ストーリーフィギュアスケート

高橋大輔 "自分の演技を再び"

2018-10-16 午前 0:00

「最低ですね」。

 

10月8日、現役復帰戦のフリーを終えた高橋大輔選手の第一声は、自分の演技に対して、あきれかえったこのひと言でした。

それでも充実した表情で、笑顔がこぼれていたのが印象的でした。(大阪放送局・今村亜由美)

 

 

日本人男子初のオリンピックのフィギュアスケート銅メダリストにして、現役引退から4年がたったいまも絶大な人気を誇る高橋選手。

現役復帰が発表されたのは、今年7月のことでした。その決断は、およそ半年前にさかのぼります。

"勝てないなら現役でいるべきではない"

高橋選手は、去年12月の全日本選手権を、テレビ局の仕事として現場で観戦しました。

 

「アスリートとして勝てないなら、現役でいるべきではない」と思っていた高橋選手。

 

 

この大会を通して「それぞれの立場でそれぞれの目標を持って試合に臨んでいる。自分にもこういう戦い方があってもいいのではないか」と感じたそうです。

 

「演技を終えて喜んだり、悔しがったり。もう一度そういう気持ちになりたい」。

高橋選手の中にそんな思いがこみ上げてきました。その思いに至るまでの4年間、高橋選手はどう過ごしてきたのでしょうか。

 

ソチオリンピック フィギュア男子フリー (2014年)

 

右足のけがを抱えたまま迎えたソチオリンピックでは6位に入賞。

 

現役引退会見 (2014年)

 

高橋選手のけがが治ることはなく、その年に現役を引退しました。

引退したてのころは、スケートをすること自体が嫌だったそうです。

"自分のスケートをもう一度取り戻したい"

ニューヨークに語学留学をしたあとは、スポーツキャスターやダンサーとして舞台にも出演しました。

 

「自分にとってはスケートが一番自信を持てること。これを自分の中心に持っておくべきで、将来パフォーマーとして生きていくためにも自分のスケートをもう一度取り戻したい」。

 

現役復帰会見 (7月1日)

 

高橋選手は、そう思うようになりました。そして、「競技会に向けてプログラムを作り上げ、自分のスケートを作り直そう」と現役復帰を決断しました。

自分自身のために滑る

4年前とは違って、世界を目指すわけではなく、自分自身のために滑る競技会。

 

フィギュア 近畿選手権男子ショートプログラム (10月7日)

 

復帰戦の近畿選手権が行われた兵庫県尼崎市の会場は例年、入場料は無料でしたが、高橋選手の復帰戦で混乱が予想されることから急きょ有料になりました。

 
それでも抽選で選ばれた1500人で会場は満員になり、外にはチケットを手に入れられなかったファンも詰めかけました。

「めっちゃ緊張して足がガクガク震えた」という高橋選手。

前半のショートプログラムは、大きなミスなくまとめて77.28で首位発進。

 

フィギュア 近畿選手権男子フリー (10月8日)

 

後半のフリーは、ジャンプ7本中6本で転倒や回転不足などのミスが出て、118.54で4位に終わりましたが、合計では195.82で3位に入り、表彰台に上がりました。

挑戦し続ける姿を見せられるように

高橋選手は11月、名古屋市で行われる西日本選手権を勝ち抜き、12月の全日本選手権の最終グループの6人に入ることを目指しています。

 

フィギュア 近畿選手権男子 表彰式 (10月8日)

 

「出場できてあと2大会。その先のことは白紙です。4回転の練習も再開して、少しでもレベルアップしたい」と話す高橋選手。

若い選手たちにとって、こういう生き方もあるよと一つの見本になって、何歳になっても挑戦し続ける姿を見せられるように頑張りたい」と話す表情は最高の笑顔でした。

今村亜由美

平成21年入局 兵庫県出身
和歌山、福井、名古屋を経て去年7月から大阪局でフィギュアスケートなどを担当
高校時代は野球部マネージャー
愛読書は山際淳司著『スローカーブを、もう一球』

 

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