりにしていると、恵まれた体格と類い希な身体能力に、目を奪われがちです。しかし、キャンプで見せたように、自らの状況を捉えて、結果を出すために、いまはどのような練習をすべきか、どういうプレーをすべきかといった計画を立てて、実行できる能力の高さも、活躍の背景にあると感じます。

大谷選手は、ベーブ・ルースと比較されることは「光栄」と言いつつも、気負いはまったくありません。そうした大谷選手の姿勢からも、さらなる活躍を予感させてくれます。

雁田紘司

アメリカ総局記者

 

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