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新競技「ブレイキン」がわかる! 2024年パリ五輪で金メダルも期待

2021-06-29 午後 05:33

2024年パリオリンピックの新競技に「ブレイキン(ブレイクダンス)」が追加されました。実は、日本は世界大会でも優勝するほどの強豪国。パリ大会では金メダルも期待されています!

 

でも、「ブレイキンってどんな競技なの?」と思う方も多いのではないでしょうか? ダンスのイメージはあっても、どんなルールでどうやって勝敗を決めるのか想像がつかないですよね。

 

そこで、日本を代表する女性ブレイクダンサー・福島梨絵さん(活動名:NARUMI)に、ブレイキンの基本や魅力、注目選手を聞いてみました。

ニューヨークのストリート発祥 ブレイキン

――改めて、ブレイキンとはどのようなダンスなんですか?

 

1986年 ストリートでブレイキンを行う少年たち

 

NARUMI:ブレイキンは、1970年代にニューヨークのブロンクスという地区の路上で生まれたストリートダンスです。当時、その地区ではギャング間の抗争が激しくて、たくさんの流血事件が起きていたそうで、そういった抗争を暴力ではなく、より平和的に解決する手段として、ダンスを用いてバトルをしたんですね。いわゆる「ヒップホップ※」文化の一環として、ブレイキンが始まったと言われています。

 

――なるほど!他のダンスと比べて、具体的な特徴はどんな点がありますか?

 

ブレイキンの大きな特徴は、DJやMCがいるという点。DJは音楽を流す人で、MCは司会進行のような役割を担っています。他のダンススポーツには全くない要素で、音楽は多くの場合、即興で流されます。ブレイキンのダンサーたちは、そのDJの音楽に合わせてダンスを踊り合い、勝負を決めていきます。これは、70年代の発祥当時とほとんど変わっていないスタイルで、ブレイキンを支える魅力のひとつでもあります。

 

※ヒップホップは、ニューヨークに住んでいたアフリカ系やヒスパニック系が中心となって起こした文化の総称で、「弾ける、躍動する」の意味。ラップ、DJ、ブレイキン、グラフィティーの4つの要素からなる。

ブレイキンは4つのスタイルから作られている

――ひとえにブレイキンと言っても、さまざまなスタイルがあると聞きました。詳しく教えてくれませんか?

 

NARUMI:ブレイキンには大きく分けて、4つのスタイルがあります。「TOPROCK(トップロック)」、「FOOTWORK(フットワーク)」、「POWER MOVE(パワームーブ)」、「FREEZE(フリーズ)」です。こうした4つのスタイルをダンスの中に取り入れて、各々がオリジナルのダンスを作っていきます。

 

「トップロック」は、いわゆる立った状態でのステップですね。細分化すると、このステップにもたくさん種類があります。

 

「フットワーク」はかがんだ状態で、地面に手を突いた状態での足さばきやステップです。

 

 

皆さんがもっとも想像しやすいのは「パワームーブ」ではないでしょうか。背中や肩、頭などでクルクル回るような動きのことで、テレビなどでよく見るスタイルのひとつですね。

 

最後に「フリーズ」ですが、これはシンプルに体や動きを固めて止まることです。

 

スタイルからスタイルへと移行することを「トランジション」と呼びます。本来はもっとさまざまなスタイルがありますが、そこまで説明していると逆にわからなくなってしまうので、まずはここまで覚えていただければ(笑)。

ブレイキンの試合ルールは決まっていない?

――ブレイキンは、どんなふうにして勝負が決まるんですか?

 

NARUMI:ブレイキンにも、さまざまな競技カテゴリがありますが、今回はパリ大会に採用される予定の「バトル」についてお話していきますね。

 

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2024年 パリ五輪 ブレイキン種目追加決定記者会見


「バトル」は、いわゆる1対1でダンスを競い合う勝負のことです。ダンサー同士が対面して、DJの音楽に合わせてダンスを踊って勝負します。2018年に開催されたユースオリンピックの場合、予選では1ラウンドで1人2回ずつダンスを踊り、決勝では1ラウンドで1人4回ずつ、それぞれ数ラウンド行い合計18回踊りました。おそらくパリ大会でもこれに近い形式が採用されると思います。

 

――1人につき18回も踊るんですね!かなりハード…!採点方法はどうなるんですか?

