ストーリー野球

『来る球拒まず!』悪球を打つ男たち その規格外の魅力

2018-11-28 午後 0:00

「見送ればボールなのに…!」
ボールゾーンの球を打つことは、ストライクゾーンに比べて打率が低いため、誰もが見送った方が得策だと考えるでしょう。

 

好球必打を鉄則とする日本野球において、悪球打ちは決していい意味ではとられません。それでも悪球打ちにチャレンジするバッターはどんな思いで悪球に立ち向かっているのでしょうか。

悪球打ちは、一流の打者の証になる!?

 

悪条件な悪球に、なぜバッターたちは手を出してしまうのでしょうか?

 

実際に、ボールゾーンの打率は、上記のようにストライクゾーンに比べて大幅に低くなっています。ボール球に挑むことがいかに難しいことなのか、数字で見るとよくわかりますよね。

 

しかし歴代の名バッターたちを見ていると、悪球を打ち返している様子がよく見られます。
なかには、こんな名言を残すバッターも。

 

 

そう、あのミスターが、悪球打ちを「プロフェッショナルの真髄だ」とその著書の中にハッキリと記しているのです!

 

「ここに来たボールはヒットにする!」というホットゾーンは十人十色。ストライクゾーンはもちろん、ボール球であろうとヒットにつなげるその技術こそが、一流の証なのです!

悪球をヒットにするバッターランキング!

では、気になる悪球打ちに挑む男たちを実際に見ていきましょう!

過去5年の記録から、ボールゾーンの球の打率をランキング形式でご紹介します。

第5位 筒香 嘉智(横浜DeNAベイスターズ)

 

5位はベイスターズ・筒香選手。5位で2割4分1厘とこの打率。驚きです!

 

 

パワーヒッターと名高い筒香選手は、ボールゾーン長打割合が最も高いバッターでもありました。2塁打割合はなんと17.7%!

第4位 角中 勝也(千葉ロッテマリーンズ)

 

続いては、2割4分4厘でロッテ・角中選手。

 

角中選手のポイントは、その度胸!なんと悪球打ちのうち、およそ65%が2ストライク取られてからのものでした。追い詰められてからの悪球との勝負!男気を感じますね。

 

そんな角中選手に、なぜ悪球打ちに手を出すのかを聞いてみると…
「逆に厳しい位置に来たボールの方が、バットの出し方がひとつしかなくなるので簡単」
という予想の遥か上を行く答えが!

 

 

角中選手流に言えば、バットを立てたまま、ヘッドから水平に押し出すイメージで打つと、インハイ、インロー、アウトハイ、アウトロー、どんなボールもなんとかなっちゃうんだそう。

 

 

赤のストライクゾーンに対して角中選手は青の範囲のボールゾーンまでも打てるんだそう。

 

バットが届く位置なら打てる!という角中選手にとって、ストライクゾーンは関係ないのです!

第3位 糸井 嘉男(阪神タイガース)

 

3位は阪神の糸井選手で2割4分9厘。

 

 

悪球打ちに挑むバッターで、流し打ちになってしまう選手が多い中、糸井選手はその4割が右方向へと引っ張るヒット。この割合は、全選手のなかで1位です!

第2位 雄 平(東京ヤクルトスワローズ)

 

ついに打率が2割5分を上回ってきた第2位。

 

悪球打ちをしっかり得点につなげる選手で、得点圏悪球安打数は64本と、紹介する5選手のなかでトップです。

第1位 中村 晃(福岡ソフトバンクホークス)

 

2割7分3厘で堂々のぶっち切り1位に輝いたのは、ソフトバンクの中村選手。

 

 

ホットゾーンである外角の真ん中に絞ってみれば、その打率は3割8分にもなり、コース別悪球打率はもちろんトップ!まさに来る球拒まず!

 

外角の真ん中への悪球は、中村選手にとってはむしろ好球かも?

メジャーリーグで悪球打ち!日米を比較してみると…?

 

次は日本を飛び出して、メジャーリーグでの悪球打ちを見てみましょう。

 

日本人選手よりも平均的にリーチの長い選手が多いメジャーでは、バットの届く範囲はより広くなります。

 

メジャーリーグに詳しいAKI 猪瀬さんはメジャーリーグの悪球打ちについて次のように話します。

 

AKI 猪瀬さん

AKI 猪瀬さん

メジャーでは、悪球打ちをする選手のことを「バッドボールヒッター」または「フリースウィンガー」と言います。
前者は悪いボールでも打ち返せる!というポジティブな表現なのに対し、後者はなんでも振ってしまって結果が残らないバッターというネガティブな表現です。

 

AKI 猪瀬さん

さらに、バッドボールヒッターには南米出身の選手が多いという共通点があります。それは、ある選手のバッター精神が鍵を握っていました。
その選手とは、中南米プエルトリコ出身のロベルト・クレメンテ選手。首位打者に4回も輝いたことのあるレジェンドです。

 

AKI 猪瀬さん

ロベルト選手は、どんな悪球にも手を出すバッター。
当時記者からは、「バッドボールに手を出さなければ、打率も出塁率も上がるのに!」と言われることもありました。

 

それでもロベルト選手は、「ヒットにできるボールはバッドボールではない。だから僕はバッドボールヒッターではない!」と言い切りました。

 

それ以来メジャーリーグでは悪球打ちは悪いことではないという認識が広まっただけでなく、バットボールヒッターがポジティブな表現で使われるようになりました。中南米の選手にとって、DNAに刻まれた伝統芸となったのです!

悪球をホームランに!巨人・村田 修一の悪球打ちの極意

 

悪球打ちは、日本ではまだまだ評価されないものの、メジャーでは評価されることがわかりました。なら、日本でも評価されるよう得点にするまで!

 

ということで悪球をホームランにしてしまう、村田さんに悪球打ちの極意を尋ねました。

 

 

村田さんは、プレーしていた昨年2017年までの10年間で24本もの悪球をホームランにしています。

 

当てるだけでも難しい悪球をホームランにするのには、どんな技術が必要なのでしょうか?

 

村田さんによれば、両手でしっかりグリップを握り、親指側に力を入れることが重要!やはりヒットにするだけではなく、ホームランを狙っていくなら力が必要不可欠!ということですね。

 

 

さらに、グリップを握る手と手の間隔を離すこともあるのだそう!こうすることでヘッドが立ちやすく、高めのボールが狙いやすくなります。

 

 

もちろん、キャッチャーに気づかれないよう、構えてからそーっと握り直します。

 

構えた時点ですでに悪球を打つ気満々!
これぞ悪球をホームランにする男の極意です。

 

元千葉ロッテマリーンズのキャッチャー里崎智也さんによると、ピッチャーにとって、悪球打ちするバッターへの対処法はないそうです。

 

 

悪球打ちは、一歩間違えれば敗北に、しかし決めれば名誉と勝利をもたらす必殺技と言えるでしょう。
今後日本の野球の考え方も変わってくるかもしれませんね!


データ提供:データスタジアム

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