ストーリーその他のスポーツ

ソフトボール日本代表 後藤希友(20) 日米エースの背中を追って

2021-05-27 午後 05:10

ソフトボール日本代表といえば、13年前の北京オリンピックで413球を投げ抜き、金メダル獲得に貢献したエース・上野由岐子の名前が真っ先に思い浮かぶだろう。東京オリンピックでは次世代のエース候補、後藤希友(20)にも注目してほしい。

将来を背負う20歳の左腕

 

ソフトボール東京オリンピックの日本代表に内定したのは15人。このうちピッチャーは3人。チームを率いる宇津木麗華監督はエースの上野と投打の二刀流で知られる藤田倭をサポートするもう1人のピッチャーを誰にするかで頭を悩ませた。

 

 

そこで白羽の矢が立ったのは後藤。決め手は延期となった1年での成長と日本人投手の左腕で最速110キロを超える速球だった。

 

チーム最年少の20歳は年齢制限のない代表チームでの国際大会経験は多くない。それでも今回、選出されたのはソフトボール界の将来を担う逸材としての期待の表れだ。

 

宇津木 麗華 監督

ボールのコントロールや質がすばらしい。将来のことを考えたときに一番大きな経験をしてもらい日本のソフトボール界を引っ張っていってほしい。

笑顔が印象的な今どきの20歳

 

後藤はとにかく笑顔が印象的だ。ファンだというアイドルグループ「NiziU」の話になると目を輝かせる。その姿は今どきの20歳だが、試合になると元来の負けず嫌いな性格が表情に出る。1球にかける執念はすさまじい。

 

後藤 希友 投手

1球のコントロールミスを徹底的になくそうとこの1年取り組んできた。経験も浅い私にできることは怖い物知らずの精神でぶつかっていくことだ。

2人の師匠とともに


成長過程の後藤には2人の師匠がいる。1人は同じ社会人チームに所属するモニカ・アボット(35)。北京オリンピックの時からアメリカ代表のエースを務める世界的な名投手だ。

 

北京オリンピックをテレビで見てソフトボールを始めた後藤にとって同じ左投げのアボットは憧れの存在。チームメートになってからは「いつか自分もあのようなピッチングがしたい」と試合や練習ではアボットの一挙手一投足を見逃さず、積極的にアドバイスを求めてきた。

 

後藤 希友 投手

モニカの支えというか、背中を見ながら学んできた部分も多い。あの背中を見て自分もいつか超えたいし、もっと頑張らなければならない。

 

その教えが生きたのが4月24日の日本リーグの試合。先発したアボットが7回をノーヒットに抑えて延長戦に入った。

 

 

後藤は2人目としてノーアウト二塁から始まるタイブレークを任された。東京オリンピック本番でも想定される場面。登板前、投げ終えたばかりのアボットから声をかけられた。

 

 

そこでアドバイスされたのが『相手に簡単にバントをさせない投球をすること』。

 

バントを決められれば、ランナーがホームに近づき失点のリスクが高まるからだ。後藤はこの日の審判の特徴を踏まえ、厳しくコースをつくピッチングを心がけた。その結果、狙い通りにバントを失敗させ、後続も抑えてチームを勝利に導いた。

 

モニカ・アボット 投手

彼女はまだ若く状況に応じたピッチングが課題なのでアドバイスをした。簡単にバントをさせなかったことはとてもよかったし、うまく対応できていた。

 

後藤 希友 投手

オリンピックでも、こういうピッチングが大事になってくる。流れを変えたかったり、ピンチの時に回ってくることがあると思うので、いかに自分たち側に流れを持ってくるような投球ができるか。

 

 

5月17日、日本代表内定の選手が発表された後、最初の強化合宿が始まった。後藤は2人一組で取り組むストレッチなどのアップをもう1人の師匠、上野と行った。代表メンバーで最も背の高い上野と2番目の後藤はこれまでの合宿でもペアを組んできた。

 

日本代表強化合宿で調整する上野由岐子投手

 

いつも緊張しているそうだが、こうした経験がかけがえのないものだと感じている。初めての大舞台へ2か月を切る中、ここでもエースの一挙手一投足からできる限りのことを吸収するつもりだ。

 

後藤 希友 投手

社会人チームにいると目の前にモニカがいて、日本代表にいると目の前に上野さんがいてという経験ができるのは自分しかいないと感じている。2人とも一緒に練習していると、毎日すごいなと思うところが何かしら出てくるので、いいところは盗んで自分の成長につなげたい。

 

後藤の目標は1つ。2人の師匠を超えて、日本を背負う存在になることだ。次世代のエース候補として、まずは地元開催の東京オリンピックで輝きたい。

この記事を書いた人

画像alt入ります

沼田 悠里 記者

平成24年 NHK入局。金沢局、岡山局を経てスポーツニュース部。プロ野球・DeNAを2年間担当したあと、ウインタースポーツとソフトボールを取材。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!