ストーリーカーリング

日本代表 吉田夕梨花・松村雄太ペア 北京五輪の出場枠獲得なるか? カーリング ミックスダブルス世界選手権 

2021-05-14 午前 11:20

スコットランドで開催されるカーリングのミックスダブルス世界選手権。今回の世界選手権で、中国とイングランドを除く上位7チームが2022年北京オリンピックの国別の出場枠を獲得します。

 

日本代表として出場するのは日本選手権で優勝した、吉田夕梨花選手(ロコ・ソラーレ)と松村雄太選手(コンサドーレ)のペア。

 

吉田・松村ペアは北京オリンピックの出場枠を獲得することが出来るのか?

 

2018年・2019年の日本代表で、今年の日本選手権で吉田・松村ペアと対戦した山口剛史選手(SC軽井沢クラブ)に、吉田・松村ペアの強みや世界選手権について解説・展望していただきました。

日本代表の吉田・松村ペア、強さのヒミツは!?

世界選手権を前にオンラインで会見に臨む吉田・松村ペア

 

 

ーー山口選手は藤澤五月選手(ロコ・ソラーレ)とのペアで2018年・2019年と日本選手権を2連覇しています。その山口選手から見て、今年対戦した吉田夕梨花選手と松村雄太選手のペアはいかがでしたか?

 

吉田・松村ペアは、後半に調子を上げてくるタイプですね。日本選手権では過去2回対戦していますが、どちらも僕たちが前半は結構リードしていながら、後半に追いつかれるというパターンでした。今年は最後に逆転されてしまいました。

 

ーー吉田・松村ペアの強みは、どのようなところだと思いますか?

 

強みのひとつは、柔軟性だと思います。その一例がポジションです。ミックスダブルスは1投目と5投目が女性で、2、3、4投目が男性というのがセオリーで、世界的に見ても、ほとんどのペアが、そのようにしていますが、吉田・松村ペアは、それとは反対のことにチャレンジしています。

 

ミックスダブルスは、試合の途中でポジションを変えることができますが、僕たちとの試合でも途中で1回ポジションを変えています。

 

おそらく前半が良くなかったから、流れを変えようとしたのでしょう。もちろん、基本スタイルは決まっていると思いますが、場面に応じて柔軟な対応ができるところは、なかなか面白いと思います。

 

 

――なぜ1投目と5投目が女性で、2、3、4投目が男性というのが、セオリーなんでしょう?

 

これは僕の考えですが、ミックスダブルスは、ストーンが真ん中に溜まりやすい。

 

そうなると良い展開を作りづらいので、その集まった状態を1回壊すために、力のあるショットを求められる場面がある。

 

そのときに男子の方がパワーとスピードがあるということで、男子が2、3、4投目ということが圧倒的に多いのだと思います。

 

――吉田・松村ペアは、そのセオリーを覆してでも逆のポジションにメリットがあるということですね。

 

そう思いますね。5投目はそれで勝負が決まるので、独特なプレッシャーがかかります。吉田選手は、4人制のポジションからすると、あまり、そのプレッシャーを経験したことはないと思うんですね。

 

一方で、松村選手はコンサドーレでスキップをやっているので、常に経験している。それなら一般的なセオリーからはずれても、松村選手が1投目、5投目の方が精神的な面からも安定感が出ていいということなのだと思います。

 

さらに、吉田選手が2、3、4投目の時に、作戦のアイデアが豊富な松村選手が、ハウスに立ってアイスの状態を確認できること、吉田選手が自分で投げて自分でスイープすることで吉田選手の精度の高いスイープ力を生かせることもメリットだと思います。

 

一方、課題となるのが、真ん中にストーンが集まったとき、吉田選手がその状態を一気に崩せるショットができるかということになりますが、そこはうまく作戦を立ててカバーしてほしいですね。

 

――ほかにも対戦して感じたことはありますか?

 

1投目のあと、2、3、4投目の作戦の組み立てが非常に上手いですね。

 

ミックスダブルスは、先攻・後攻合わせて3投目まではプレーエリアの外にストーンを出してはいけないというルールがあるので、必然的に真ん中にストーンが集まりやすいですが、相手のストーンの外側につけた方がいいのか、内側につけた方がいいのか。

 

5センチ、10センチという微妙な差が、その後の有利・不利に大きく影響します。そんな場面で吉田・松村ペアは短時間でパッとアイデアが出てくる。そこも彼らの強みだと思います。

北京オリンピックの出場枠をかけた今年の世界選手権

 

――今年の世界選手権はこれまでと参加条件が変更されていますが、その影響はあると思いますか。

 

より厳しい戦いになると思います。というのも、2019年までは40以上のチームが出場していたのですが(※)、今回は、前回大会(2019年)のベスト16に加え、この世界選手権の予選を勝ち抜いた上位4チームの、あわせて20チームが出場という形になりました。

 

つまり、上位グループだけが集まった大会になっているんです。僕たちが出場してきた2018年、2019年の世界選手権と比べると、レベルが高いチームどうしが戦い続けることになるので、日本としても、難しい試合が多くなるのではないでしょうか。

 

(※2020年の世界選手権は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止)

 

――常に気を抜けない、ということですか?