 

採点方法なんですが、実は今に至るまで世界共通の基準がありません。ある国では、ボクシングのように審査員の挙手制だったりもしますし、細かい基準を設けて採点をしていく国もあります。ですので、あまりルールを詳細に説明することはできないのですが、ひとつの基準として、日本ダンススポーツ連盟が定めている採点ルールが参考になるかと思います。

 

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提供:社団法人日本ダンススポーツ連盟 協議会審査基準『2021ブロック選手権審査項目』(2021年5月17日時点)

 

技術や表現などの評価基準に加えて、加点や減点の対象も細分化していますよね。年々ルール改定が行われているので、どうなるかはハッキリとはいえませんが、パリ大会でも、似たような採点方式になるだろうと関係者は予想しています。

メダル有力候補が目白押し! 日本の注目選手

――世界的に日本はどのような位置づけなんですか?

 

NARUMI:日本は強豪国のひとつだと見られていますよ。2018年のユースオリンピックでは、女子では河合来夢選手が金メダル、男子では半井重幸選手が銅メダルを獲得しました。とくに、日本は女子が他国に比べて多いと言われ、有望な選手が次々と誕生しています。

 

2018年ユースオリンピック・ダンス女子ブレイキンで優勝した河合来夢選手(真ん中)

 

2018年ユースオリンピック・ダンス男子ブレイキンで3位の半井重幸選手(右)


ユースオリンピックで表彰台に上がった2人の他に、男子では2019年の世界選手権で2位になった堀壱成選手も、実力者です。現在、日本のダンスプロリーグ「Dリーグ」にも出場しているので、ぜひチェックしてほしい選手ですね。

 

堀壱成選手 2024年パリ五輪ブレイキン種目追加決定記者会見にて


また、女子では2020年の全日本大会で優勝した湯浅亜実選手や、37歳のベテラン、福島あゆみ選手が、日本のブレイキン界を引っ張る存在ですね。

 

 

上:湯浅亜実選手、下:福島あゆみ選手


――あれ?NARUMI(福島梨絵さん)さんと福島選手って苗字が同じですね。

 

NARUMI:はい、実は妹です(笑)。なかなかの腕前ですよ。
日本には30歳を超えていても魅力的なダンスを踊るダンサーが少なくありません。そうした“ベテラン層”の多くは、ブレイキンのストリート要素に重点を置き、ライフスタイル感覚で楽しんできました。そのため、競技としての大会には距離を置く人が少なくありませんでした。こうしたダンサーにもっと大会に出場してもらって、若い世代と切磋琢磨してほしいと思います。

世界で唯一無二の自分を表現すること それがブレイキンの魅力

――最後にブレイキンの魅力を教えてください

 

NARUMI:今まで誰も見たことがないダンスを見られることですね。ブレイキンのバトルで大きなカギを握ってくるのは、DJがかける音楽です。かかる音楽のジャンルは、DJによってさまざまで、アップテンポのものもあれば、非常にスローなテンポのものもあります。選手たちはステージに上がるまで、何の曲がかかるかわかりません。だから、即興でオリジナリティのあるダンスを生み出さなくてはならないのです。

 

――まさにぶっつけ本番ですね…。

 

NARUMI:そうなんです。ブレイキンは、技術的な面はもちろん、オリジナリティや即興性、その場をロックする(会場をどう巻き込み盛り上げたり見入ったりさせるか)なども重視するダンス競技だから、他人と同じような動きばかりだと減点対象にもなります。多彩なスタイルを、自分なりに組み合わせて、誰も見たことのないようなダンスにできるか。そこに勝敗を決するカギがあるんですよ。

 

またブレイキンをやっていて思うのは、自分のことをよく知ることができるということ
ブレイキンはストリート発祥で世界各国に広がっていて、世代も10代~40代と幅が広いので、いろんな価値観と触れ合うことができます。年齢も性別も国境も関係ありません。そうして学んだ多様性を、いかに自分なりに表現していくか。ブレイキンには、他の競技に見られるような専属の「コーチ」という存在がいないので、自分の長所も短所も自分で把握して、自分で解決していくんですね。だからこそ本当の自分が見えてきます。

 

――私たち観る側はどんなところに注目したら楽しめますか?

 

NARUMI:勝ち負けも面白さの1つですが、個性豊かなダンサーのなかで、誰が自分の好みのダンスを踊っているかを見てもらえると楽しさが倍増すると思います!マンガやアニメのキャラクターでも主人公だけが好きという人はいないはず。サブキャラでも個性が強くて惹かれることはあると思います。それと同じことで、ブレイキンのダンサーたちも好きなキャラを応援するつもりで見てもらえればと思います。

 

福島梨絵(NARUMI)さん

10年以上に渡り、世界大会で40回以上優勝するという偉業を成し遂げる女性ブレイキンダンサーの先駆者。2010年に「B-GIRL OF THE YEAR」に輝き名実ともに世界No.1に。現在も海外や日本各地の大会にも参加し、現役活動を続けており、審査員や講師としても活躍中。

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