 

そうですね。今までは40以上のチームを6、7グループに分けて予選をやっていましたが、1グループのうち、半分ぐらいのチームは自分たちなら勝てるだろうという状況でした。

 

だから、そういったチームと対戦するときに、アイスの状況を確認しながら作戦を立て、実行して試してみるという余裕もありました。

 

今回はスケジュール的にも、そのような余裕がありません。強豪と戦いながら、いち早くアイスの状況をつかまなくてはいけないという難しさがありますね。

 

(今回の世界選手権では、予選リーグで20チームが10チームずつ、グループA・Bに分かれて、それぞれ総当たりのリーグ戦を行う。グループA・Bの上位3チーム、計6チームが変則の決勝トーナメントに臨む)

激戦が予想されるBグループ!吉田・松村ペアはどう戦えばいい?

 

 

――今大会で日本が北京オリンピックの出場権を獲得するためには、中国とイングランドを除く上位7チームに入る必要があります。まずライバルとなりそうなチームはどこでしょう?

 

日本が入るBグループはもう全部強いですよね(苦笑)。中国、イングランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スイス、スウェーデン、アメリカ、エストニア、そして日本というグループで、イングランドがちょっと読めませんが、あとはどこも本当に強いです。

 

強いて言えばイングランド、フィンランド、ニュージーランドには勝たなくてはいけないでしょうね。でも、ほかは本当に強豪揃いです。

 

スウェーデンは前回の優勝チームですし、ノルウェーはオリンピックでメダルを取っている専属ペアが出場予定で、今回も優勝候補です。

 

スイスも強いペアが出てくる可能性がありますし、アメリカは前回3位です。エストニアは4人制ではさほど強いというイメージはないと思いますが、ミックスダブルス専属で長く続けている非常に強いペアが出てきます。日本だけでなく、Bグループはどのチームにとっても厳しい試合になると思います。

 

――その中で、吉田・松村ペアはどのくらいまでいけるでしょう?

 

希望も込めた予想ですが、予選リーグは最高で7勝2敗ぐらいではないでしょうか。Bグループで全勝するチームはないと思います。あまりネガティブなことは言いたくないですが、もっとも負けが込んだとしたら、1勝8敗くらいまであり得ると思います。それくらい激戦が予想されるグループです。

 

――勝つために必要になってくるポイントは何でしょう?

 

とにかく大事なのはチームワークだと思います。それがショットの成功率につながります。2人でやるミックスダブルスは、氷に関する情報が4人制と違って圧倒的に少ないんですよ。4人制であれば、1人が投げる、2人がスイープする、そして1人はタイムを計って、ショットが失敗したらその原因を確認するという役割分担ができます。

 

でも、2人だとそれができない。不足しがちな情報をコミュニケーションで補っていかなければならないので、コミュニケーションは非常に重要です。それを多くできるかどうかにかかってるんじゃないかなと思います。その点、吉田・松村ペアのコミュニケーション力は高いと思います。

 

――試合展開で勝つためのポイントはありますか?

 

ストーンを溜める展開や思いっきり弾く展開ではなく、少しストーンを動かすような展開になれば、吉田選手が得意なドロー系のショットを生かすことが出来ます。だからそういう展開に持ち込めれば、吉田選手の2、3、4投目でかなり優位に試合を進めることができるんじゃないかなと思います。

逆にプレッシャーを与える展開に期待!

 

 

――今回のように強豪ばかりだと、相手からのプレッシャーもかなり感じるのではないでしょうか?

 

そのようなこともあるかもしれませんが、吉田選手はロコ・ソラーレの試合後のインタビューを見ると、相手チームを気にするよりも、自分たちのプレーを大切にしている印象があります。その点は、ポジティブでとてもいいですよね。

 

あと、強豪チームも日本を下に見ているということはないと思います。日本のミックスダブルスの世界ランキングはすごく高いというわけではありませんが、それは過去の対戦結果やピョンチャンオリンピックに出場していないことを反映しているからです。

 

前回、前々回の世界選手権では、僕たち藤澤・山口ペアで5位を2回取っているので、日本も強くなってきたというイメージは持っていると思います。実際、エストニアやカナダの選手は、誰が日本のミックスダブルスの代表になったのか、直接、僕にメッセージを送ってきたりしていますから。

 

そもそも吉田選手のロコ・ソラーレは世界ランキング4位ですし、松村選手のコンサドーレは世界ランキング16位と、2人とも4人制ではトップクラスにいるので、メンタル的に不安になることはそこまでないと思います。世界的にも知られている存在として、逆に相手にプレッシャーをかけて欲しいなと思いますね。

(※世界ランキングは2021年5月10日時点)

 

――日本にもチャンスがありそうですね!活躍を期待したいです。では最後に、ミックスダブルス世界選手権の見どころを教えて下さい。

 

先程も話しましたが、ミックスダブルスはストーンが真ん中に溜まりやすいので、ショットが決まれば、2点3点という複数点が取れることは珍しくありません。つまり、ある程度の点差があればそのまま逃げ切りやすい4人制と違って、ミックスダブルスは点差があっても逆転する試合を楽しめます。

 

あと、展開が早いので1時間半くらいで試合が終わる。このようなミックスダブルスならではのスピーディーかつスリリングなゲーム展開を楽しんでもらえたらと思います。ぜひそのような視点で吉田・松村ペアの活躍に注目してください!

山口剛史

1984年生まれ、北海道南富良野町出身。SC軽井沢クラブに所属し、2018年のピョンチャンオリンピックに出場。ロコ・ソラーレの藤澤五月選手とのペアで2018年、2019年のミックスダブルス日本選手権に優勝し、日本代表として、その年の世界選手権に出場している。

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